初心者でも迷わない!UiPathのサービス体系を“選び方”から理解する
公開日:2026年3月
デジタルトランスフォーメーション(DX)が叫ばれる現代、多くの企業が業務効率化の切り札としてRPA(Robotic Process Automation)に注目しています。その中でもUiPathは、単なるRPAツールに留まらない、AIを駆使した包括的な自動化プラットフォームへと進化を続けています。
しかし、その高機能さゆえに、「製品ラインナップが多すぎて、どれが自社に必要なのか分からない」「ライセンス体系が複雑」「クラウド版とオンプレミス版、どちらを選ぶべきか判断できない」といった導入担当者の悩みの声も少なくありません。
本コラムでは、こうした疑問を解消するため、複雑に見えがちなUiPathのサービス体系を、「何を自動化したいのか」「どこで動かすのか」「どう導入・運用するのか」という考え方に沿って解説します。この記事を読み終える頃には、貴社の状況に合わせた最適なUiPathの導入イメージが明確になり、自信を持って次の一歩を踏み出せるようになっているはずです。
目次
1.UiPath導入にあたり考えるべき3つのこと
UiPath導入を検討する際、最初に整理しておきたいポイントは次の3つです。
- 何を自動化したいか(機能)
- どこで動かすか(提供形態)
- どう購入するか(ライセンス・プラン)
最適な製品、提供形態、ライセンスプランの組み合わせは、企業の規模、IT環境、そして自動化によって何を成し遂げたいかによって大きく異なります。この3つの観点を順番に検討することで、UiPathの複雑なサービス体系も、無理なく整理できるようになります。
2.何を自動化したいのか:UiPathを構成する製品たち
まず、「RPAで自動化できる業務」には次のような特徴があります。
- 毎日繰り返されるルーチンワーク(例:データ入力・転記、帳票の処理、メール送信)
- 大量のデータ集計やファイル操作
- 複数システム・部署をまたいだ情報連携や登録
- 業務フロー自体を見直したい時の現場分析
こうした業務こそ、UiPathの得意分野です。
しかし、「UiPathを導入すれば業務が自動化できる」といった夢のようなツールではありません。
業務を「①発見」→「②自動化」→「③運用」するという流れでとらえ、その一連のライフサイクル全体を支援する統合プラットフォームです。この全体像を頭に入れておくと、各製品の役割が理解しやすくなります。
ライフサイクルと各製品の詳細については前回コラムで詳しくご紹介しています。
前回コラム:#10 初めてのUiPath基本入門!~RPA全体像と主要3製品のポイント~
3.どこで動かすか:デプロイオプション
次に考えるのが、UiPathを「どこで動かすか」という提供形態の選択です。これはデプロイオプションとも呼ばれ、企業のIT方針やセキュリティ要件に大きく関わります。
| 提供形態 | 概要 | メリット | 考慮点 |
|---|---|---|---|
| Automation Cloud | UiPathが管理するクラウドサービス(SaaS)。 | インフラ管理不要、迅速な導入、常に最新機能を利用可能。 | データガバナンス、カスタマイズの制約。 |
| Automation Suite | 自社のオンプレミス環境やプライベートクラウドに構築。 | 厳格なセキュリティ要件への対応、閉域網での利用、自由なカスタマイズ。 | インフラの構築・運用コスト、バージョンアップの管理。 |
| スタンドアロン | 専用のサーバーにOrchestratorやAction Center等のアプリケーションをインストールして利用。 | 必要な製品を個別に導入でき、特定の要件や段階的な自動化の開始に適している。 | 複数の製品を個別に導入・管理する必要があるため、運用やバージョンアップのコストが増大しやすい。 |
表1:デプロイオプション一覧
なお、Automation SuiteやスタンドアロンからAutomation Cloudへの移行が可能です。
各デプロイオプションの機能比較や各デプロイオプションの利用可能製品比較についてはUiPath公式サイトをご参照ください。
4.どう購入するか(ライセンス・プラン)
