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内製化とは?意味やメリット、システム開発・運用の事例を解説

公開日:2025年10月

内製化とは、これまで外部に委託していた業務を自社内で担う体制に切り替えることです。なかでも、システム開発や運用を内製化することで、コストの削減や業務効率化、ノウハウの蓄積など多くのメリットが期待できます。

本記事では、内製化の意味や目的、メリット・デメリット、内製化を進める上でのポイント、事例について解説します。

1. 内製化とは

内製化とは、これまで外部に委託していた業務を、社内リソースで実行する体制に切り替えることです。英語では「インソーシング」とも呼ばれます。

特に代表的な例として挙げられるのが「システム開発」です。システムの設計や開発、保守・運用、アップデートなどを、社内のSEや関連部門のリソースで実施するケースが内製化に該当します。業務全体を社内で内製化する場合もあれば、一部を外部委託した上で残りを社内リソースで担う運用方法も見られます。

内製化を図ることで、外部委託コストの削減に加え、環境変化への迅速な対応や社内ノウハウの蓄積など、さまざまなメリットが期待できるでしょう。

1-1. 外部委託(アウトソーシング)との違い

内製化(インソーシング)と並んで検討されるものに、外部委託(アウトソーシング)があります。

外部委託とは、システム開発や運用などの専門業務のうち一部またはすべてを、外部のベンダーに依頼することです。自社に専門人材が不足していても、最新技術やノウハウを持つ外部リソースを活用することで、必要なシステム構築や運用を実現できる点がメリットです。また、自社の人材をより重要な業務に集中させる環境へと整備できます。

しかし、外部委託にはコストが発生する一方、内製化に比べて対応スピードや柔軟性が劣る場合があります。そのため検討する際には、「完全に内製化するか」または「全面的に外部委託するか」という二者択一で考えるのではなく、両者をどのように組み合わせるかを見極めることが重要です。

たとえば、人的リソースや教育コストといった負担の発生が少ないと想定される領域を内製化し、専門性の高い業務については該当分野を得意とする外部パートナーに依頼するといった方法や、一部の部署から段階的に内製化を進め、必要な領域を選定しながら全社展開する方法などがあります。このように段階的・選択的なアプローチで、内製化の検討を進めることが望ましいでしょう。

2. 内製化の目的・求められる背景

システム開発をはじめとした業務の内製化が求められる背景・目的として、急速に変化するビジネス環境への柔軟な対応や、加速するDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進があります。

技術革新やライフスタイルの多様化などにより、顧客ニーズや市場の変化は以前よりもスピードを増している状況です。外部委託に全面的かつ過度に依存した開発体制では、コミュニケーションに時間を要し、市場が求める付加価値の高い製品・サービスを迅速に提供できないリスクが高まるでしょう。

こうした背景を踏まえ、段階的に内製化を進めることで社内にノウハウを蓄積し、迅速な意思決定や継続的な改善を可能にする、アジリティの高い体制を整備しておくことが重要です。

3. システム開発の内製化に関する現状と課題

ここでは総務省などのデータを参考に、システム開発の内製化について現状と課題を解説します。

2024年に総務省が公表した資料によると、日本でシステム開発を自社主導で行う企業の割合は約41%にとどまっています。一方、海外(米国・ドイツ・中国)では約85%~95%の企業が内製化を実施しており、日本との間に大きな差があることがわかります。

出典:国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究の請負成果報告書|総務省

また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の資料では、国内企業がシステム開発の内製化を進める上での課題として、「人材の確保や育成の困難」「新しい技術への対応が難しい」などが挙げられています。

日本企業が内製化を加速させるには、人材採用・育成体制の強化に加え、必要に応じて外部パートナーと連携して不足する技術やノウハウを補填するなど、自社にとって最適かつ柔軟な対応が求められているといえるでしょう。

参考:
国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究の請負成果報告書|総務省
DX動向2024|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)

4. 内製化のメリット

ここでは、システム開発・運用における内製化のメリットについて解説します。

4-1. 低コスト化

内製化の大きなメリットとして、コストの削減が挙げられます。システム開発や運用を外部ベンダーに委託していた費用を削減でき、そのコストを事業投資や社内人材の採用・育成活動など戦略的な領域に充てられるようになります。

内製化の初期段階では、環境整備や教育にコストがかさむ場合もありますが、中長期的に見れば運用や保守にかかる費用を抑えられるでしょう。

4-2. 技術・ノウハウの蓄積

内製化を進めることで、必要な知識やスキル、ノウハウが社内に蓄積されます。

外部委託は有効な選択肢である一方で、長期にわたり過度に依存しすぎると、自社の社員の業務理解度が落ちてしまい、必要なフローやシステムがブラックボックス化してしまうリスクがあります。外部ベンダーに委託する場合においても、漫然と指示を出したり従ったりするのではなく、自社側で業務内容を把握することが重要です。

