株式会社ペルソナ様
ダイナミックに拡大し続けるカード事業の収支を管理会計「Oracle PBCS」で可視化
関西圏に根ざした「ペルソナカード」で知られる株式会社ペルソナ(以下、ペルソナ)は、新規カード発行による急成長と組織再編で、ブランド別の収支など"数字"の把握が困難となっていた。TISはクラウド管理会計「Oracle PBCS」導入を支援し、目まぐるしく変化する経営状況をタイムリーに把握可能とした。
「Oracle PBCS」:Oracle Planning and Budgeting Cloud Service
本社 | 大阪市北区茶屋町19-19 |
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創立 | 1985年 |
資本金 | 1億円(2016年10月末現在) |
事業内容 | クレジットカード発行業務など |
URL |
https://www.persona.co.jp/
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課題
ビジネスモデルの変化で、業績の数字把握が困難に
ペルソナは、関西の生活者になじみ深い「ペルソナカード」を中心に、複数ブランドを展開するクレジットカード事業者だ。阪急阪神百貨店を傘下に持つ流通大手エイチ・ツー・オー リテイリングの子会社で、グループのクレジット決済業務を担う。事業戦略室の飯尾かおる氏は、同社のカード事業再構築について語る。「従来は百貨店のハウスカードの受託業務が中心でしたが、2014年に自社発行となる新『ペルソナカード』が誕生しました。その翌年には同じく自社発行の『ソレーナカード』が加わり、カード会員が急増しています」。
この結果、収入も大きく増え、さらに各カードブランドを担当する組織の構造も変化。そのスピードがあまりに速く、"どのブランドで、いくら利益が出ているのか"を正確に把握することも困難になっていたという。「グループ共通の会計システムを利用してきましたが、引き出せる情報の粒度が当社にとって十分でなく、詳細な分析ができません。そのため、経営会議や営業活動の指針となる資料作成も難しい状況でした」(飯尾氏)。
また、経理担当者は毎月、全社の予算と実績を突き合わせて損益を算出しているが、その作業負荷も課題となっていた。経営管理室の井筒徹氏は「担当者はExcelを使って、予算の表に対し、該当する実績を1つずつ手入力する作業を行っていました。この入力と集計にほぼ丸1日かかり、担当者に集中する負荷を減らすことが急務でした」と語る。
選択
「Oracle PBCS」の導入実績が豊富なTIS
そしてペルソナは2015年末頃より、既存の会計システムを補完する、管理会計の仕組みの構築を計画。PwCコンサルティング合同会社と共に枠組みの構想を策定した。そしてソリューションの最有力候補として着目したのが「Oracle PBCS」であった。これは、クラウド型の管理会計/予算管理のソリューションであり、2014年から国内で提供されている。機能をレビューした結果、「さまざまな分析軸で収支が見られる自由度の高さが魅力でした。また、Excelに似たインタフェースで、直感的に操作できる点も優れており導入を決定しました」(飯尾氏)。
ペルソナは続いて、導入支援を託すSIベンダー選びに着手。オラクルのパートナーとして実績のある複数社が候補となり、その中にTISが含まれていた。飯尾氏は「以前、業務システム構築をTISに依頼したことがあり、その際の対応に大変いい印象がありました。『Oracle PBCS』導入実績もトップクラスで、TISなら任せられると思いました」と語る。また、取締役執行役員 事業戦略室長の武内宏之氏は「クラウドといっても、ライセンスを契約すれば済むわけではなく、当社向けのカスタマイズや、操作のトレーニングも必須。TISは同じ大阪市に事業所があり、困ったときにすぐ助けてもらえる安心感がありました」と語る。こうして2016年2月、TISをITパートナーとすることが決定した。
導入
クラウドならではのスモールスタート
ペルソナが目指す最終目標は、現場社員が直接「Oracle PBCS」に予算・実績の数値を投入し、自らの部門の収支を把握できるようにすることにあった。「しかし、現場の業務フローを大きく変える必要があり、それには時間が必要。そこで、まずは事業戦略室と経理を受け持つ経営管理室が、収支分析に使用することを最初の目標と定めました」(武内氏)。このように、部分最適から着手できることは、クラウドならではの利点だと言う。「当社は成長過程にあり、3年後、5年後のビジネス規模の予測は困難。まずは入れてみて"やりながら拡張していく"方針としました」(武内氏)。
