お客様とのPoCで、コミュニティに“感謝”が循環する「ソーシャルグッド」な経済圏を共創する
mineoとのPoCに学ぶ、未来のファンコミュニティ戦略
1. TISが提唱する「WOW(ワオ)体験」の中で、
“ソーシャルグッドな消費体験”とは?
誰かの役に立つこと、社会の役に立つことで充足感を得つつ、それが巡り巡って自分へのサンクス(報酬)になって返ってくる。TISは、そんな「感謝経済」こそが、これからの消費者が求める体験のひとつだと考えています。
近年の消費者は、モノやサービスを買う行為が、自身の「ウェルビーイング(Well-being)」、つまり心身ともに満たされた状態につながるかどうかを、とても重視するようになりました。社会のデジタル化が進み便利になる一方で、どこか人とのつながりが希薄になり、孤立感を抱きやすくなっている。そんな社会背景があるのかもしれません。
私は2018年頃から、趣味嗜好や意思といったパーソナルな情報を活用し、ユーザーの「なりたい自分」を実現していく情報銀行プラットフォームである「ペルソナバンク」の構築に取り組んできました。そして、このプラットフォームを活用し、会員コミュニティの中で「この場所に公園がほしい」「この施設でイベントを開催したい」といった、“場所”に紐づくWish(願い)を叶える仕組みへと発展させていきました。
これは、会員がWishを投稿し、共感した他の会員が願いを叶えると、「ありがとう」の気持ちがポイントなどの報酬(サンクス)として贈られるというものです。
コミュニティの中で「感謝」が循環するこの仕組みは、会員に金銭的な価値だけではない、社会の一員として貢献する充足感(社会的価値)や、人とつながる温かさ(情緒的価値)を提供します。結果として、その企業やブランドへの愛着や信頼が深まり、より強固なファンになっていただく。TISは、自治体と住民が協働する地域コミュニティや、クレジットカード会社の会員向けサービスなど、様々な場面でこの感謝経済が求められる未来を考え、このプラットフォームの準備を進めてきました。
■ TISが提案する4つの「WOWな体験」
・テーラーメイドな個客体験
検索やレコメンドに頼らず、自分に本当にあったモノを買える
・欲しい気持ちが一瞬で高まるコンテンツ体験
価値観にあう画像・動画・キャッチフレーズ等で、一瞬で購買意欲がかき立てられる
・ソーシャルグッドな消費体験
買うという行為で、社会貢献など精神的な充足感が得られる
・境界を越えて広がるコマース体験
ECサイトに行かなくても、生活時間のあらゆる接点で気軽にモノを買える
2. コミュニティのユーザー同士が願いを叶えあうかたちの実例を教えてください。
関西電力グループの株式会社オプテージ様が運営する、携帯電話サービス「mineo」のコミュニティサイトでの実装準備を進めています(2025年8月時点)。「ペルソナバンク」を活用した、会員同士が願いを叶えあうプラットフォーム」の構築を通じて、ブランドが大切にしてきた価値をさらに高める挑戦をご一緒しています。
お客様の声:株式会社オプテージ様
“目指す未来が近い”TISと、初対面で意気投合![]()
冲中 秀伸 様
株式会社オプテージ
モバイル事業推進本部
モバイル事業戦略部
コンシューマモバイル戦略チーム サブマネージャー
● 「mineo(マイネオ)」の成長エンジンは会員との共創
私たちオプテージが提供する携帯電話サービス「mineo」は、135万件のご契約をいただいています。このmineoのコミュニティサイト「マイネ王」には全国88万人を超える方々にご登録いただき、多くのユーザーの皆様に支えられています。 “Fun with Fans! ”というコンセプトを掲げ、ファンとのサービスの共創を何よりも大切にしてきました。
その象徴が、コミュニティサイト「マイネ王」で提供するサービス「フリータンク」です。自分の余ったパケットを、足りなくなった他のユーザーに無償で分け与える。通信会社のビジネス感覚では通常あり得ないようなこの仕組みこそ、私たちがユーザー同士の助けあいから生まれる体験を大切にしたいという思いの表れです。![]()
● 場所に紐づく願いを叶えあう仕組みに驚き
