ANAセールス株式会社様

ANA旅行サイトと連携する画像コンテンツ管理システムを構築
ー1万軒のホテル・観光施設がPR写真をオンデマンド掲載可能にー

ANAセールス株式会社(以下、ANAセールス)は、ANA旅行サイトで扱う自社ツアー商品の訴求力を高めるため、ホテル・観光施設の写真を「より多く」、「よりタイムリーに」掲載することを計画。TISは、自社クラウド基盤と株式会社ミックスネットワークが提供するCMS製品「SITE PUBLIS」を活用し、施設が自らオンデマンドで写真を登録できる、SaaS型フォトライブラリをわずか5カ月で開発した。

本社 東京都中央区日本橋2-14-1
設立 2002年
資本金 10億円(2017年1月末現在)
事業内容 航空セールス事業、旅行事業
URL http://www.anas.co.jp/
ANAセールス株式会社様

課題

基幹システムの仕様による写真点数の制限

航空大手ANAグループにおいて販売戦略を担うANAセールスは、航空券販売と旅行事業を主力事業としている。中でも売上比率が高いのは、航空券と宿泊のパック商品。レンタカーや入園券までを組み合わせてオーダーメイドできる「旅作」(たびさく)は一番のヒット商品となっている。
経営企画部 旅行システム開発室の椿香里氏は「1日約750万PVのANA航空券・ツアー予約サイトは、当社商品の最大の販売チャネルで、国内旅行業界で最大規模のECサイトのひとつです」と語る。
ツアー商品を扱うページに掲載する、ホテル・観光施設の写真は、基幹システムの画像管理サーバに保管し、ANA旅行サイトから参照する構成となっていた。2010年、ANAセールスの旅行システム開発室は、システム上のある課題に直面していた。「90年代に構築された基幹システムの仕様上、ひとつの施設につき、サーバに登録できる写真は2点までに制限されていたのです」。そのため、ホテル等の外観と客室程度しか掲載できない状況であったという。「競合する旅行系サイトに比べ、写真による訴求力が見劣りしている状況でした。施設の方から写真を増やしたいと希望があっても、『システムの都合上、対応できません』としか答えようがなく、もどかしく思っていました」(椿氏)。

写真の登録に多くの人的リソースが必要

そしてもうひとつの課題は、ホテル・観光施設から写真を受け取り、それを画像管理用サーバに登録するまで、一連の作業プロセスの負荷であった。「90年代から、ポジフィルムで受け取った写真を、外部業者がデータ化してサーバへ登録する業務フローを組んでいました。しかし、コストがかさみ、掲載までのタイムラグも問題でした。2010年頃には、一般にも高速回線が普及していたので、施設が自ら写真データを登録できる仕組みへ移行したいと考えました」と椿氏は語る。
こうして、2010年夏頃より旅行システム開発室は、基幹システムの仕様の制約を受けない、画像コンテンツ管理システム(以下、フォトライブラリと呼称)を構築する計画をスタートした。
翌年の2011年春には、ANA旅行サイトの全面リニューアルが控えており、このタイミングでの本稼働を目標に定めた。本プロジェクトをサポートした、全日本空輸株式会社 業務プロセス改革室 ITサービス推進部の春田剛也氏はこう語る。「その頃、ANAグループ全体のシステム戦略として、資産のスリム化が掲げられました。基幹システムについても、自社で持たなくてよい機能は切り離し、外部サービス化していこうと。このフォトライブラリのプロジェクトは個別の課題から動き出したものですが、結果として基幹システムをスリム化するANAグループにおけるシステム戦略の第1弾と呼ぶにふさわしいものとなりました」。

選択

拡張性に優れたSaaS型フォトライブラリ

そしてANAセールスは2010年9月、同グループのANAシステムズとともに、開発パートナーの選定に着手した。「ANAシステムズが挙げた候補の一社にTISがあり、調べてみるとソリューションの引き出しが多く、面白い会社だなと感じました」(椿氏)。
複数ベンダーからの提案を比較した印象を椿氏はこう振り返る。「他社がオンプレミスでコンテンツ管理サーバを立てる案であったのに対し、TISはインフラとして自社クラウド基盤を提案。今でこそ一般化していますが、当時はまだ『SaaS』という言葉がようやく認知されはじめた頃。他社の大規模サイトで本格的にクラウドを採用した事例もほとんどなく、提案に目新しさを感じました」(椿氏)。
コスト面でも、毎月のサービス利用料を支払うSaaS型であることから、大きな初期投資がかからない点も評価ポイントとなった。さらに椿氏は、クラウドの利点である拡張性に魅力を感じたという。「計画の出発点は、ホテルなどの施設がより多くの写真を登録できるようにすることで、その点数は年々増えていく可能性がありました。いずれ終わりが来るのが見えてしまうシステムでは困ると考えていましたので、TISの提案は大いに共感できました」(椿氏)。

