ノーコードとは?ローコードとの違いやメリット、ツールの選び方
公開日:2025年2月
現代のビジネス環境では、企業のDX推進が加速する一方で、ITエンジニア不足や基幹システムの老朽化といった課題が顕在化している傾向にあります。経済産業省によると、2030年にはIT人材不足が最大で約79万人に拡大すると予測されています。
限られたリソースで業務改善やシステム刷新を進めるために注目されているのが、ソースコードを書かずにシステム開発を行える「ノーコード」です。本記事では、ノーコードによってできることや、よく混同される「ローコード」の違い、ノーコードのメリット・デメリット、選び方をわかりやすく解説します。
■目次
1. ノーコードとは
ノーコードとは、ソースコードを書かずにWebアプリケーションや業務システムなどを構築できる開発技術です。ノーコード技術を用いて開発が行える製品は、一般的にノーコードツールと呼ばれています。
従来、システム開発においては必ずソースコードを記述する必要がありました。ソースコードとは、コンピュータに特定の動作をさせるための命令文です。一方、ノーコードツールは、あらかじめ用意されたテンプレートを利用して、コンポーネントを組み合わせながら開発を進められる仕組みです。
ノーコードツールは直感的に使えるツールが多く、プログラミングの知識がない初心者でも手軽に利用しやすい点が特徴であるといえます。
1-1. ノーコードツールでできること
ノーコードツールを使用すると、さまざまなWebアプリケーションやWebサービスなどを作成できます。主な活用例は以下の通りです。
| 活用例 | 概要 |
|---|---|
| Webサイト開設 | HTMLやCSSといった専門知識がなくても、デザインのテンプレートやコンポーネントなどを組み合わせ、企業の公式サイトや製品のLP、オウンドメディアの開設が可能 |
| ECサイト開設 | ECサイトに必要不可欠な「決済機能」や「カート機能」などが標準で備わっており、複雑な操作なく開設が可能 |
| 業務用アプリケーション開発 | タスク管理から勤怠管理、請求書管理まで、さまざまなアプリケーションの開発やアップデートが可能 |
| モバイルアプリ開発 | ドラッグ&ドロップで機能を配置しながら、SNSや動画配信サービスなど、多様なスマートフォン用アプリの開発が短期間で可能 |
| データ連携・管理 | 部門ごとで異なるシステムで管理されている情報を集約し、一元管理するプラットフォームの構築が可能 |
ノーコードツールによって機能や活用方法が異なるため、自社の目的に合ったものを選ぶことが大切です。
2. ノーコードとローコードの違いとは
ローコードとは、ソースコードの記述が一部必要となる開発技術です。ノーコードはソースコードを一切書かずに開発を進められますが、ローコードは必要に応じて記述が必要になる点が違いとして挙げられます。
ローコード開発にはプログラミングの専門知識が必要です。しかし、ノーコードよりも柔軟にシステム開発を行える点がメリットといえます。比較的高度なカスタマイズを行いたい場面では、ローコードツールの利用が適しているでしょう。
ノーコードとローコードの違いをまとめると、以下の通りです。
| 種類 | ノーコード | ローコード |
|---|---|---|
| コード記述 | 完全に不要 | 一部必要 |
| 開発工数 | 最小限で進められる | 工数は比較的多い |
| 拡張性 | 限定的 | 高い |
非エンジニアが社内用業務アプリを開発する場合にはノーコードツールを、ITエンジニアが顧客向けWebサービスを開発する際にはローコードツールを用いるなど、利用目的や開発者のスキルに応じて使い分けましょう。
3. ノーコードが注目される背景
次に、ノーコードが注目されている背景について説明します。主に、以下の3つのポイントが挙げられます。
3-1. ITエンジニア不足
AIの活用やDX推進などに伴い、IT需要は急速に拡大しています。一方で、企業ではITエンジニアの確保が追いつかず、慢性的な人材不足が深刻な課題となっています。
ここで、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が2025年に公表した「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2024年度)」を見てみましょう。同調査では、DXを推進する人材が全体として質・量ともに不足していることが指摘されており、なかでもソフトウェアエンジニアが『やや不足している(26.5%)』、『大幅に不足している(35.7%)』と回答した企業を合計すると62.2%に達しています。このように、開発を担う直接的な人材の不足が顕著であることがわかります。
出典:デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2024年度)|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
ITエンジニアが不足している状況では、新たなシステムやWebアプリケーションなどの開発が間に合わず、プロジェクトや業務改善の遅延につながりかねません。こうした課題を解決する手段として、ノーコードツールの活用が注目されています。専門知識がなくても比較的容易に扱えるため、人手不足解消の一助となるでしょう。