そして、この考え方をTISと共有し、2016年3月に要件定義がスタートした。「TISは他社での経験が豊富で、管理会計の知識も高い水準。分析軸や画面設計を考える上で、我々を "引っ張ってくれた"という印象があります」(飯尾氏)。
5月からは、分析結果を表示する帳票画面の作成方法など、レクチャーが実施された。現在「Oracle PBCS」のオペレーションを担当する事業戦略室の澤田由美氏は「TISの担当者が横に立ってレクチャーし、一人で操作できるレベルになるまで何日も付き合っていただきました」と振り返る。
こうして、2016年6月、実質約3カ月で「Oracle PBCS」の導入が完了した。「通常の開発案件と比べ、びっくりの早さです。クラウドだからという理由もありますが、他社での導入経験が豊富なTISだからこその結果だと思います」(飯尾氏)。
効果
全社へ浸透する経営的な発想
事業戦略室では、導入された「Oracle PBCS」を利用して、経営会議用のレポートを作成するとともに、各部門には収支情報を積極的にフィードバックする活動を始めている。「新旧すべてのカードブランド別の収支を営業部長に見せたところ、"まさにこういう情報が欲しかった"と。会員獲得などの営業活動をどう進めるべきか、戦略を立てやすくなったと感謝されました」(飯尾氏)。
澤田氏は、帳票をExcelのファイルフォーマットで出力できることが、社内に情報を拡散させる上で役立っているという。「これまで経営層など一部しか閲覧できなかった収支情報を、特別なユーザ権限を持たない社員へも配布できます。各部門が責任数値を自覚することで、どの経費を減らせばよいかといった改善の意識も生まれています」(澤田氏)。
なお現段階では、「Oracle PBCS」上で持つ会計データは、既存のグループ共通の会計システムから取得した情報を管理会計に適した科目に変換後、カードブランド名や部門名の情報を加える"一手間"かけたものを使用している。「これにより、以前Excelで約1日かかっていた予算と実績を突き合わせる手作業は不要となり、データ加工から集計まで10分程度で完了します。将来的には、既存の会計システムからデータを自動で取り込む連携を強化する構想です」(井筒氏)。
今後の「Oracle PBCS」の活用範囲の拡張について、飯尾氏はこう語る。「次のステップは、カード会員数や延滞管理情報など、カード事業の健全性を測るために必須の経営指標を『Oracle PBCS』で管理すること。そして、家賃や人件費を部門に割り振る配賦処理について、手作業からシステム化へ移行したい。『Oracle PBCS』を部分最適から全体最適へと広げていけるよう、TISには引き続き支援をいただければと思います」。
システム概要
お客さまの声
株式会社ペルソナ
事業戦略室
部長代理
飯尾 かおる氏
株式会社ペルソナ
事業戦略室
サブマネージャー
澤田 由美氏
これから5年先のビジネス拡大を考えると、管理会計の仕組みは必須でしたので、今回「Oracle PBCS」を導入したタイミングは本当によかったと思います。私が所属する事業戦略室の役割は、中期計画の策定など"次"の提案ですが、カード別や部門別の収支を容易に把握可能になり、ようやくその本来の役割を果たせるようになったと感じます。TISには、他社がどんな風に「Oracle PBCS」を使いこなし、どのように分かりやすい帳票を活用しているのかなど、他社の先進事例を使ってどんどんアドバイスいただきたいと思います。(飯尾氏)
TIS担当者から
TIS株式会社
産業事業本部
エンタープライズソリューション事業部
エンタープライズソリューション第2部主任
甲本 景子
プロジェクトが始まる前、お客様は『本当にこの短期間で管理会計が導入できるのだろうか』と半信半疑のご様子でしたが、予定どおり導入を達成でき、うれしく思います。要件定義では、ペルソナ様の将来のビジネス拡大に対応できるような、データの保持方法や機能について意見を交換し、ご納得して方向を定めていただけるよう注力しました。今後も、ペルソナ様が「Oracle PBCS」を利用した管理会計をより広範囲に活用いただけるよう、ご支援できればと考えています。
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