UiPathのライセンスは、一見すると複雑に感じられるかもしれません。
しかし、考え方の軸はシンプルです。
- 誰が開発するのか
- ロボットは人が操作するのか、自動実行なのか
- 組織全体でどのように管理するのか
これらの違いによって、必要なライセンスが決まります。
| ライセンス種別 | 概要 | ライセンスが何に紐づくか |
|---|---|---|
| 開発者用ライセンス | 開発者向けのライセンスで、Studio を利用してワークフローの開発やテストを行うために必要です。 後述の商用ライセンスプランによって呼称が変わります(フレックス:Automation Developer、ユニファイド プライシング:Pro User)。 |
ユーザー |
| Attended | 人のPCで、人の指示によって実行されるロボット(Attended Robot)を利用するためのライセンスです。人の作業を補助する役割を担います。 | ユーザー |
| Unattended | サーバー上で、スケジュールやトリガーに基づいて自動実行されるロボット(Unattended Robot)を利用するためのライセンスです。人の介在なしに業務を遂行します。 | ロボット |
| プラットフォームライセンス | テナント単位で管理されるライセンスです。AIユニットなどが含まれます。 | テナント/組織 |
表2:ライセンス種類一覧
現在、UiPathではライセンスの提供方法として、主に2つの商用ライセンスプランを提供しています。
| プラン名 | 概要 |
|---|---|
| フレックス | AI ユニット、ロボット ユニットなど、機能ごとに独立した複数の消費ライセンスを使用する従来のモデルです。 |
| ユニファイド プライシング | 複数の消費ライセンスを「プラットフォーム ユニット」に統合した新しいモデルです。柔軟なユニットの割り当てが可能になります。 |
表3:商用ライセンスプラン一覧
多くの場合は、これらのライセンスプランを決定の上で、購入プランを選択することになります。ただし、UiPath社がよりシンプルで分かりやすい「ユニファイド プライシング」へとライセンス体系を移行・推進しており、新規契約においては基本的にユニファイド プライシングでの契約になります。
既にUiPathとフレックスプランで契約している場合は、フレックスからユニファイド プライシングへの商用ライセンスプランの切替が可能です。
5.自社に最適なUiPathの選び方5STEP
UiPathの構成を検討する際は、いきなり製品名やライセンスの細部から考えるのではなく、段階的に整理していくことが重要です。
ここまでの内容を踏まえ、UiPath製品の選定を進める際の基本的な考え方を、5つのステップに分けて説明します。
STEP1:機能選択
まず最初のステップは、「何を自動化したいのか」を明確にすることです。自社で自動化したい業務内容を整理し、それに対応するUiPathの機能や製品を洗い出します。
- 紙やPDFの帳票処理が、いまだに人手に頼っている
- 業務プロセス全体が見えず、どこを改善すべきか判断できない
- 自動化のアイデアはあるが、全社的に整理・管理できていない
- RPAの効果を定量的に説明できず、ROIを問われる場面が増えてきた
帳票処理なのか、業務プロセスの可視化なのか、あるいは既存RPAの効果測定なのかによって、選択すべき製品は異なります。ここでは、製品を網羅的に選ぶ必要はなく、課題に直結する機能に絞ることがポイントです。
こうした課題を整理していくと、必要なのは「ロボットを増やすこと」ではなく、業務を理解し、可視化し、次につなげるための機能であることが分かります。その結果、次のような方向性が見えてきます。
- 帳票処理をAIで効率化したい → Document Understanding
- 業務プロセスをデータで可視化したい → Process Mining
- ROIの高い自動化テーマを全社から集約・管理したい → Automation Hub
- 既存RPAの効果を測定したい → Insights
STEP2:デプロイ方法の選択
次に考えるのが、デプロイ方法の選択です。
ここでは「どの製品が良いか」ではなく、「どう運用したいか」が判断軸になります。
