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SAP S/4HANA Cloud Private Editionとは?特徴や導入メリットを解説

SAP ECC6.0のサポートが終了する、いわゆる2027年問題が近づき、多くの企業がSAP S/4HANAへの移行を検討しています。その中でも注目されているのが、企業固有の変革に合わせてカスタマイズ可能なクラウドERP「SAP S/4HANA® Cloud Private Edition」です。
この記事では、SAPが掲げるクラウドERPの方針と導入アプローチを整理した上で、「SAP S/4HANA Cloud Private Edition」の特徴を解説します。さらに、「SAP S/4HANA® Cloud Public Edition」との違い、導入メリット、移行方法について詳しくご紹介します。

SAP Business Suiteの導入アプローチ「RISE with SAP」「GROW with SAP」

企業が市場環境の変化に対応し競争力を維持するには、柔軟で統合的な業務基盤が不可欠です。こうした中、SAPはアプリケーション・AI・データを 1 つの完全統合型システムとして活用するアプローチである「スイートファースト」を掲げ、「SAP Business Suite」を展開しています。

SAP Business Suiteは、アプリケーション・AI・データを統合的に提供するモジュール式のソリューションセットです。ERPをはじめ、AIや分析機能、拡張基盤などを一体で提供することで、変化に強く、持続可能な経営基盤を構築できます。SAP Business Suiteの導入アプローチとして、SAPは以下の2つを用意しています。

  • RISE with SAP
    SAP ERPを利用中の既存顧客向け。オンプレミスの SAP ERP アプリケーションを利用している企業が、SAP Business Suite によってビジネスを最新化するための変革をカスタマイズする導入アプローチです。
  • GROW with SAP
    新たにSAP ERPの導入を検討する新規顧客向け。標準化されたフレームワーク、ツール、ガイダンスを使用して SAP Business Suite を迅速に実装するための導入アプローチです。

統合型クラウドERP「SAP Cloud ERP Private」の全体像

RISE with SAPのアプローチでレガシーシステムをモダナイズする統合型クラウドERPが「SAP Cloud ERP Private」です。独自要件に応じた柔軟な拡張性を有しています。
SAP Cloud ERP Privateの構成は以下です。

■SAP Cloud ERP Privateの構成

内容
コンポーネント
ビジネスアプリケーション クラウドERP SAP S/4HANA Cloud Private Edition
高度な財務機能 SAP Analytics Cloud for planning
シェアードサービス管理 SAP Enterprise Service Management
運転資本管理 SAP Taulia, premium
高度な調達・購買機能 SAP Business Network Supplier Portal for SAP Cloud ERP Private
変革のツールとサービス プロセスの分析と最適化 SAP Signavio
エンタープライズアーキテクチャーツール SAP LeanIX
オンボーディングサービス Embedded launch activities
変換サービス transformation preparation service for SAP Business Suite
最適化と拡張性 ビジネステクノロジープラットフォーム SAP Build
マスターデータガバナンス SAP S/4HANA Cloud private Edition, master data governance

SAP S/4HANA Cloud Private Editionとは?

SAP S/4HANA Cloud Private Editionは、企業固有の要件に合わせてカスタマイズ可能なクラウドERPです。ゼロからの新規導入はもちろん、SAP ECCやオンプレミス版SAP S/4HANAからも移行でき、既存資産を活かしながら運用効率化を実現します。
特に、SAP ECCの保守終了を背景に、次期ERP基盤として採用する企業が少なくありません。業務プロセスやシステム連携を維持したまま移行できるなど、柔軟性と安心感を兼ね備えた選択肢となっています。

SAP S/4HANA Cloud Public Editionとの違いは?

SAPのクラウドERPであるSAP S/4HANA Cloudには、前項で紹介したSAP S/4HANA Cloud Private EditionとSAP S/4HANA Cloud Public Editionの2つのモデルが存在します。
SAP S/4HANA Cloud Private Editionは、企業専用のシングルテナント環境で稼働し、オンプレミス同様に高度なカスタマイズや既存資産の活用が可能です。アップグレードも企業のペースで管理できます。
一方、SAP S/4HANA Cloud Public Editionは、複数企業が利用するマルチテナント環境で、標準機能への適合が前提です。スピーディーに導入でき、常に最新機能を利用できます。詳細は、以下の表の通りです。

■SAP Cloud ERP Privateの構成

比較項目 SAP S/4HANA Cloud Private Edition SAP S/4HANA Cloud Public Edition
システム環境 シングルテナント(専用環境) マルチテナント(共有環境)
カスタマイズ性 高度なカスタマイズが可能 標準機能への適合が前提
アップデート頻度 年1回のリリース、最低5年間のアップグレードサイクル 年2回のメジャーアップグレード
移行方法 ブラウンフィールド、グリーンフィールド、選択的データ移行に対応 原則グリーンフィールドのみ
適した企業 既存ERPを活かしつつ段階的にクラウド化したい企業 標準プロセスでクラウドERPを新規導入したい企業

