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VM基盤をクラウドに移行するための秘訣をお教えします
~「Oracle Cloud VMware Solution」と「マイグレーションサービス」~

上層部から「急いで稼働中のVM基盤をクラウドへ移行せよ」と命じられてお困りの情報システム部門の方は多いのではないでしょうか? 人手も時間も足りない中で、現行環境をアセスメントして、移行できるかを評価し、移行計画を立て、実施した後の運用についても検討するのは非常に困難です。

TISでは、VMware vSphere基盤で稼働している大規模なオンプレミスシステム、データベース、アプリケーションも含めたシステム全体、あるいは既にバージョンアップをあきらめて塩漬けになっているシステムなどを対象に、Oracle Cloud VMware Solution(以下OCVS)へのマイグレーションサービスを提供しています。

本記事では、OCVSとはどのようなもので、どういったお客様に適しているか、さらにTISが提供しているOCVSマイグレーションサービスとは何か、どのようなメリットがあるのかをご紹介します。

2022年4月にTIS株式会社、ヴイエムウェア株式会社、日本オラクル株式会社の3社が共同開催したセミナー「緊急ミッション!! 稼働中のVM基盤をスピーディにクラウドへ移行完了させよ!!」を再構成し、さらに2022年9月現在の最新内容もプラスしてお届けします。TISが実施した検証結果もダウンロードできますので、是非参考にしてください。

1.課題はDXの推進と基幹系システムのクラウド化

近年のIT動向について、TIS株式会社 DXビジネスユニット 経営管理サービスユニット アプリケーションテクノロジー部 エキスパートの貴志 大輔は、「重要なキーワードは“DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進”と“基幹系システムのクラウド化”です」と調査会社の報告書を示しながら強調しました。

ただしこの2つのキーワードには課題があります。DXの推進にはクラウドネイティブなサービスを活用した既存システムの刷新(クラウドシフト)が必要ですが、クラウドシフトするためにはまず既存システムのクラウドリフトが必要です。また基幹系システムのクラウド化には、大規模なデータベースも含めシステム全体の移行ダウンタイムを極小化する必要があり、高い可用性・堅牢性・性能が求められます。

TISでは、基幹系システムを「Oracleデータベース+VMware」で運用されている多くのユーザに向け、これらの課題を解決するために、「Oracle Cloud VMware Solution」を活用し、既存のマイグレーションサービスと組み合せ、基幹系システム全体のリフトをサポートしています。

2.OCVS(Oracle Cloud VMware Solution)とは

マルチクラウドの利用が標準となってきた近年、ワークロードをクラウドに移行したいとお考えになっている方も多いのではないでしょうか。そうしたニーズにお応えするために、OracleとVMwareが手を組んで提供を開始したのがOCVSです。そう話すのは、ヴイエムウェア株式会社 クラウドサービス事業部 クラウドパートナー営業部 クラウドセールススペシャリスト-OCVSの増田 雄作氏です。

VMware SDDCとOracle Cloud Infrastructure(以下OCI)が完全に統合された、柔軟性と自由度の高いクラウドサービスです。オラクルは日本で現在提供されているVMware Cloudの中では唯一、ハードウェアも扱っているため、OCVSで提供されているハードウェアも高パフォーマンスのものが搭載されています。

OCVSには五つの特徴があります。

  • フルコントロール可能な専有環境
    OCVSは管理者権限を保持し、VMware SDDC環境のフルコントロールが可能です。Oracleもお客様の環境へのアクセスが行えないセキュアな環境を利用可能です。VMwareソフトウェアのパッチやアップグレートはお客様の任意なタイミングで実施可能です。
  • 使い慣れたToolによる運用効率化
    VMware SDDCを機能制限なく使用でき、オンプレミスと同じ操作が可能です。アプリケーションやIPアドレスを変更することなく容易に移行することができ、要件に応じてバージョンを選択可能です。「すなわちコストを抑えつつ、ゴールできるのもメリットとなります」と増田氏。
  • 高パフォーマンス高集積
    OCVSは高パフォーマンスが特徴です。他のVMware Cloudと比較しても圧倒的にサーバあたりのコア数やメモリ、ストレージが多いため、多数の仮想マシンを集約可能です。これにより、大規模システムに最適であると言えます。
  • Oracleアプリケーションとの親和性
    データベースを含めた70以上のOracle Cloudサービスを利用可能です。VMware SDDC環境とOracle Cloudサービスは同一VCN内に配置できるため、高速で低遅延なアクセスと連携を実現できます。またFastConnectを使った専用線接続の場合、オンプレミスとOracle Cloud間のデータ転送料が無料となっています。増田氏はこの4つめがOCVS最大の特徴だと言います。「オンプレミス同様の運用パフォーマンスが発揮できます。すなわちミッションクリティカルなシステムをクラウドで稼働させるには最適な仕様です」と増田氏は訴えます。
  • 豊富に選択可能なリージョン
    OCVSはグローバル34リージョンすべてで使用可能です(国内では東京・大阪の2リージョンで使用可能)。Dedicated Region Cloudにより、お客様のオンプレミス環境(ファイアウォールの内側)にOCVSを構築することも可能です。