UiPathをどこで動かすかは、自社のインフラ方針やセキュリティポリシーに大きく左右されます。
- 社内インフラの維持・管理コストは極力抑えたい
- 製品ごとにバラバラに管理するのは避けたい
- UiPathの機能は、できるだけ最新の状態で活用したい
クラウドで手軽に始めたいのか、オンプレミス環境で厳格に管理したいのか、あるいは特定用途から段階的に導入したいのか。Automation Cloud、Automation Suite、スタンドアロンといった製品選択肢の中から、自社のIT環境に最も適した提供形態を選びます。
- 社内インフラの維持・管理コストは極力抑えたい→Automation Cloud
- 製品をまとめて管理し、統制を効かせたい→Automation Suite
- 特定用途から段階的に導入したい→スタンドアロン
STEP3:商用ライセンスの検討
製品とデプロイ方法の方向性が見えてくると、次に検討すべきなのが商用ライセンスです。
UiPathでは、複数のライセンス提供方法が存在しますが、新規導入の場合は基本的に「ユニファイド プライシング」が適用されます。既存契約がある場合は、フレックスからユニファイド プライシングへの切り替えも選択肢となります。ここでは、将来的な拡張やライセンス管理のしやすさも考慮し、自社の利用規模に合ったプランを選択することが重要です。
STEP4:購入プランの選定
商用ライセンスでユニファイド プライシングを選択した場合、ベーシック、スタンダード、エンタープライズといった購入プランから選ぶことになります。スモールスタートを想定しているのか、既にRPA活用が進んでいるのか、あるいは全社展開を見据えているのかによって、適したプランは異なります。ここでは、現在の状況だけでなく、今後どう発展させたいかを意識して選ぶことがポイントです。
- スモールスタートから始めたい → ベーシック
- 既にRPAを使っていて、更なる自動化に取り組みたい → スタンダード
- 更なる自動化に取り組みつつ、セキュリティ、ガバナンス、フレキシビリティの要件も満たしたい → エンタープライズ
STEP5:ライセンス構成の具体化
開発者の人数や、ロボットを人が操作するのか、自動実行させるのかといった運用形態に応じて、必要なライセンスの種類と数を決定します。これは、開発体制や自動化の規模によって大きく変わるため、前段で整理した内容を踏まえて慎重に検討する必要があります。
| Step | 項目 | やること | 選択肢 |
|---|---|---|---|
| 1 | 機能選択 | 自動化したい業務内容に合わせて、必要な製品(機能)を明確にします。 | 本コラムセクション2をご参照ください。 |
| 2 | デプロイ方法 | インフラ要件やセキュリティポリシーに合わせて、最適な提供形態を選択します。 |
|
| 3 | 商用ライセンス | 想定される消費ライセンスに応じて、商用ライセンスを選択します(新規契約においては基本的に自動的にユニファイド プライシングが適用されます)。 |
|
| 4 | 購入プラン | (商用ライセンスでユニファイド プライシングを選択した場合のみ) チームの規模や求める機能レベルに応じて、プランを選択します。 |
|
| 5 | ライセンス構成 | 開発者の人数やロボットの実行形態に合わせて、必要なライセンスの種類と数を決定します。 |
|
表4:自社に最適なUiPathの選び方
さいごに
本コラムでは、UiPathのサービス体系を「製品名から理解する」のではなく、「考え方の順番から整理する」という視点で紹介しました。
正解の構成を探すことよりも、自社に合った考え方の筋道を持つことが、UiPath導入・活用を成功させる第一歩です。ぜひ本コラムを参考に、自社にとってのベストなUiPath活用法を検討してみてください。
TISでは、UiPathの導入から運用後の課題解決まで、現場に寄り添ったサポートを行っています。今回ご紹介した内容以外にも、実際の現場で得られた知見が多数ございますので、ご関心があればぜひご相談ください。
執筆者:黒田 悠介
※本コラムは2026年2月時点での情報を元に作成しています。
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