※ブラウンフィールド=既存資産を活かして移行する方式、グリーンフィールド=ゼロから新規構築する方式、選択的データ移行=必要なデータを選んで移行する方式。詳細は後述

SAP S/4HANA Cloud Private Editionのメリット

SAP S/4HANA Cloud Private Editionは、オンプレミスからクラウド環境への移行を検討する企業にとって、多くの利点をもたらします。ここでは、特に注目すべき4つのメリットについて解説します。

システム運用を合理化できる

従来のオンプレミス環境では、自社内でシステム運用を行う必要があり、多大なリソースが必要でした。
SAP S/4HANA Cloud Private Editionでは、クラウド基盤の管理、アップグレード支援、セキュリティ対策などをSAPが標準サービスとして提供するため、ユーザー企業は運用負荷を大幅に軽減できます。

各社のペースでイノベーションを推進できる

SAP S/4HANA Cloud Private Editionでは、年1回のリリースと、最低5年間のアップグレードサイクルが提供されています。この長期サポート体制により、企業は自社のビジネスやIT戦略に沿ったスケジュールでバージョンアップを実施できます。

システムの高可用性を実現できる

SAP S/4HANA Cloud Private Editionは、SAPが提供するクラウド基盤上で稼働し、99.7%の稼働率を標準SLAとして保証しています。これにより、ミッションクリティカルな基幹システムの安定運用が実現できます。

コスト効率を高められる

従来のオンプレミス型ERPでは大規模な初期投資が必要でしたが、SAP S/4HANA Cloud Private Editionはサブスクリプションモデルにより、初期費用を抑えつつ運用コストを変動費化できるため、IT予算の平準化やシステムの総所有コスト(TCO)を削減させることが可能です。

SAP S/4HANA Cloud Private Editionへの移行方法

SAP S/4HANA Cloud Private Editionへの移行は、既存システムの状況や要件に応じて最適な方式を選ぶことが重要です。SAPでは主に3つの方式を推奨しており、それぞれに特性と適用条件があります。

ブラウンフィールド方式

ブラウンフィールド方式は、既存のSAP ERPのデータやカスタマイズ、アドオンを活かしながら、SAP S/4HANAでどうしても変更しなければならない箇所のみ変更する方式です。
短期間かつ低コストでSAP S/4HANA Cloud Private Editionに移行できるため、多くの企業がこの方式を採用しています。

グリーンフィールド方式

グリーンフィールド方式は、既存環境に依存せずSAP S/4HANAを新規構築する方式です。業務プロセスを再設計し、標準機能を基盤に構築することで、従来のカスタマイズを整理できます。
特に、SAP S/4HANA Cloud Public Editionへの移行を前提に、シンプルで標準化された運用を目指す企業に適しています。

選択的データ移行方式

選択的データ移行方式は、上記の二者では満たせない企業固有の移行要件に対応する方式です。必要な構成データやマスターデータ、トランザクションデータを選択的に移行・変換します。
この方式は、システム統合などのケースのほか、SAP ERPを部分的に再利用してSAP S/4HANAに移行したい企業にとっても有効です。

レガシー資産を活かし未来へ進むSAP S/4HANA Cloud Private Edition

SAP S/4HANA Cloud Private Editionは、既存資産を活かしつつクラウド移行を実現できる次世代ERPです。オンプレミスから段階的に移行できる柔軟性と運用効率化を兼ね備えています。
導入にあたっては、TISの「SAP S/4HANAのりかえサービス」の活用がおすすめです。TISは、SNP Japanとの戦略的パートナーシップにより、移行ダウンタイムを最短2日まで短縮。これまで年末年始に限られていた移行作業を、週末に実施できる体制を整えました。さらに、計画策定からデータ変換・検証・テストまでを一貫支援し、リスクを抑えたスムーズな移行を可能にします。
今後のビジネス変革を進める上で、SAP S/4HANA Cloud Private Editionはレガシーから未来への橋渡しとなる重要な選択肢です。実績豊富なTISとともに、戦略的な移行を実現しましょう。

※ 本文中の社名、製品名、ロゴは各社の商標または、登録商標です。
※ 記載されている情報は、2025年10月時点のものです。また、TISの見解・解釈を含んでおりますので、詳細・最新の情報は公式サイトをご参照ください。

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更新日時:2025年10月22日 15時44分