消費者の購買行動は、今後も変化していくことが予想され、ユニファイドコマースを支えるシステム基盤には、柔軟性・拡張性が求められます。「変化に強い」基盤とするには、個別にシステム間の連携を図るのではなく、統一化/構造化によって基盤の柔軟性を高めることが、顧客への価値提供につながると我々は考えます。
TISインテックグループでは、ユニファイドコマースに適したシステム基盤を、次のように3つのレイヤー(サービスレイヤー/プラットフォームレイヤー/基幹システムレイヤー)から構成することを推奨しています(図参照)。
最下部「基幹システムレイヤー」は、企業内に存在する在庫管理システムや販売管理システム等の基幹システムのことで、上位レイヤーから切り離しておくことで、変化の影響を受けずに済みます。
最上部にある「サービスレイヤー」とは、たとえばスマホにインストールするECアプリや、ECのWebページなど、顧客接点になる部分です。今後、VRをインタフェースとしてグッズを購入したり、自宅の冷蔵庫が自動で購買を行なうといった、新しいテクノロジーをいち早く採用し、頻繁にアップデートが図られる領域となります。
そして、中間にある「プラットホームレイヤー」は、ユニファイドコマースを支えるいちばん重要度の高い部分と言えます。主な役割は、複数の販売チャネルのバックエンド(「受注」「在庫確認」「出荷」など)を担う機能を共通化することです。こうした機能は一般的に「OMS」(オーダーマネージメントシステム)と総称されます。
これまで、企業が広く採用してきた定番のECパッケージでは、OMSを含むすべての機能をオールインワンで提供していました。ユニファイドコマースの実現に向けては、こうしたワンストップ型の仕組みから、消費者との接点になるサービスレイヤーは「SaaS型のECシステム」、受注や在庫確認等の機能は同じく「SaaS型のOMS」を組み合わせるモジュール構造に変革することを推奨します。
これにより顧客接点が変化しても、他のレイヤーに大きく手を入れる必要がなく、コマースのバックエンド機能を安定的に運用できるメリットが生まれます。このように、ECサイトを含むコマースを複数モジュールで構成するかたちは、「ヘッドレスコマース」とも呼ばれ、最近のECシステムのトレンドになっています。
このような考え方に基づき、システム基盤の再構築を進めていくことが、ユニファイドコマースを早期に実現するための第一歩になります。