対応可能な業務については内製化してプロセスを可視化することで、ブラックボックス化を防ぐことが可能です。さらに、蓄積した技術・ノウハウを体系化しマニュアル化することで、従業員の育成と組織全体のスキル向上につなげられる点もメリットといえます。

4-3. DXの推進

内製化により意思決定や対応が社内で完結するため、ビジネス環境の変化や顧客ニーズに迅速に対応できるようになります。その結果、デジタル技術を活用したビジネスモデルの変革や新製品・サービスの創出など、DX推進が加速すると考えられます。

具体的には、制度改正や市場動向に応じたシステム改修を行う際にも、外注先との打ち合わせやスケジュール調整、契約手続きに時間を取られることなく、自社内でスピーディに対応可能です。

4-4. セキュリティの強化

内製化により業務が自社内で完結するため、セキュリティの強化につながる点もメリットです。

外部委託では、機密情報や業務データを外部事業者に提供する必要があり、情報漏えいリスクが伴います。内製化を進めることで、顧客情報や設計書、契約書、ソースコードなどの重要な情報資産を社内に留めることが可能となり、セキュリティリスクの低減が期待できます。

5. 内製化のデメリット

システム開発・運用における内製化によるデメリットについて解説します。

5-1. 人材確保・育成が難しい

内製化を推進する上での大きな課題は、人材確保および育成の難しさです。特にIT分野では人材不足が深刻化しており、市場の拡大に対して必要なIT人材の供給が追いついていません。優秀な人材の採用が難しい状況が続いています。

仮に採用に成功しても、新しい技術が次々に登場することから社員の育成には時間とコストがかかり、内製化を継続的に進めることは容易ではないでしょう。このような課題に対しては、外部パートナーの協力を得ながら、段階的に内製化を進めるアプローチが推奨されます。

5-2. 品質管理が困難になる可能性がある

内製化によってシステム開発などを社内で担う場合、品質の確保が難しくなる可能性があります。

外部ベンダーは専任の技術者や品質保証体制を整えているため、安定したアウトプットが得られますが、社内体制を構築したばかりの段階では、一定水準の品質を維持することが容易ではありません。その結果、システムにバグが発生しやすくなり、従業員の業務効率低下やユーザーの利便性を損なう危険性があります。

さらに、新しい技術やプラクティスを開発プロセスに取り入れられず、従来の方法に依存すると、効率性が低下し市場の変化に迅速に対応できない状況が生じることもあるでしょう。

こうしたリスクを軽減するために、信頼できる外部パートナーに相談し最善策を参考にしながら、自社に適した方法を確立することが重要です。

6. 内製化に取り組むポイント

ここでは、システム開発を例に挙げ、内製化を成功させるために重要な3つのポイントを紹介します。今後、システム開発の内製化を検討している方は参考にしてみてください。

6-1. 段階的に推進する

内製化を効果的に進めるためには、段階的な推進がポイントの1つです。すべてのシステムを同時に内製化しようとすると、社内体制の整備が追いつかず、失敗のリスクが高まります。

まずは業務範囲が明確な小規模プロジェクトや、競争力の高い領域から着手する方法を検討してみましょう。優先順位を設定し、一部門に限定した業務ツールの運用を内製化するところから進めることで、プロセスの流れや必要な体制を徐々に構築できます。

内製化のノウハウや流れを把握できれば別の部門にも拡大しやすくなり、失敗のリスクを抑えながら全社的に推進できる体制が整います。

6-2. 中長期的な視点で取り組む

内製化を推進するためには、IT人材の確保や育成、新しい技術の習得、開発環境の整備などの投資が必要です。短期的に見ると、コスト増につながるケースが想定されます。

そのため「低コスト化」というメリットを短期目標として捉えると、負担感が強まることもあるでしょう。しかし、中長期的な視点に立てば、社内にノウハウや経験が蓄積され、外部委託にかかっていたコスト削減が期待できます。さらに、スピーディで柔軟な開発体制の構築につながるなど、さまざまなメリットを得られます。

6-3. ノーコード・ローコードツールの導入

システムを内製化する際に、ノーコード・ローコードツールの導入を検討してみましょう。これは、専門的なプログラミング知識がなくても、ドラッグ&ドロップや簡単な設定で、アプリやシステムを構築できるツールです。

従業員が自ら業務に必要なシステムを作成できるようになれば、現場の課題に応じて柔軟な対応が可能となり、業務効率化につながります。さらに、従業員にプログラミングスキルがない場合でも、システム開発・運用が行いやすくなるでしょう。

