オープンAPIが「経営課題」である理由とは?~サービス間連携に見出すDXの道筋~
※著作・制作 日本経済新聞社(2024年日経電子版広告特集)。
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デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みが活発化する昨今、APIという言葉をご存じでしょうか。技術者やシステム担当者にとってはなじみの深い、システムのデータ連携ツール・機能の立ち位置であった同キーワードは、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)の「DX白書2023」でも多くのページを割いて言及しているなど、事業改革と課題解決に密接に関係するものです。いまやDXを推進するあらゆる担当者が理解しておくべきテーマであり、さらに言えば経営課題と言っても過言ではありません。それはなぜなのか。企業の戦略的なAPI活用を支援してきたTISが解説します。
業界別ユースケース集公開!
「自社におけるAPIの活用シナリオを知りたい」というお悩みをお持ちの方や 「他社ではAPIを使ってどのようにビジネスを効率化し、競争力を高めているか知りたい」という方へ向けて 各業界ごとのユースケースをご紹介しております。
API活用がビジネスの常識を塗り替えている
API(Application Programming Interface)を知らない方に、まずその概要を整理しておきます。APIは端的に言えばITシステム(サービス)をつなぐ「接着剤」のようなものであり、システム同士が互いにデータをやり取りするための仕組みのことです。APIを通じてサービス間の連携が可能となり、あたかも外部サービスを自らのサービスの一部のように活用しながら、より便利なサービスをユーザーに提供できるようになります。
例えば、スマートフォンの配車サービスアプリを利用している方であれば、配車するために地図を利用したり、SMS(ショートメッセージ)で通知を受け取ったり、利用後は決済したりというさまざまな機能を使い分け、そのアプリ内で必要な機能を利用しているはずです。しかし、このような地図やSMS、決済は、配車サービス側がその機能をゼロから開発しているわけではありません。別の事業者が提供する各機能と配車サービスが連携することで新たなサービス創出を実現しており、この連携をするための仕組みがAPIです。
API自体は目新しいものではなく、古くから存在する技術です。従来は主に社内のシステム間をつなぐために役立てられていたが、現在では、先述のように社外で公開される別のサービスと連携させて機能を拡張しようとする潮流が生まれています。これが「オープンAPI」の考え方です。オープンAPIの明確な定義はないが、企業が自社のサービス・機能・データを社内外へ広く活用していけるように誰にでも使いやすい形に標準化されたものと捉えるとよいでしょう。
このオープンAPIは、オープンイノベーションの促進、既存ビジネスの拡大、サービス開発の効率化などを可能にすることから、DXの文脈で無視できないものとなっています。そう語るのが、TISのIT基盤技術事業本部 IT基盤ビジネス事業部長の黒田訓功です。
「オープンAPIは身近なサービスの裏方として機能し、私たちの生活に恩恵をもたらしています。例えばECサイトアプリで商品を購入すると、チャットアプリを介して配送状況が通知され時間指定もできます。これは各社がAPIでつながっているからです。すべての機能を自前で抱えなくても、うまく組み合わせて価値を生み出せる仕組みなのです。海外で爆発的に普及したタクシー配車アプリも、他社と連携しながらサービスをいち早く世に送り出し、既存の業界やビジネスを塗り替えたのです」(黒田)
競争激化の中で「オープンAPI」が経営課題に
このようなオープンAPIを、単にシステムやITのためのものだと捉えるべきではありません。黒田も「DXに資するものであり、ぜひ経営上の課題として捉えて取り組んでいただきたい」と断言します。
その背景にあるのが、顧客ニーズの多様化や急速なビジネス環境の変化です。昨今では、製品・サービスのライフサイクルはますます短縮化し、サービス開発・展開の迅速化が求められます。このような状況下では自前主義にこだわることなく、さまざまな企業とつながって共創しながら多種多様な顧客ニーズをスピーディーに満たすことが求められます。オープンAPIを利用することは、そのための有効な手段であり市場競争を生き残るための重要戦略となります。
逆に、オープンAPIの公開側となることは、APIを他社に利用してもらって利用料という新たな収益源を得るだけでなく、APIを活用してもらうことでリーチできる顧客層の増加も期待できます。さらに、他社のサービスに自社の機能が組み込まれることで、自社だけでは想像もつかなかった活用法が見いだされ、新たなサービス創出・ビジネス展開につながる可能性もあります。自社の優れたサービスや機能を市場へ認知させるための必要なステップでもあります。
オープンAPIの活用を妨げる誤解とは
APIの有用性に気づきながらも、二の足を踏む企業も少なくありません。その大きな障壁となっているのが、APIを通じて自社が持つ独自性の「流出」につながりかねないのではという懸念です。だが、そこにはAPIへの誤った認識があると、TIS IT基盤ビジネス事業部 IT基盤営業部 エキスパートの川田達也は指摘します。
「お客様との会話の中で、データの話題になるケースが少なくありません。少し前には、データ分析やデータマイニングがトレンドとなり、データを手元に抱え込んで守ることが価値であり、独自の強みだという認識が広まっていました。しかし、そのこととオープンAPIによりサービス連携を実現させることは別々に考える必要があります。オープンAPIを提供するということは、自社のデータそのものを無差別かつオープンに流出させるものではなく、あくまで一定のセキュリティーのもとサービスとして提供するものです」(川田)
このほか、オープンAPIの活用や提供が進まない背景には、昨今のIT人材不足も相まって、APIに関する知見を持った人材が社内にいないという点も関係しています。
オープンAPIの活用に向けて発生した課題に対しての解決策とは?
オープンAPIがもたらす企業価値とは?
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