3-2. レガシーシステムからの脱却
レガシーシステムからの脱却を図るために、ノーコードツールが活用されています。レガシーシステムとは、長年にわたり運用されてきたITシステムです。古い技術や仕組みで個別最適化されており、最新技術や業務要件に適合できず、企業のDXを阻む障壁の一つとなっています。
システムの機能を段階的に置き換えるアプローチとして、ノーコードツールの活用が有効です。短期間で業務用アプリなどを構築できるため、システム刷新に向けた一歩を踏み出せるでしょう。
レガシーシステムについては、以下の記事も併せてご覧ください。
関連記事:レガシーシステムとは?課題やモダナイゼーションの手法を解説
3-3. 将来の予測が困難なVUCA時代
現代は、将来の予測が困難なVUCA時代を迎えています。VUCAとは、Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)を組み合わせた造語です。
ビジネス環境が急速に変化するVUCA時代において、長い時間をかけて開発する従来の手法では、システムが完成した時点で市場のニーズが変わっているリスクもあります。直感的な操作で手軽に使えるノーコードツールを導入することで、市場の変化や新しい業務要件に対しても、スピーディな対応が実現しやすくなると考えられます。
4. ノーコードツールのメリット
ここでは、ノーコードツールの4つのメリットを解説します。
4-1. 開発スピードの向上
ノーコードツールを使用すると、ソースコードの記述を伴う従来の開発方法と比較して、短期間でアプリケーションを構築できる点がメリットです。
テンプレートやコンポーネントがあらかじめ用意されており、ドラッグ&ドロップで機能を組み合わせながら実装を進められます。要件定義から試作、改善までのサイクルを短期間で回せるようになり、開発スピードの向上が期待できるでしょう。
4-2. プログラミングの専門知識が不要
ノーコードの大きな特徴として、ソースコードを記述しなくても開発を進められる点が挙げられます。
プログラミングスキルを持たない従業員でもアプリケーションなどを比較的容易に構築でき、現場担当者の主導により実務に必要な機能を実装することが可能です。専門スキルの習得に時間を費やすことなく、ツールの導入後すぐに開発へ着手できる点もメリットといえます。
4-3. 開発・運用コストの低減
ノーコードツールを活用すると、外部委託にかかる開発費用を抑えられます。修正や機能追加も自社内で行えるため、変更のたびに外部へ依頼する手間やコストがかかりません。
特にクラウド型のノーコードツールであれば、サーバーなどのインフラ管理やセキュリティ対策はベンダーが担い、企業側の負担は少なく済みます。ユーザー数や企業規模に応じて利用できるため、運用コストの最適化につながると考えられます。
4-4. システム構築・運用の内製化
ノーコードツールを活用すると、外部の開発会社に依頼せず社内でシステムを構築でき、内製化を実現しやすくなります。開発や運用を自社内で完結でき、外注コストの削減につながるほか、機密情報を外部に持ち出すリスクも低減できます。ビジネス環境の変化や業務のニーズに併せて、柔軟に適応する体制の構築に役立つでしょう。
関連記事:内製化とは?意味やメリット、システム開発・運用の事例を解説
5. ノーコードツールのデメリット・注意点
ノーコードツールには多くのメリットがあるものの、導入にあたって注意すべき点も存在します。ここでは、2つのデメリットについて解説します。
5-1. 機能・規模の拡張性には限界がある
ノーコードツールは、機能の高度なカスタマイズや独自の仕様を実装するには限界があります。これは、あらかじめ用意されたテンプレートやコンポーネントを組み合わせて使う仕様であるためです。複雑な業務要件には、柔軟に対応できない場合もある点に注意しておきましょう。
また、ノーコードツールは小規模な開発プロジェクトに向いています。一方、大規模な基幹システムの構築や、複数の部署を横断する複雑な業務システムの開発などは困難です。大規模なプロジェクトを進める際には、ノーコードが適している領域と、ローコードや従来の開発手法が必要となる領域を見極めることが大切です。
5-2. サポートが英語で行われる場合がある
海外製のノーコードツールを利用すると、ベンダーによるサポートが英語で提供されるケースもあります。トラブル発生時に英語での問い合わせも必要となり、解決までに想定以上の時間を要する可能性があります。
また、ツールの操作マニュアルを日本語に翻訳しながら読み解く手間も生じます。このように、言語の違いが導入や運用の障壁となり得るリスクも考慮しておきましょう。
6. ノーコードツールの選び方
ノーコードツールは製品ごとに得意分野や機能が異なるため、自社の目的に合った製品を選ぶ必要があります。ここでは、選定時に確認したい4つのポイントを解説します。
6-1. 開発要件に合っているか
導入を検討しているノーコードツールが、開発したいシステムやアプリケーションの要件に対応しているかを確認しましょう。
例えば、ECサイトの構築に特化した製品と、業務用アプリケーション開発を前提とした製品では、備えている機能が異なる可能性があります。必要な機能が不足している場合、導入後に別ツールへ切り替える手間が生じてしまいます。目的に応じて、必要な機能が実装されているかを事前に確認することが大切です。