CMS「SITE PUBLIS」をベースに短期開発

ベンダー選定にあたっては、タイトな開発期間に対応できるかどうかも、判定基準となった。「ANA旅行サイトは、2011年4月にリニューアル予定。それと同時にリリースするためには、最終テスト期間を除いて、開発にかけられる期間は3カ月程度しかありませんでした」(椿氏)。
この要件に対してTISは、CMS(コンテンツマネジメントシステム)を利用した開発を提案した。CMSは、今や大規模サイトの構築・コンテンツ管理に欠かせないツールとなっているが、当時はまだ、その製品ジャンル自体が市場で注目され始めたばかりであった。
TISの計画の骨子は、国産CMSパッケージ「SITE PUBLIS」のコンテンツ更新機能を応用し、全国のホテル・観光施設から画像をアップロードできる仕組みをつくることであった。「ゼロからの開発ではなく、既存パッケージを応用して開発期間を短縮するのは、理にかなったアイデアだと感じました」(春田氏)。
こうして、クラウドをベースとするインフラ面での新しさ、CMSパッケージ製品を活用した工期短縮の提案が決め手となり、TISへの発注が決定した。「ちょうど同じ頃、グループ全体でもシステムのスリム化にクラウドを利用できないか検討していました。グループ全社展開に先駆けたチャレンジングな開発案件として、TISの提案するクラウドに先行投資する価値は大きいと感じました」(春田氏)。

導入

パッケージベンダーと一致協力した開発体制

こうして2010年10月から要件定義がスタートし、翌年1月には開発フェーズへと進んだ。プロジェクトの体制は、開発をTIS、そしてANAセールスとの情報共有の窓口としてANAシステムズが立つ編成となった。
TISにとって、CMS製品「SITE PUBLIS」をカスタマイズし、フォトライブラリを構築するのは初の試み。そこでTISは開発元であるミックスネットワークに協力を打診し、パッケージ製品に不足している機能を共同開発する方針とした。開発基盤および本番の実行基盤となるインフラには、TISのパブリッククラウド「TIS ENTERPRISE ONDEMAND Service」が採用された。
その後、開発は順調に進み、2011年2月後半には、早くもテスト段階を迎えた。「プロジェクトの要所要所で、TISとANAシステムズから進捗報告を受け、開発が計画どおりスムーズに進んでいる手応えはありました。CMS製品をフォトライブラリという用途に応用するという、TISの思い切った発想が功を奏したのだと思います」(椿氏)。

施設側の使いやすさを考えたUI設計

今回、開発の要件のひとつとして、ホテル等の施設が迷わずに、写真の登録や更新を行えるという目標が定められていた。「施設の方に使ってもらうことが目的でしたから、極力負担にならないようにインタフェース設計を行う方針としました」(椿氏)。
ログイン後の画面は、写真アップロードをはじめ、表示の並び順の変更、他の写真への差し替えなど、シンプルなメニューで構成。施設はこれらのメニューを使って、たとえば季節にあった外観写真や料理写真などを選び、指定した順番でANA旅行サイトに表示させることができる。
また、ANAセールスたっての希望で、ひとつの写真データから、紙のパンフレット/Web/スマートフォンの3種類の用途に最適化した写真を自動生成する機能も組み込まれた。「最近のCMSでは、マルチデバイス対応の解像度変換は標準機能となっていますが、当時はまだ一般的ではありませんでした。施設の方に複数種類の写真データを用意いただく手間をかけたくなかったため、時間が厳しい中、TISに無理をお願いしました」(椿氏)。