6-4. 内製化支援サービスの利用

内製化を進める過程では、技術面や体制作りなど、さまざまな課題に直面することがあります。そのような場合に役立つのが「内製化支援サービス」です。

たとえば、クラウド移行を進める際、現状の課題整理や体制構築、人材育成、開発運用まで一貫したサポートを受けられるサービスもあります。外部の支援を適切に取り入れることで、必要な知見やノウハウを獲得でき、内製化がスムーズに進むでしょう。

7. ノーコードでデータ連携の内製化が実現する「会計処理エンジン」

ここまで解説してきたように、システム開発や運用を内製化することで、アジリティの向上やノウハウの蓄積、セキュリティ強化など多くのメリットが得られます。

一方で、実際に内製化を進めるにはIT人材の確保やスキル育成などの課題も残ります。特に会計業務の領域では、自社独自の仕訳ルールやシステム間のデータ連携が複雑になりやすく、限られた社内リソースだけでの対応が難しい場面も少なくありません。

TIS株式会社の「会計処理エンジン」は、ノーコードであらゆるシステムと連携し、複雑な会計処理を行うソリューションです。大量の仕訳はもちろん、債権・債務や税務処理にも対応可能です。システム連携と会計処理がノーコードで設定できるため、メンテナンスの負担を大幅に減らし、会計領域における内製化が推進できる点が特長です。

たとえば、新規サービスの立ち上げや事業拡大に合わせて、社内の人材が自らデータ間連携を構築できるようになります。加えて、複数の社内データを一元的に集約し、自動的に仕訳データを生成できるため、業務効率化が期待できる点も魅力です。

もし、自社の環境で会計システムと周辺システムが十分に連携していない状況であるなら、各システムのメンテナンスに多くの労力がかかるだけでなく、会計データの発生源がブラックボックス化するなど、さまざまな課題が生じやすくなります。また、グループ会社ごとに異なるシステムを利用している場合、フォーマットの違いによる連結決算の負担も大きくなるでしょう。

そこで「会計処理エンジン」を活用すると、会計データを一元的に集約できることで、データ発生源のトレースが可能となり、ガバナンスの強化にも貢献するでしょう。

TIS株式会社は内製化に向けてのご支援も実施しています。プログラミングの専門知識がなくても、事業拡大や運用体制の見直しなど必要に応じて、社内で柔軟にデータ連携や運用を行える環境を整えるサポートを行います。

「会計処理エンジン」のルール設定や承認方法については、以下の動画をぜひご確認ください。

「会計処理エンジン」について詳しくは、以下のリンクをぜひご覧ください。

ノーコードでデータ連携が実現!運用の内製化を実現する「会計処理エンジン」について詳しく知る

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7-1. 【導入事例】ノンプログラミングで自社の複雑な会計ロジックに対応|セガサミーホールディングス株式会社様

セガサミーホールディングス株式会社様(以下、セガサミー)は、グループ会社である株式会社セガが使用していたERPの保守期間終了を機に、新たなERPパッケージへの移行を計画しました。しかし、それまでERP会計システムやスクラッチのシステムを組み合わせて処理してきた自社固有のロジックへの対応をどう実現するかが課題でした。
移行先としたERPは同社が求める粒度での配賦に標準対応できず、一般的にこのようなケースでは、アドオンを新規開発し個社要件への対応が図られますが、セガサミーではアドオン開発を行わず標準機能のみで運用するというポリシーがありました。

複雑な会計処理に対応できる製品を見つけられず、最終手段として中間システムを新規開発する案に傾きかけたころ、TISの「会計処理エンジン」が有力候補へと浮上しました。当時、「会計処理エンジン」は配賦処理に対応していませんでしたが、新機能として対応することに。配賦の一パターンである本社経費や共通経費をプロジェクトごとに割り当てる共通費配賦処理の機能を「会計処理エンジン」に組み込み、正式に採用が決定しました。

運用開始後の配賦ルールや仕訳ルールの変更はセガサミー社内で行うこととなりました。「会計処理エンジン」はノンプログラミングで設定ができるため、このような運用の内製化に適しています。

参考:セガサミーホールディングス株式会社様の導入事例はこちら

8. まとめ

内製化とは、外部に委託していた業務を自社で担う体制へ切り替えることを指します。コスト削減やノウハウの蓄積など多くのメリットがある一方、人材確保や品質維持といった課題も伴います。「完全な内製化か全面的な外部委託か」ではなく、外部パートナーへの依頼も検討しながら段階的に進めることで、自社に合った体制構築が可能になるでしょう。

会計業務の領域で内製化を検討している場合、TIS株式会社の「会計処理エンジン」がおすすめです。「会計処理エンジン」ではノーコードであらゆるシステムと連携し、複雑な会計処理を行います。大量の仕訳以外に、債権・債務や税務処理にも対応します。データを集約し仕訳データの生成も可能なため、業務効率化にも役立つでしょう。

詳しくは、以下のリンクや資料をぜひチェックしてみてください。

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更新日時:2025年10月10日 16時20分