6-2. 操作しやすいか
非エンジニアでも操作しやすい仕様かどうかもポイントです。操作画面がわかりやすく、使いやすいテンプレートが揃っていれば、操作を覚える時間を短縮でき、Webサイトなどの構築をスムーズに進められます。
導入前に、無料トライアルを活用して実際の操作感を確かめ、現場の担当者が使いこなせるかを検証しておきましょう。
6-3. サポート体制が充実しているか
ノーコードツールを継続的に活用するためにも、サポート体制の充実度もチェックしておきましょう。
海外製のノーコードツールを利用する場合、日本語のマニュアルや問い合わせ窓口が用意されていない場合もあります。問い合わせ方法や対応言語・対応時間などを確認し、自社の利用環境に適しているかどうかを判断することが大切です。
6-4. 既存システムと連携できるか
ノーコードツールを選定する際、既存の基幹システムとスムーズにデータ連携できるかも重要なチェックポイントの一つです。
例えば、企業によっては販売や購買、経費精算、生産管理といった各部門のシステムが独立しており、経営判断に重要な会計データが散在しているという課題を抱えています。そこで、ノーコードツールを介して、分散した会計データを一元的に集約できれば、手入力による転記ミスや加工作業を減らし、データ精度の向上が期待できます。
特に、クラウドERPのような基幹システムへさまざまなデータを統合的に連携するノーコードツールを活用することで、リアルタイムで可視化や分析を行える環境が整います。集計された数字から元の取引明細まで遡って確認できる機能もあれば、データに基づき企業が意思決定を行うデータドリブン経営の実践にも役立つでしょう。
クラウドERPやデータドリブン経営については、以下の記事で詳しく解説しています。併せてぜひご覧ください。
関連記事:
7. ノーコードでシステム連携・会計業務処理設定が実現する「会計処理エンジン」
TIS株式会社が提供する「会計処理エンジン」は、会計業務処理と企業が持つ多数のシステムの連携をノーコードで実現できるツールです。
会計処理エンジンは、周辺システムからデータ収集、会計システムなどへ連携できるデータを生成します。仕訳・債権/債務・税処理等を集約し、高速に自動処理を行います。
また、企業内に散在する多様なシステムや形式のデータを一元的に集約することができます。こうしたツールは「統合データハブ」と呼ばれ、さまざまな業務システムから取引データを収集し、ERPなどに取り込める仕訳データを生成する点が特徴です。会計処理エンジンが仕訳連携部分を担うことで、仕訳ルールの変更や、連携システム追加も設定変更だけで対応することが可能となり、周辺システムのシステムメンテナンスの負荷を軽減します。
会計処理エンジンは、ビジネス環境の変化に柔軟かつ迅速に対応できる仕組みづくりをサポートします。
さらに「会計処理エンジン」にはBI機能が搭載されているため、会社別・エリア別・店舗別など、データを多面的に参照できます。ダッシュボードから気になるデータへの明細照会がスムーズにできるドリルダウン機能も備えており、経営判断に必要な情報へ迅速にアクセスする仕組みが構築できます。
「各システムが分散しており、データ連携が難しい」「システム刷新時の環境変化にも柔軟に対応したい」「データドリブン経営を実現したい」という方は、以下のリンクをチェックしてみてください。
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7-1. 【導入事例】基幹システムと周辺システムとのデータ連携基盤に「会計処理エンジン」を採用
TIS株式会社の「会計処理エンジン」の導入事例はこちらからご覧いただけます。
7-2. 【導入事例】ERPリプレイス時の機能ギャップを「会計処理エンジン」で吸収
TIS株式会社の「会計処理エンジン」を導入した事例はこちらからご覧いただけます。
8. 【FAQ】ノーコードに関するよくある質問
ここでは、ノーコードに関するよくある質問と回答を紹介します。
8-1. ノーコードツールの欠点は何ですか?
ノーコードツールではWebサイトやアプリケーションなどを手軽に開発できますが、機能・規模の拡張性には限界があります。また、海外製ツールを使用した場合、サポートが英語で行われる場合もあるため、ツールを選ぶ際に注意する必要があります。
8-2. ノンプログラミングとノーコードの違いは何ですか?
ノンプログラミングとノーコードの違いはほとんどありません。ノーコードでは、HTMLやCSSなどの専門知識がなくても開発を進められる点が特徴です。この点については、ノンプログラミングも同様です。
9. まとめ
ノーコードとは、ソースコードを記述しなくともWebサイトやモバイルアプリなどを直感的に開発できる手段です。ノーコードツールはIT人材不足に対して画期的な手段であり、さらに内製化によるコスト削減といったメリットもあります。一方で、機能性・拡張性に制限があることや、自社に合ったツール選びには注意が必要です。
TIS株式会社の「会計処理エンジン」は、会計業務の高度化を目指す企業にとって有力な選択肢です。ノーコードで既存システムとのデータ連携をスムーズに行いながら、複雑な会計処理業務を自動化する機能を備えています。
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