効果

写真の増加でツアー商品の訴求力がアップ

こうしてフォトライブラリは、2011年4月にカットオーバーを迎えた。ANA旅行サイトのツアー紹介ページでは、このフォトライブラリに登録されたホテル・観光施設の写真を参照し、Webページ上の画像コンテンツとして表示する。「掲載可能な写真の点数が増え、施設の方に大変喜んでいただけました。あるホテルでは、1,000枚もの写真をライブラリに登録し、季節やキャンペーン期間によって写真を頻繁に入れ替え、ホテルの魅力をアピールされているようです」(椿氏)。また、施設が自ら写真を登録できるようになり、社外に委託していた写真のデータ化や登録作業の人件費節減の効果ももたらされた。
実際に稼働を始めるまで、当時は未知数であったクラウド基盤の品質に不安を感じることもあったという。経営企画部 旅行システム開発室の上地玄悠氏は「ANA旅行サイトには非常に多くの方が訪れますから、万一システムトラブルで写真を参照できなくなり、Webページがブランクばかりになっては深刻な事態です」と語る。
しかし、稼働開始から5年以上、フォトライブラリはトラブルによる停止は一度もなく、TISのクラウド基盤の信頼性を証明する結果となった。「つながっているのも忘れるくらい安定して稼働しています。とにかく品質が一番重要ですから、他のクラウドに変えようと思ったことはありません」(春田氏)。

将来的にシステムで目指す顧客接点の強化

ANAセールスは「SITE PUBLIS」のバージョンアップを契機に、フォトライブラリの機能をさらに進化させるための更改に着手する。「旅行にはかたちがありませんから、さらに写真や画像を活用し少しでもかたちあるものにする。あわせてお客様に『旅情感』を訴えていくのが基本方針です。具体的な機能は、これから詰めていきます」(上地氏)。
また、同社売上においてインターネット経由の割合が約半分まで拡大する中、デジタルマーケティングは強化すべき分野だという。「旅行先を決めていないお客様へは、趣味嗜好にあった旅先をレコメンドする。また、ご予約後で旅行出発前のお客様へは、現地の飲食店の写真とクーポン画像を送る。このようなマーケティングオートメーションを展開してく際、写真・画像が持つ訴求力は、ますます必要とされるでしょう」(上地氏)。
春田氏は、当更改においても継続してパートナーとなる予定のTISへの期待をこう語る。「いまTISに協力いただいているのは、お客様が『旅行先を探している』段階で使うシステム。我々は今後『旅行中』『旅行後の日常生活』へとお客様との接点を広げていきたいと考えています。TISにはそこでどんなIT活用が考えられるか、プロアクティブな提案を期待しています」。

システム概要

システム概要

お客さまの声

椿 香里氏

ANAセールス株式会社
経営企画部 旅行システム開発室
アシスタントマネジャー
椿 香里氏

上地 玄悠氏

ANAセールス株式会社
経営企画部 旅行システム開発室
アシスタントマネジャー
上地 玄悠氏

春田 剛也氏

全日本空輸株式会社
業務プロセス改革室 ITサービス推進部
国内旅客チーム マネジャー
春田 剛也氏

「どんな部屋に泊まれるのか、どんな観光が楽しめるのかなど、ワクワク感を提供する『写真』の役割はツアー商品を販売するうえで非常に重要です。フォトライブラリの導入で、写真点数の制限がなくなり、ホテルや観光施設の魅力をより多く伝えられるようになったことが、一番満足している点です。
TISには引き続き支援をお願いしたいと考えていますが、いろいろな業種を経験して得た知見で、デジタルマーケティングの領域でも“こんなことができる”と提案をいただければと思います」(椿氏)

TIS担当者から

本棒 和秀

TIS株式会社
産業事業本部
流通サービスビジネス事業部
流通サービスビジネス企画営業部主任
本棒 和秀

2017年からの第2期開発でも、TISへの発注をご検討いただきありがとうございます。ANAセールス様には、5年以上にわたって障害が起きていない、TISのクラウド基盤「TIS ENTERPRISE ONDEMAND Service」の品質を高く評価いただき満足しています。
CMS製品「SITE PUBLIS」をベースとする開発では、ミックスネットワークの協力を得て、プログラムのコア部分から機能拡張を図ることで目的を達成できました。このように、目的に合わせて、柔軟な開発体制を組めるのは、多くのベンダーと密なパートナーシップを築いているTISの強みです。今後も、品質面はもちろんのこと、デジタルマーケティングの領域でもぜひ新しい提案をさせていただければと思います。

※ TIS、TISロゴはTIS株式会社の商標または登録商標です。
※ その他の会社名、商品名、サービス名は各社の商標またはサービスマークです。

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更新日時:2017年2月23日 13時1分

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