なお、セミナー当時は3ホストでのSDDC構成のみでしたが、2022年8月のアップデートによりSingle Host SDDCもリリースされました。より手軽に安価にOCVSが利用でき、移行・運用の実現性検証(PoC)などで活用できます。

3.OCVS活用の国内・海外事例

日本オラクル株式会社 事業統括戦略 事業開発本部 第二事業開発部の近藤 暁太氏は、エンタープライズシステムにおいてよくある課題として、

  • 既存システムの保守にコストがかかり、新規開発が難しい
  • 急激な変化への迅速な対応が困難
  • 災害対策が行えていない
  • 外部サービスやシステムとの接続が困難
  • 全社的なクラウド移行が求められているが対応が困難

の5つを挙げました。

これらの課題を解決するのがOCIです。OCIの特徴はエンタープライズのシステムを移行しやすいクラウドであると近藤氏は強調します。
その理由として、

  • 専用ハードウェアにより強固にテナントを分離し、高いセキュリティと安定したパフォーマンスを提供
  • 低遅延フラットネットワークでデータセンター内を接続し、あらゆるサービス間で安定した低遅延通信を実現
  • 高い負荷にも対応可能なデータベースサービス
  • ベアメタルサーバやL2ネットワークなどのオンプレミスと同様の構成が可能なサービス
  • VMware環境をそのまま移行可能なVMwareサービスを提供

とOCIの特徴を5つを挙げました。最後の「VMware環境をそのまま移行可能なVMwareサービス」こそがOCVSです。

近藤氏は、OCVS活用の国内・海外事例を紹介しました。

  • エンテル(チリ)
    エンテルはサンディエゴに本社を構えるチリの大手通信企業です。エンテル社は、顧客エンゲージメントや、ビジネスインテリジェンス、リスク管理システムなど60を超えるミッションクリティカルな本番アプリケーションを、パフォーマンスとセキュリティを強化するために、物理サーバからOCVSを使用してOCIに移行しました。「データベースのパフォーマンスは3倍に向上し、コストもシステム全体として下げることができた事例です」(近藤氏)
  • 戸田建設株式会社(日本)
    戸田建設では、内製によるシステム構築を進めるにあたり、運用コストを削減し、かつユーザが環境を制御できる必要がありました。また、Oracle Databaseも多く運用していたため、データベース管理コストの削減も求められていました。それらの課題を解決するため、戸田建設はOCVSを採用しました。導入の結果、クラウドによるインフラ管理コストと、Oracle DatabaseのPaaSサービス活用によるデータベース管理コストの大幅な削減を実現しました。
  • Telecom Italia Mobile Brasil(ブラジル)
    Telecom Italia Mobile Brasilでは、ミッション・クリティカルなワークロードをOracle Cloudへ、VDIとSAP HANAのワークロードをMicrosoft Azureへ移行しました。OCVSとMicrosoft AzureはInterconnectで専用線接続しており、「OracleとMicrosoftが一緒にサポートしていますので安心して使っていただけるようになっています。こうしたマルチクラウドで活用されているお客様は実際に増えています」(近藤氏)

近藤氏は、OCVSが世界中で採用されている理由について、「少ないコストでクラウドに移行できる」「安定した高パフォーマンスで稼働できる」「クラウドを最大限活用できる」という3点を挙げました。