2025年に入って間もない頃、TISから「提案があるのでお時間をいただけないでしょうか」と連絡がありました。正直に言うと、大手SIerからの提案ですから、どうせ基幹システムの話だろうと思っていたんです(笑)。 ところが提案を受けて、“会員同士が場所に紐づく願いをテキストや写真投稿で叶えあうサービス”を実現するという内容であることに驚きました。
具体的なユースケースとしては、『今◯◯町にいるけど、地元の方のおすすめの飲食店は?』『万博会場の今の混雑状況を写真で見たい!』といったライトなものから、『昔住んでいた地元の小学校の現在の様子が見たい』といったエモーショナルなものまで。願いを叶えてくれたユーザーには、お礼として自身の通信データ容量(パケット)を提供するという、感謝が循環する仕組みまで考慮されていました。それは、私たちがオンラインで育んできた助けあいの文化を、リアルの世界に広げるアイデアそのものでした。話を聞き終えて、思わず「いいですね!」と言葉が出ました。
● 目指す世界観が近いことが成功の一番の要因
コミュニティサイトユーザー向けに実装するための準備は、非常にスムーズに進行中です。その一番の要因は、「mineoの理念を理解してもらった」というよりも、「そもそもお互いが目指している世界観が近かった」ことに尽きると思います。 私たちが、通信データ容量をやりとりするAPIを持っていたことも円滑化に役立っています。この既存リソースを活用して、願いを叶えてくれた人にパケットを贈るという感謝経済のエンジン部分を短期間で実装することができました。
mineoがオンラインで育んできた「助けあいの文化」と、TISが提案する「リアルな場所で願いを叶えあう感謝経済」。二つのビジョンがぴったりと重なりあったからこそ、このスピード感が生まれたのだと思います。 この新しい仕組みは、会員の皆様に「誰かの役に立つ」という喜びを、より手軽かつリアルに感じてもらう機会になるはずです。これからも、私たちのコミュニティの体験価値をさらに高めてくれるような、TISからの斬新な提案に期待しています。
■ 画面イメージ
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※今回ご紹介した、mineoユーザー向けの新たなプラットフォームは2025年8月13日より有用性の検証(PoC)を開始します。
3. TISとPoCを始めるには、どんな準備が必要ですか?
未来志向のPoCを始めるために必要なのは「こんなことができるといいのに」「少し先の未来を一緒に考えてほしい」という、お客様の“思い”だけです。
私たちの提案から始まるPoCは、基本的にお客様に大きな稼働のご負担をおかけすることはありません。PoCをスタートしてから、最短約半年でのサービス実装を目指します。まずはお客様がイメージする未来や課題を徹底的にヒアリングし、私たちの初期提案を一緒に磨き上げていく。そして、新機能をサービスに組み込む技術的な部分は、基本的にTISが主導して進めていきます。
私たちシステムインテグレーター業界は、長い間、お客様から要件をまとめたRFPを受け取ってから提案する流れが常識でした。しかし、それでは既存の枠組みを超える新しい価値は生まれません。共創で最も大切なのは、ITの話から入ることではなく、「どうすればエンドユーザーである生活者に心から満足してもらえるか」「どうすれば彼らのウェルビーイングな生き方に貢献できるか」という、ビジネスの究極の目標をディスカッションすることです。
事業の成長と社会への貢献を両立させたいと願う皆様、ぜひTISに声をかけてください。未来に向けた会話を始めましょう。
最後に
私は、パーソナルデータを軸とした情報銀行プラットフォーム「ペルソナバンク」の立ち上げをはじめ、一貫して、生活者が“なりたい自分”になれるようお手伝いする仕組みづくりに携わってきました。近年の生成AIの進化など、テクノロジーの目覚ましい発展により、一人ひとりの特性を深く理解することが可能になり、いよいよ実現できる環境が整ったと感じています。
今回ご紹介したオプテージ様との取り組みで活用している「ペルソナバンク」は、私たちのソリューションブランド「MARKETING CANVAS」のひとつとしてご提供しています。これからも、情熱を持つお客様との出会いを一つでも多く増やし、PoCを出発点として未来のストーリーを創り上げていきたいと願っています。