X-Chain基盤:TISが目指すブロックチェーン活用ビジョン
~ SCMの高度化 ~

- TISが目指すブロックチェーン活用ビジョン
~ SCMの高度化 ~ - 昨今サプライチェーン領域において業務の最適化を目的としたブロックチェーン活用が各所で試行がされています。この取組効果を最大限に発揮するためには広く情報を共有することが必要ですが、これは極めて困難なミッションです。TISはX-Chain(クロスチェーン)による相互接続が実現の鍵になると考えています。
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~豊田通商株式会社様 導入事例~
ブロックチェーンによって情報の耐改ざん性・透明性を担保し、業務スピード(情報伝達スピード)の飛躍的な向上を実現!
ブロックチェーンでSCM領域の課題を解決
現在、複雑化するSCMの課題にブロックチェーンを活用が拡大しています。
トレーサビリティや商流全体の正確な情報収集といったSCM領域での活用が拡大しており、2030年にはその経済効果も含め、3兆US$の市場になると予想されています。
SCM領域でブロックチェーンを活用することで、需要と供給の最適化、異なる企業間との連携(データ共有)、取引・契約の効率化等、様々な課題を解決できるようになる、と注目されています。
SCM領域でブロックチェーンが注目される理由

多様化するサプライヤ
- 社内外のサプライチェーンに関わる全てのサプライヤを管理することが必要だがこれ自体が困難。
- 昨今の自然災害やコロナ禍などを背景としたBCP対策により、加速的にサプライヤの数は増加。

信頼性の高い情報を収集
- 受発注・製造・出荷・卸・配送といった流れを最適化するためには正確な情報を速やかに収集する環境が不可欠。
- 一部の企業では紙帳票を用いた情報授受も残っており、デジタル面でのサプライチェーンは分断された状態。

「つくる責任つかう責任」の履行
- 商流の川上から川下までの品質や製造工程を把握するのは困難。
- 「3R(Reduce/Reuse/Recycle)の推進」「温室効果ガスなどの排出量規制への対応」「紛争鉱物規制への対応」など、企業の経済活動の透明化が必要。
ブロックチェーンでSCM領域の課題を解決します
- 多様化するサプライヤの対応
- 信頼性の高い情報を収集
- 「つくる責任つかう責任」の履行(企業の経済活動の透明化)
- EDIによるデータ交換の限界
EDIによるデータ交換の限界

これまでサプライチェーンに参画する企業間では、他の企業とはシステム間の情報連携はEDIなどを利用した「1対1のデータ交換」が一般的でした。しかし、先に示した問題点にもあるように、多くの企業では昨今の「サプライヤの多様化」「企業間でやり取りする情報の多様化」により、ネットワークの複雑化に悩まされることになります。
この状況に対し、大手製造業や大手商社を中心に、サプライチェーンを形成する企業間での需給最適化のためにブロックチェーンを活用する例も出てきています。これらの事例ではサプライチェーンに参画する企業間でブロックチェーンを利用して「データ共有」します。ブロックチェーンを利用することで、対改竄性・透明性を担保された情報を使って各企業が意思決定することが可能となります。
TISが考えるブロックチェーンのSCM領域での活用の仕方
既存のシステム資産の有効活用

ブロックチェーンを導入するにあたって、貴社の既存のシステムをスクラップ&ビルドする必要はありません。TISは各社の既存の業務・基幹・ERPシステムの業務ロジックはそのままとした上で、企業間で共有すべき情報のみをブロックチェーンにバイパスする仕組を提供します。
また、サプライチェーンにおける企業間の共通ルールはスマートコントラクトを利用してネットワーク上に実装される為、ブロックチェーンに蓄積されるデータの業務整合性は保証されます。これまで中央集権型システム構成で実現していた情報共有を、対改竄性と透明性を担保し、かつ第3者の介入のない分散型システム構成により実現します。
全てのプレイヤーはこれらの信頼性の高い情報を活用した意思決定を行い、サプライチェーン全体の最適化を図ります。
ビジネスプライバシーの担保 (R3 Cordaの活用)
取引に関する情報の透明性の確保と秘匿性の担保の両立が可能
SCMの抱える問題点を解決する為に、ブロックチェーンを活用しデータ共有を促進による情報の透明性を確保することは重要な事項ですが、これと同時にビジネスにおいては「情報の秘匿性」も担保される必要があります。TISでは「
R3 Corda
」を利用することで双方の要求事項を実現します。R3 Cordaは企業間取引での利用に特化し、金融機関、規制当局、中央銀行、業界団体、システムインテグレーターなど世界350社を超えるエンドユーザーの目線で開発されたプロダクトであり、ブロックチェーンが備える非中央集権性・耐改竄性・透明性・合意性に加え、より強固な「プライバシー」「スケーラビリティ」を確保しています。Cordaを採用することで、一般的なブロックチェーンのように取引を全ノードで共有するのではなく、必要なノード間のみでの共有が可能とし、データの共有範囲を動的にコントロールできるため、プライバシーを担保しながら競合各社との協業が行えます。
R3 Cordaの優れた拡張性(スケーラビリティ/インターオペラビリティ)機能を活かした弊社によるサービス拡張の実現も可能です。

