自律型人材の育成に必要な3つのポイント
「自律型人材」が注目される理由
過去、社員は資源と称され、経営者が過去の成功体験から作りあげた業務プロセスや「生産ライン」に投入され、お金に変換されていました。
現在、業務プロセスや「生産ライン」に投入されるべきものは「情報」となっています。この「情報」から、誰かが喜ぶ「価値」を作り出すためには、社員自らの意思で情報を理解し、考え、行動ができる「自律型人材」が業務プロセスやバリューチェーンそのものになる必要があります。
自律型人材の育成には、社員ひとりひとりが自分の存在意義を再確認し、自信を持って業務に取り組めるよう、「自己理解」「信頼関係」「相互理解」「相互学習」「コラボレーション」の機会を提供することが重要です。
本コラムでは、そうした機会創出や自律型人材育成の実現に向けて必要なポイントを紹介したいと思います。
自律型人材の育成に欠かせない3つのポイント
人的資本経営の土台となる自律型人材の育成には、社員自身が会社にとって自分がどのような「資本」であるかを自覚することがとても重要です。
社員が自分の能力や技術を自覚し、その能力や技術が組織に開示されていて、担当している業務に生かされている状態とすることで、社員も組織もパフォーマンスが最大化します。また、社員エンゲージメントも高まります。その能力や技術を本人と組織が成長させる意思と計画がある状態こそ、経営戦略と人事戦略が整合している状態であるとも言えます。社員が「自覚すること」がとても重要です。
そうした自覚を促すためには下記の3つのポイントが欠かせません。
①リフレクション
「リフレクション」とは、自分の「感じ方」「考え方」を知る学習行為です。
なぜ私はこの仕事が好きなのか?なぜ私はこの会社を選んだのか?なぜ私はこのチームで働くのか?等の問いに対して、自分の思いや意思、意見や経験を振り返り、自分のことを深く見つめ、自分なりの答えを導き出します。意見は過去の経験や学習から形成され、経験は感情と共に記憶されています。また、感情は自分が大切にしている尺度や価値観、「本心」がつながっています。本心を知る、ということは自分の「本気」の在り処を知る、ということです。本気の「気」は気持ちの「気」です。自分の気持ちを知り、自分の気持ちの使い方、活かし方を知ることで、パフォーマンスを向上させることが出来ます。
②対話
「対話」とは、他者の「感じ方」「考え方」「経験」を知る学習行為および人間関係構築行為です。
なぜあの人はこの仕事が好きなのか?なぜあの人はこの会社を選んだのか?なぜあの人はこのチームで働くのか?等の問いを持って他者と関わることによって、その方の思いや意思、意見や経験を知ることが出来、信頼関係を構築することが出来るようになります。さらに、相手の経験を深く理解することで、「自分だったらどうするか」という学習につながる疑似体験も可能となります。他者との対話には、自分自身がリフレクションを身に着けておくことも重要です。
③経験学習
「経験学習」とは、過去の自身の行動により、自分自身と、自身のまわりの「社会」にどのような変化が起こったかを確かめ、そこから仮説や法則を導き出す行為です。行動と結果の因果をリフレクションし、新たな仮説を立て、次の行動に活かします。経験学習の成果物はより良い未来に自分を導く「自分なりの物語」です。
- 自身のまわりの社会へ及ぼした影響を計測するためには、他者の評価を確認する必要がある(対話)
- 自身の変化を知るために、客観的な視点を取り込む必要がある(フィードバック)
- 自身の行動による変化は徐々に、継続的に発生します。定期的に振り返り、因果を確かめ、仮説を更新していくことが大事(継続)
- 客観性よりも、「自分がそう思えること」が重要。リフレクションし、自身の価値観と因果を紐づけ、自分事として解釈する(当事者、主人公)
大切なことは、「感情」を頼りに時間を越え、ありありとその場面を振り返ったり、想像したりすることで、未来につながる練習・訓練・学習の機会とすることが出来ます。
感情が、過去と未来と「今」の自分をつなげてくれます。
自分の能力や技術を「自覚」させるには、社員にリフレクションの機会と「問い」を継続的に提供し、多面的に自己理解を促していくことが重要です。
また、社員との対話を通じて共感や肯定や期待を伝えることで、心理的安全性を高め、学習や挑戦の行動が起こり始めます。
学習や挑戦をリフレクションすることで、仮説や持論がアップデートされます。
またチームでの対話を通じて社員個人の知見が他の社員に広がり、チーム総合力が高まります。
出展:一般社団法人21世紀学び研究所
「リフレクション」「対話」「経験学習」実践での課題
前述のとおり、自律型人材の育成には、社員自身が、自分の能力や技術と課題を自覚し、課題解決に向け、能力や技術を本人と組織が成長させていく意思がある状態を作り出すことが必要です。
「リフレクション」「対話」「経験学習」の実践にはいくつかの方法がありますが、TISが推奨している方法は下記の通りです。
「リフレクション」においては「認知の4点セット」というフレームワークが存在しており、それらに当てはめてることで自己の思考、感情、価値観を客観的に捉えることができます。自分のリフレクション結果を「対話」を通じて客観的にフィードバックしてもらい、自身の能力や技術や課題の自覚を促したうえで、仕事の経験を振り返り、「知見化」を導く「経験学習」へと繋げていく必要があります。
しかしながら、方法を理解していても、いざ組織で実践しようとしてもなかなかうまくいかないことが多いです。
能力や技術や課題を自覚させるには、それらを「可視化」し、組織で共有可能な状態とすることがとても重要
です。
TISではこうした課題を解決し、自律型人材育成を実現するための自律型人材育成支援プラットフォームを提供しています。
独自の特許技術などを駆使し、「リフレクション」「対話」「経験学習」の実践を日々の業務に実装するための機能が盛り込まれています。