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神鋼投資有限公司様

神戸製鋼グループDynamics AX テンプレートに、TISI上海の『中国会計テンプレート』を融合
- 構築した「中国標準会計システム」を中国拠点へ順次展開 -

※採用時の製品名「Microsoft Dynamics AX 2012」を省略表記。2016年7月より「Microsoft Dynamics 365 for Operations」に改称。

神戸製鋼グループ(以下、神鋼グループ)は、グローバル連結経営強化の一環として、中国全拠点での会計業務の標準化を計画した。中国の会計事情に精通するTISI上海は、神鋼グループのコベルコシステムが保有する、日本国内向けテンプレート製品をローカライズ。上海の神鋼投資有限公司(以下、神鋼投資)への導入を皮切りに、展開の支援を開始した。

本社 上海市黄浦区淮海中路300号
設立 2011年
資本金 12.5億元超(2017年1月末現在)
事業内容 中国における投資、在中国グループ企業へのサービス提供、調達・輸出入業務等
URL http://www.kobelco.co.jp/ (神戸製鋼グループ公式サイト)
神鋼投資有限公司様

課題

海外からの会計報告の精度が課題に

神戸製鋼グループは、鉄鋼事業に加え、アルミ・銅、産業・建設機械、エンジニアリングなど、鉄鋼メーカーとしては世界でも類を見ない『複合経営』で知られている。16カ国の主要102拠点(2016年7月時点)で事業を手がけ、売上の海外比率は約4割に達する。
中国には連結・非連結を合わせて37拠点があり、2011年に上海で設立された神鋼投資がグループを統括する本社機能を支援している。統括企画部財務部門の中村正知氏は「当社は、新設するグループ会社への出資や、各拠点の税務・IT・法務などの支援を通じ、グループガバナンスの強化に取り組んでいます」と語る。
近年、神鋼投資を中心とする中国拠点で課題となっていたのが、日本本社への会計報告の精度の向上であった。「各拠点は、中国で高いシェアを持つ会計パッケージ『用友』や『金蝶』を導入しています。拠点単体の決算業務は問題ありませんが、ネックとなっていたのが四半期ごとの日本本社への会計報告業務でした」(中村氏)。
経理業務を担当する統括企画部財務部門のChen Lu氏はこう語る。「中国の会計パッケージは用意された勘定科目が少ないため、連結会計で求められる粒度を満たせません。そのため、四半期ごとの決算時期には、勘定科目『その他』に分類したものを一件ずつ精査し、日本会計の勘定科目に落とし込む作業が必要でした」。この作業では日本式会計の知識が求められるため、各拠点の経理スタッフを対象に勉強会も開かれていたという。
「また、新たに集計した数値は、神鋼グループの連結会計用のExcelシートに手入力し、日本の経理部へ送信していました。この際に、計算や入力のミスが発生する懸念もありました」(Chen氏)。

混在する会計パッケージを特定のERPに統一

こうした会計報告に伴う課題は、中国以外の海外拠点でも顕在化していた。そこで神鋼グループは2014年、グローバル連結決算の精度をより引き上げるため、全拠点の会計業務を標準化することを決定した。「まず、さまざまな種類が混在する会計パッケージを、事業規模と現地会計への適性を考慮しつつ3種類のERPのいずれかにリプレイスしていきます。本社など大規模拠点は『SAP ERP』、それに次ぐ中規模拠点は『Dynamics AX』、小規模拠点は『勘定奉行』へ統一する全社ルールが設けられました」(中村氏)。
これにより、神鋼グループの連結会計に必要な勘定科目や帳票の様式などの統一を図り、会計業務のプロセスを共通化することで、海外拠点の財務状況の「可視化」、ガバナンス強化を目指すというもの。「加えて、新たな業務改善を加える際も、日本・海外が足並みを揃えて効率的に実施できるようになります」(中村氏)。
この全社戦略を背景に、中国では2020年までに対象拠点で「Dynamics AX」を導入する計画が立てられた。「まず、神鋼投資がパイロット的な役割となり、2017年初頭に『Dynamics AX』へ移行。これに続いて2018年までに、連結対象の4社が先行導入していくことを決定しました」(中村氏)。

