いまを読み解く Column

ユニファイドコマース導入で失敗しないための6つの観点

2022年7月6日に開催したオンラインセミナー
「DXは『仕組み』の前に『顧客起点』での検討を!失敗しないための6つの観点」の内容を再編集したものです。

古井戸 一郎(こいど いちろう)
TIS株式会社
・DXビジネスユニット DX営業企画ユニット
・DXペイメントコンサルティング部 エキスパート
2021年7月TIS株式会社に入社。前職の大手スポーツメーカーではEC事業構造の変革を推進。ECに関わる倉庫・物流業務、オペレーション、システム基盤、および組織体制のあり方の刷新などに取り組む。また、前々職の黒物家電メーカーの情報システム子会社所属の時代には、Owned Mediaの構築・運営、スマホアプリを活用したプロモーション施策、WebサイトのUX/UI改善などに従事。

小売業が、店舗とECの垣根をなくす「ユニファイドコマース」の導入を目指すにあたり、いきなりシステムやツールを導入しても、単なるデジタル化が目的となってしまい、本来の目標にはなかなか到達できません。

我々TISインテックグループでは、①戦略→②業務・組織→③顧客→④コマース→⑤データ統合・利活用→⑥システムの6つの観点に則し、順序立ててユニファイドコマース導入を進めることが重要と考えます。ここでは、一つひとつの観点を掘り下げてご説明します。

1.戦略
 ー ビジネスモデルと戦略


ユニファイドコマースと一概に言っても、商材のライフサイクルやターゲット層は各社・各様で、具体的な販売スタイルのかたちはおのずと変わってきます。まずはユニファイドコマースの具体的なイメージとして、「誰に」「どの販売チャネルで」「どんな商品」を買っていただき、お客様に対し「どんな価値を提供するか」という、事業モデルの定義から始める必要があります。

そして、3年後・5年後の社会において、その新しい売り方・事業スタイルがどのように受け入れられていくのか。現状だけでなく、将来予測を加味しつつ事業モデルのアイディアを出し、ロードマップを策定することが必要と考えます。

戦略策定にあたってのコンサル実例

当社がコンサルを承ったある小売業のお客様は、ユニファイドコマースの導入に向け「何から着手すべきか」でお悩みでした。弊社では次のような取り組みを提案し、社内のベクトルを一致させることから計画を進めていきました。

●まず最初に、部署で異なるDXに対する意識のズレをなくすため、時代に則したミッション(使命)・ビジョン(理想)・バリュー(価値観)の作成を提案。

●3C分析(顧客、競合、自社)により、自社の強みを把握し、お客様にどのような価値が提供できるのかを可視化。

●PEST分析(政治、経済、社会、技術)により、制度・法律の動向や、企業に求めらている環境系の取り組みなどを分析。

●分析結果を踏まえ、これからの事業のあり方を固め、ミッション・ビジョン・バリューを明文化。

●社内メンバーが同じ方向を向いて議論することが可能になり、新たな事業創造に向けた意見交換が活発化。

2.業務と組織
 ー ユニファイドコマースを実現するための業務と組織


続いてのテーマは、既存の店舗ビジネスとECビジネスを融合させるための、業務の見直しや新たな組織づくりです。

たとえば、目指すかたちが、店舗とECで在庫情報をリアルタイム一元化し、欠品の不便を解消する仕組みである場合。導入後に起こりがちなのが、店舗で接客・商品説明を受けたお客様が、その場では購入せず、帰宅後にECサイトで購入するといったケースです。この時、単にECの売上になってしまうと、接客する店員側のモチベーションが低下し、変革への協力が得られない恐れも出てきます。これが、よく言われる、DX推進側と現場の“コンフリクト”の典型例です。

このような課題は、システムを入れるだけでは解決できません。前もって、新しい売り方に合わせ、販売の評価基準を定めるなど業務ルールを整備しておく。また、ECを担当する組織と、店舗を管轄する組織の間で、しっかり合意を形成しておくことが必須だと考えます。

3.顧客
 ー 顧客コミュニケーション


お客様と良好なお付き合いを継続していくため、CRMの仕組みやコミュニケーション手段を整えておくことが重要です。良好な関係性の構築に欠かせないのが、顧客視点でのメリット還元です。単にデータを利活用して、顧客をターゲティングして囲い込むだけではお客様側にメリットを実感してもらえません。逆に、頻繁なメールやプッシュ通知がブランドに対するイメージ低下を招く恐れさえあります。

新たに設けるさまざまな顧客接点を通じて、お客様にメリットを実感してもらえるよう、どんな還元を目指していくのか、快適な購買体験を提供していくのか。このことを意識して、CRMの仕組みやコミュニケーション手段の準備を進めていく必要があります。

4.コマース
 ー 店舗とECの連携


ユニファイドコマースのゴールは、店舗とECの垣根をなくし、お客様にシームレスで快適な購買体験を提供することです。この際、一口に垣根をなくすと言っても、具体的な両者の関係性は各社各様です。店舗店員による接客サービスを最大限に活かしたかたちを目指すのか、あるいはECサイトの利便性を中心に顧客体験の質を高めていくのか。その企業が強みとする部分の違いで、重点を置く部分が異なってくると思います。

また、今後、店舗の役割を事業戦略上、どのように再定義するのか。ほしい在庫がなくてもその場でECを通じモノが買える「在庫がなくても買えるお店」、購買はすべてECに任せてショールーム的役割に徹する「売らないお店」のように、ユニファイドコマースによって店舗が担う役割は大きく変わってきます。

5.データ統合・利活用
 ー マーケティングデータの分析と活用


店舗のECの垣根のないカスタマージャーニーから得られる購買行動データや、お客様との継続的なコミュニケーションで得たデータの分析で、一人ひとりの嗜好にあった情報提供でベネフィット提供が可能になり、お客様の“ファン化”が実現します。

しかし、この際に課題となるのが、店舗においてデジタルの購買行動データを取得する仕組みです。簡単にデータを残せるECサイトやアプリと違って、オフラインの店舗は意図的に仕組みを設けないとデータを取得できません。

店舗における購買行動のデータを取得するには、アプリによるチェックインの仕組みを設ける、商品の洋服にIDタグを付け試着室への持ち込みを把握する、といったさまざまな方法があります。システム構築と同時に、こうしたオフラインでデータを取得・蓄積する方法についても並行して準備を進めることが重要です。

6.システム
 ー ユニファイドコマースを支えるシステム


ここまで①〜⑤で整理したテーマに沿って考えていくことで、ユニファイドコマースを実現するためのITのかたちがイメージできてくるはずです。いきなりシステムを入れるところから始めるのではなく、出発点となる戦略から、しっかり考えたうえでシステムにたどり着くことが重要と考えます。

実際に導入するシステムは、さまざまなサービスやツールと、既存の社内システムが複雑に絡み合う状態になるのが一般的です。TISインテックグループは、SIerとしての知見でそれらをしっかりつなぎ合わせ、システム立ち上げから運用までをサポートいたします。


TISインテックグループでは、今回解説したユニファイドコマースを実現するための6つの観点に関して、
達成度をチェックするアセスメントを含めた、コンサルティングサービスを承ります。

ぜひお気軽にお問い合わせください。

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