4.OCVSへの移行をワンストップでトータル支援

TISは2022年4月、「Oracle Cloud VMware Solutionマイグレーションサービス(以下、OCVSマイグレーションサービス)」を提供開始しました。TISではこれまでも、Oracle Databaseを含むシステム基盤のクラウド化の課題を解決する「Oracle Cloud Infrastructureトータル支援サービス」を提供してきましたが、これを拡張する形で、オンプレミスで稼働しているVMware vSphere仮想サーバをOCIへ一括で移行するサービスです。

「OCVSマイグレーションサービスは、vSphereのOCVSへの移行をコンサルティングから運用までワンストップでトータル支援します」と紹介するのは、TISの貴志です。

コンサルティングサービスは、「アセスメント」と「PoC」の2つのメニューで構成されています。アセスメントで導入移行の計画策定を支援し、PoCでは移行/性能/運用の観点で検証することで実現可用性を確認します。

導入・移行サービスでは、導入、セットアップからVMware仮想サーバ移行、システム切替えまでを支援します。TISの各サービス導入、移行アセットテンプレートを使いながら、効率的に導入、移行を実現し、要件に応じて、高可用性構成やディザスタリカバリへの対応、セキュリティツールの導入、停止時間を極小化した移行の実現など、ノウハウと実績豊富なTISならではの技術力で支援します。

運用保守サービスでは、TISがもつOracle統合運用管理サービスを拡張し、継続的な保守運用と改善提案を行います。お客様自身で運用される場合には手順書やナレッジトランスファーを十分に行い、運用担当者へ引継ぎます。OCVSマイグレーションサービスは、トータルで支援するサービスですが、一部メニューのみの選択も可能です。

  • OCVSマイグレーションサービスの対象
    VMwareの仮想サーバ群をOracle Databaseを含めクラウド化したいお客様や、クラウド移行を検討中のお客様が対象です。「クラウド移行、とくにマルチクラウド/ハイブリッドクラウドを求められているお客様に、私たちの持つ強みが充分に発揮できると考えています」(貴志)

    とくに、「OCVSと他VMwareクラウドサービスとマルチクラウド構成を取りたい」「オンプレミスのVMwareとハイブリッド構成を取りたい」「他パブリッククラウドのベンダーロックインを抑止したい」といったご要望のお客様に最適なサービスです。
  • OCVSマイグレーションサービスのメリット、優位性
    TISは、金融系などのミッションクリティカルシステムのOracleデータベースの移行実績も豊富で、基幹系システム全体のクラウド移行をサポート可能です。また他社VMwareクラウドサービスの実績もあり、マルチクラウドへも対応可能で、運用体制も整っています。「移行後の運用まで含め、OCVS、データベースもトータルで支援させていただけるところが私たちの強みです」(貴志)

    OCVSが持つさまざまなメリットと、TISが持つ優位性・強みを掛け合わせることで、OCVSマイグレーションサービスは「基幹システムの最適なモダナイズ」「TCO削減」「DX推進の加速」といった価値をお客様に提供します。

TISでは、OCIトータル支援サービスの対応範囲をアプリケーション実行基盤(構成管理やコンテナ)まで拡張し、サービスラインナップを拡充していきます。IT基盤、アプリケーションのコンサルティングから運用までを支援し、お客様のクラウド活用によるDX戦略推進やデータ活用基盤の高度化による企業競争力向上に貢献します。

5.OCVSの有効性を検証

TISでは今回、OCVSの有効性検証を実施しました。エンジニア視点で他社クラウドとの比較を行っています。OCVSの性能や操作性、機能面等においてオンプレミスや他社クラウドとの違いや、ハイブリッド構成の実現性などを把握・確認したいということから実施しています。それによりOCVSへの期待と疑念を明らかにし、基幹システムのクラウド基盤として有効かを検証・評価しました。

検証項目大分類は、以下となっています。OCIの中でOCVSのSDDCがどう構成されるか、特にネットワーク構成などは一つのポイント・肝となっています。

検証1 構築、接続性
検証2 オンプレミスからの移行性
検証3 運用性
検証4 性能

下記リンクからOCVS検証結果をダウンロード頂けます。ぜひ検討資料としてご活用ください。

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更新日時:2023年10月4日 21時28分