選択

コベルコシステムのテンプレート製品のローカライズを計画

中国最初の導入拠点となる神鋼投資にとって、将来的に中国拠点が共同利用する「Dynamics AX」のテンプレート策定が重要なミッションとなった。「イチから要件定義して開発するには、期間・コストがかかり過ぎるため、既にグループの日本国内拠点で採用実績があるテンプレートをローカライズできないかと考えました」(中村氏)。
これは、神鋼グループのコベルコシステムが開発した「HI-KORT AX」。コベルコシステムは、製造業を中心に数多くの顧客の基幹業務・会計システム構築を手がけている。「HI-KORT AX」には、その経験を踏まえ、日本特有の商習慣に合わせた各種機能が加えられている。神鋼グループの「Dynamics AX」導入拠点では、コベルコシステムが同グループ向けに「HI-KORT AX」をカスタマイズした、通称「神鋼標準テンプレート」が利用されていた。
「このコベルコシステムの『神鋼標準テンプレート』をローカライズするためには、言語や通貨単位の変更だけではなく、中国の特殊な税制や帳票などに対応させるカスタマイズが必須。さらに、既存の周辺システムとの連携も求められます。そこで、中国の会計事情に精通する現地SIベンダーをパートナーとすることにしました」(中村氏)。そして、日系のSIベンダー複数社が候補となり、その中に、TISの現地法人として十数年の活動実績を持つTISI上海があった。

※現製品名は「HI-KORT 365 for Operations」

中国会計のスペシャリスト、TISI上海を選択

TISI上海を候補に加えた経緯について中村氏は「日頃から情報交換している日系企業の方から、『Dynamics AX』に強いベンダーがあると聞きコンタクトしました」と語る。そして、実際にTISI上海のメンバーから説明を受け、期待が大きく高まったという。「中国で10社以上の『Dynamics AX』導入実績があり、そのノウハウを集積した独自の『中国会計テンプレート』も保有しているとのこと。また、中国財務業務に関するコンサルティングも提供しており、メンバーの知識の豊富さと、当社業務に対する理解の早さには驚きました」(中村氏)。
そして、各社によるプレゼンテーションでの質疑応答を経て、TISI上海への評価はさらに高まったという。Chen氏は、「プロジェクトマネージャーの方は人あたりがよく、中国語も日本語も非常に流ちょう。我々のオーダーにただ従うだけでなく、よりよい提案をしてくれる積極性もありました」と振り返る。
中村氏はTISI上海についての印象をこう語る。「価格や導入実績もベンダー選定の基準でしたが、何より重視したのは『パートナーとして信頼できるのか』そして『プロジェクトをリードする力量を備えているか』という、“人”に関する要素です。その点で、TISI上海は抜きん出ていると思いました」。最終的なベンダー決定は、日本本社のIT部門およびコベルコシステムの判断を仰ぎ、2015年秋、TISI上海への発注が決定した。

導入

合同のセッションで要件定義を実施

こうして、2015年12月からプロジェクトがスタートした。中村氏は、本件では特に要件定義フェーズが重要だったと振り返る。「中国拠点に展開していくシステムですから、後々、足りない機能や、使い勝手が悪い部分が表面化しては困ります。神鋼投資は直接モノをつくらない本社部門なので、現場の意見をより多く反映するため、先行して導入を行う予定の4社の経理スタッフを集め、標準システムに実装すべき機能を検討することとしました」。
こうして開催が決まった合同要件定義のキックオフミーティングでは、神鋼投資の堀田総経理(社長)も出席し、この合同要件定義がいかに重要であるかについて、出席者に説明を行ったという。
要件の検討に先立ち、TISI上海から出席者に対し、『Dynamics AX』、『中国会計テンプレート』の説明が行われた。「どの経理スタッフも『Dynamics AX』は初めて見る製品。そこでTISI上海のメンバーが、『用友』等との違いや、導入によるメリットについて分かりやすく説明してくれました」(Chen氏)。
合同要件定義は丸4日をかけて開かれ、各社の経理スタッフから、普段使っている帳票の仕様や伝票の印刷様式などをヒアリングしつつ、スタッフ個々の要望を吸い上げた。要件は最終的に30件程になり、TISI上海はそれを全社共通機能として標準システムに盛り込むべきか、個社要件としてアドオン対応すべきかを検証し、神鋼投資と協議が進められた。

コベルコシステムとTISI上海の強みを融合

開発は当初の計画どおり、コベルコシステムが同社テンプレート製品「HI-KORT AX」、TISI上海が「中国会計テンプレート」を提供し合い、共同で「中国標準会計システム」の構築を開始した。「当グループの業務を知り尽くしたコベルコシステムの『神鋼標準テンプレート』に、TISI上海が持つ中国会計に関する多くの経験・知見が融合されることで、最良の標準システムになるという期待がありました」(中村氏)。
こうして、2016年8月にはパイロット版「中国標準会計システム」が完成し、実際の会計業務で半年間の試験運用を実施することとなった。ここでは、既存の会計パッケージを並行運用しつつ、「Dynamics AX」から出てくる数字に差異がないか確認が行われた。「試験運用の最初の3カ月は、TISI上海が月次決算の仕訳入力作業をサポートしてくれたので、旧会計パッケージからの移行もスムーズでした」(Chen氏)。
テスト期間も終盤となった11月には、「Dynamics AX」でアウトプットした情報に基づき、本社へ提出する第3四半期の財務報告書も作成された。Chen氏は「半年の試験運用を通じて、各社の経理スタッフの要望を漏れなく反映した、非常に満足のいくシステムになった手応えを感じました」と語る。

