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いまを読み解く

ポイントプログラムをロイヤルカスタマーの管理・育成ツールへ進化させるには

前田 雄次(まえだ ゆうじ)
TIS株式会社
・サービス事業統括本部
・デデジタルマーケティングサービス 3部 エキスパート


店舗やECサイト、アプリなど顧客接点が多様化する今、さまざまな購買行動データが「誰のものなのか」を特定する役割で、ポイントプログラムが再注目されています。
今回は、次世代ロイヤルティプログラムとしてのポイントプログラムの新たな役割、そしてこれから獲得すべき真のロイヤルカスタマーの定義について解説します。

業績を下支えするロイヤルカスタマーを
データで可視化する


小売・外食業などはコロナ禍以降、客足の減少や営業の時短対応による深刻な影響を受けています。加えて、将来的に国内の人口減少が予想され、顧客拡大を前提とした成長戦略を描きにくい状況です。
この状況下で業績を維持している企業の多くは、優良顧客(=ロイヤルカスタマー)を抱えている点が共通しています。リピート購入により、事業全体への影響を軽微に抑え、早期の業績回復が可能に。広くBtoCを手がける企業にとって、優良顧客の育成は最も重要な経営目標になったと言えるでしょう。

そのためのスタート地点となるのが、「顧客一人ひとりの正しい理解」です。店舗やECサイトなどの接点で購買行動データを収集。多種多様なデータが、誰のデータなのかを特定し、一人ひとりのデータとしてまとめあげるDXにより、趣味嗜好や購買のモチベーションの度合いを可視化できるようになります。

顧客管理の役割で注目されるポイントプログラム


円滑なデータ利活用の阻害要因となりやすいのが、増え続ける顧客とのコンタクトポイントです。店舗、ECサイトなどの接点ごとに異なる顧客キーで購買行動データを管理していると、個々のカスタマージャーニーを把握できず、「心地よい購買体験」を提供するユニファイドコマースの実現も困難となってしまいます。

そこで注目されているのが、ポイントプログラムの活用です。ご存知のとおり、購入金額に応じてポイントを還元する、ロイヤルティプログラムの代表格。「お得感」で顧客を長期的につなぎ止めるツールとして、多くの企業で採用されています。

ポイントプログラムを利用すれば、複数の接点で取得した購買行動データを一人ひとりに紐付けることが可能になります。店舗レジではポイントカードを提示して購入、ECサイトではポイントカードの会員番号を初期登録して購入することで、オンライン/オフラインを問わず「誰が・いつ・何を買ったか」が特定できます。

発行済みの複数ポイントカードを
同一ユーザーに紐付けるには


既にポイントプログラムを導入済みの企業によっては、マルチブランドを展開し、それぞれ別のポイントカードを発行しているケースも少なくないでしょう。たとえば流通小売業が、スーパー/ドラッグ/健康食品で別々のブランドを展開し、個別にポイントカードを発行しているような状況がこれに該当します。

この場合、ポイントプログラム未導入企業とは異なり、「複数種類のポイントカードの情報の統合管理」という課題が出てきます。ブランドを運営する母体ごとに情報を管理し、情報のサイロ化(分断)が起きていると、顧客一人ひとりのカスタマージャーニーを正しくつかめません。対策の一つは、新たに発行する複数ブランド共通のポイントカードおよびIDへの統合ですが、膨大な工数とコストを要する点がネックになります。

TISでは、この問題に対し、独自の解決策を提供しています。企業内のポイント基盤となるソリューションを提供することで、既存の複数種類のポイントカードやIDはそのままで、あらゆる購買行動を同一顧客に紐付けできます。マルチブランドを展開するお客様は、ぜひ注目していただきたいソリューションです。

こうして、複数ブランドをまたいでカスタマージャーニーを把握することで、これまで見えなかった購買行動パターンを導き出したり、既に他ブランドで購入済みの製品をレコメンドしなくて済むといった、顧客にとって「心地よい購買体験」を提供できるようになります。

ポイントだけではない、
新たなベネフィットもセットで考える


新しい生活様式の広がり、巣ごもり消費のトレンドをきっかけとして、モノ・コト・体験を重視する消費者が増えています。これを受け、ポイント還元が主体だったポイントプログラムも、新たな価値提供が求められるようになってきました。

一つの例が、航空会社が特別会員に対し優先的に搭乗できるサービスを与えるような「ステータス感」の価値提供です。そして今後増えていくと予想されるのが、「特別な体験」の提供。何をもって特別とするかは事業モデルによって異なりますが、たとえばアニメ関連グッズを高額購入した人限定で新作アニメのタイトルを先行販売するような例が考えられます。他にも、ポイント交換だけで購入できる限定グッズのように、お金では買えないアイテムを提供する方向もあるでしょう。

今後、ポイントプログラムを次世代型のロイヤルティプログラムへと進化させていくにあたり、このような新しいベネフィットを提供する仕組みをセットで考えていく必要がありそうです。

これから獲得すべき、真のロイヤルカスタマーの姿とは


長年にわたって、LTV(顧客が生涯で企業にもたらす利益の合計)の高い顧客が、企業にとってのロイヤルカスタマーであるとされてきました。ポイントプログラムで、複数の接点のデータを集約することで、より正確なLTVが算出できますが、もはやその数値だけでロイヤルカスタマーかどうかを判断できない時代に突入しています。

モバイル、SNSが広く普及し、一人の顧客が大勢とつながるようになった今、その言動の影響力、インフルエンサーとしての価値までを加味し、ロイヤルカスタマーか否かを判断する必要があります。購買金額が少ない顧客であっても、たとえばSNSのフォロワーが数千〜数万レベルで今後多くの新規顧客を連れてくる力がある人、またNPS※アンケートの結果、高いクチコミ効果が期待できる人など。

ポイントプログラムによるデータ統合の次のフェーズとして、自社の枠を超えて個々の顧客の影響力、企業に対する真の貢献度を分析する仕組みの構築が求められていく可能性があります。
LTVを重視する企業目線ではなく、体験(CX)や感情等を重視する顧客目線での「次世代のロイヤルティ管理」が実現できている企業はまだ多くないと感じます。これからは、いち早く顧客との間で安定的・長期的な信頼関係を築くことができた企業が、市場で優位に立っていくのではないでしょうか。

※NPS:ネットプロモータースコア。知人に対するサービス推奨度を調査するアンケート。


データ利活用のDXが活況になる中で、ポイントプログラムの新たな役割が存在感を増してきています。TISでは、数百万〜数千万規模の会員にも対応できる、エンタープライズ向けポイントサービスを提供。さらに同サービスにより、既存の複数のポイントカードとIDはそのままで、情報を同一顧客に紐付ける仕組みの構築も可能にします。
ポイントを基軸とした次世代ロイヤルティプログラム構築をご希望の方は、お気軽にTISにご相談ください。

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