X-Chainによるネットワーク連携
透明性と秘匿性を両立した情報共有を実現することで現在のサプライチェーン領域における問題点を解決すると考えられますが、1つ大きな留意点があります。それは「ネットワークに参画する企業が少ない場合は得られる効果も限定的となる」という点です。必ずしも利害関係が一致しない企業やSCMにおける役割が異なる多くのプレイヤーが1つのコミュニティを形成することによって、はじめてブロックチェーンは真価を発揮します。しかしながら、これを実現する為には多くの時間と労力を要し、これがブロックチェーン本格導入の障壁になっています。TISではこの問題点をブロックチェーンネットワーク同士の連携させることで、「小さく始めて大きく育てる(スモールスタート)」を実現し、この問題点の解決を図ります。

様々な業界で様々な目的をもってブロックチェーン活用に取り組む企業は増え続けています。しかしながら、その多くはネットワークへのプレイヤーが少ないため十分な成果が得られず、次の一手に苦慮しているケースも少なくないのが現状です。
TISはこれらのブロックチェーン・ネットワークを業界の垣根を超え、クロスインダストリーの観点で相互接続することで相乗効果が生むことができると考えています。
これらの既存の中小規模ブロックチェーンネットワークや、今後各業界でローンチされることが予測される社会基盤・業界基盤など大規模ブロックチェーンネットワーク同士をプロダクトニュートラルに相互接続するための簡易機能「X-Chain(クロスチェーン)」をTISは提供します。
TISにおけるブロックチェーン活用事例

TISでは船舶燃料業界にブロックチェーンの導入を行っています。
データ改竄を懸念し、紙記帳+署名・捺印の商習慣が根強く残る船舶燃料業界の企業では、現場での帳票作成による効率性の低下をはじめ、書類の郵送による情報伝達の遅延、手書き文字の誤認識、コミュニケーションロス、データ蓄積が不完全で情報の利活用ができないといった課題を抱えていました。
これらの課題を解決するため、TISが開発したCordaを利用した船舶燃料受発注プラットフォーム「BunkerNote」を導入しています。2021年8月にサービスインし、多くの成果を実現しています。
BunkerNoteが生み出すメリット
BunkerNoteがプラットフォームユーザに提供している価値は以下です。

時間短縮・削減効果
- 補油に関する書類の受渡し時間の短縮【7日→数秒】
- 補油現場での書類作成にかかる時間と手間を削減【手書き→数タップ】
- 情報伝達に関する利用者間クレーム数の削減【ゼロ】
- Excel・紙などのよる取引台帳の作成時間【ゼロ】

セキュリティ・プライバシー
- 取引当事者間のみ情報の透明性を確保
- 取引当事者以外は情報の秘匿性を確保
- 改竄耐性を有したデータ蓄積

情報分析・サービス拡張
- デジタルデータ蓄積による販売/購入状況分析
- データ分析結果に基づいたリコメンデーションなどのサービス提供
- 決済など新サービスの提供
TISが考えるブロックチェーン利活用の次の一手

品質情報の共有
「品質情報の共有」は自社製品のトレーサビリティを実現するブロックチェーンの利用テーマとして多くの企業が取り上げています。しかしながら、商流の川上に行けば行くほどに原材料に近くなるため、これらを加工する工程で正確なトレースをするのは、非常に困難になります。このテーマに対し、TISは独自の視点でアプローチします。

企業グループ内情報共有
各社が保持している各種計画・実績を共有によって、各社が指示情報に依存した作業の生産性を改善します。
また、クロスチェーン機能の活用により、必要に応じて隣接する中小規模のブロックチェーンネットワークと順次接続していくことで、付加価値の高いサービスを提供します。
詳細はこちら【coming soon】

温室効果ガス排出量の共有
企業活動において排出される温室効果ガスを 開示、削減することを求める声は日に日に大きくなっています。
「自社の直接排出:スコープ1」「自社が使用しているエネルギーの間接排出:スコープ2」に加え、今後注目される「自社以外のサプライチェーンにおける排出:スコープ3」をクロスチェーンを活用し、実現します。
詳細はこちら【coming soon】
TISが目指す未来像
TISでは、各所で構築されている小さなブロックネットワークを繋ぐことで、段階的なネットワークの拡張を推進していく予定です。サイロ化されている情報をブロックチェーンで共有することで、企業の経済活動の透明化を図り、SDGsの実現に貢献していきます。またTISではブロックチェーン活用のポイントとして、商流を起点とした「商流×モノに付随する情報流」や「商流×金流」といった組み合わせで、段階的にバリューチェーンを構築していくことを挙げています。ここでは、まったく新しいシステムを自ら構築していくのではなく、既存の資産やサービスを有効活用していくアプローチが重要となります。
データ活用の視点から見ると、ブロックチェーンは信頼性の高いデータを集積していくための仕組みといえます。X-Chainによりその集積対象を拡張します。
こうして蓄積されたデータはAIなどの学習データとしての利活用やデータ分析による次のビジネスのインサイトとなり得る経営資源となります。TISでは、顧客のビジネス課題を解決するためのデータ分析サービスを提供しているグループ企業の澪標アナリティクスとの連携により、「データをためる、つなぐ、 分析・活用する」といったデジタルトランスフォーメーション(DX)実現までを見据えた支援を展開していきます。