効果

日本本社への財務報告の精度・スピードが向上

こうして、試験運用を終えた2016年12月、神鋼投資の会計システムは「Dynamics AX」へと切り替えられた。課題となっていた四半期ごとの財務報告の改善点についてChen氏は「日々の会計業務で、日本式会計の勘定科目が選べるようになったことで『その他』に分類されるものが激減し、財務報告に必要な科目別の自動集計ができるようになりました。また、手入力で作成していたExcelシートの大部分が、『Dynamics AX』のアウトプットで代用できるようになり、作業時間の短縮とともにミスが起きにくくなったと感じています」と語る。
このように、業務プロセスが改善されたことは、日本本社の経理部の負荷軽減にもつながると中村氏は語る。「勘定科目と勘定コードがグローバルで統一されたので、中国語が分からなくても勘定コードから会計処理の内容を理解できます。経理部から海外拠点に対し、会計処理で不明な点を問い合わせる回数も大きく減らせるでしょう」(中村氏)。
また、会計報告以外の、日常的な経理業務でも「Dynamics AX」移行のメリットは大きいとChen氏は語る。「以前の『用友』にはなかった、取引先ごとの財務明細票が出力できたり、固定資産管理が行えるようになりました。これまで別途Excelを組み合わせていた作業が、一つのシステム上で完結するので、使い勝手のよさを実感しています」。

TISI上海による展開支援に期待

今回の神鋼投資に続き、順次、先行の4社への展開が行われる。Chen氏は「TISI上海とともに現地を訪問して、既存の会計システムの調査も実施しています」と語る。2020年までに他拠点へ展開する計画となっている。「今回、非常に完成度の高い標準システムが出来上がったことで、新たに個社要件に対応する追加開発を行うことなく、展開できるメリットは大きいと思います」(中村氏)。
現在、標準会計化は中国と米国の拠点が先行しており、近々、東南アジアなど他のエリアでも取組みが始まる。「TISはタイにも現地法人があり、『Dynamics AX』のロールアウト実績があると聞いています。ここでも、現地に最適化したシステム開発および展開のパートナーとして、有力な候補になると思います」(中村氏)。
今回のプロジェクトを総括して、中村氏はこう語る。「中国での標準会計システム構築はグループ初の試みで不安もありましたが、TISI上海の力強いリードで成功させることができました。今後の展開でも、ITパートナーとして支援をお願いします」。

導入イメージ

導入イメージ

お客さまの声

中村 正知氏

神鋼投資有限公司
統括企画部財務部門
高級経理
中村 正知氏

Chen Lu氏

神鋼投資有限公司
統括企画部財務部門
会計税務 主務
Chen Lu氏

「Dynamics AX」「用友」等のERPパッケージの知見から、中国の特殊な会計事情に対応させるノウハウまで、TISI上海の幅広い会計知識と技術力は、さすがだと感じました。合同要件定義では、TISI上海がフットワークよく動いて各社と調整してくれたことで、要望を広くすくい上げることができ、回り道せずまっすぐゴールに到達できました。会社の財務統制がどうあるべきかなど、本プロジェクトには直接関係がない質問に対しても、他社経験を踏まえたコンサルティングをいただけたことに感謝しています。(中村氏)

TIS担当者から

竹内次男

TISI上海
開発部 項目経理
竹内次男

本プロジェクトは、神鋼グループの皆様が一丸となって取り組まれたことが、成功の一番の要因だと考えます。最も難航したのは、合同要件定義で上がった要件の整理でした。どの要件にも、経理スタッフの方の強い思いがありますので、可能な限り反映できるよう神鋼投資様、日本本社のIT部門様、コベルコシステム様と意見交換を重ねました。
TISI上海は十数年にわたり、さまざまな業種のお客様とのお付き合いを通じて、現地でなければ得られない知識と経験を培ってきました。今後、神鋼投資様には、こうした当社の強みを活かし、「お困りごとを何でも相談できるITパートナー」になることを目指します。

※ TIS、TISロゴはTIS株式会社の商標または登録商標です。
※ その他の会社名、商品名、サービス名は各社の商標またはサービスマークです。

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更新日時:2023年10月4日 23時21分