ソリューション

顧客一人ひとりに、こんな心地よい購買体験を

02 顧客コミュニケーション「CRM」

CRMはどんな小売ビジネスにも欠かせない“基本のキ”の仕組み

顧客との関係を強化する仕組みとして、CRMという言葉が注目されるようになって、もう何年にもなります。一見すると特別な専門用語のようですが、実はずっと昔から商売で実践されてきた、当たり前の概念をITで実現しようというものです。ここでは、そもそもCRMとは何なのかをはじめ、ITでCRMの仕組みを構築するために抑えておきたいポイントを解説します。

はるか昔から“商売繁盛”を支えてきたCRMの概念

CRMはCustomer Relationship Managementの略語で、直訳すると「顧客との関係の管理」といった意味になります。一見すると難解な専門用語に見えますが、実は古来から商売人が実践してきた、小売ビジネスの基本中の基本と言える概念です。

たとえば昔ながらの酒店では、町内のお得意様の名前・自宅がすべて頭の中に入っていて、「そろそろ○○さんの家のビールが切れる頃だ」と、注文を受ける前にビールケースを届けることも珍しくありません。このように、個々のお客様が欲しいと思う商品を、欲しいタイミングで手元へ届ける。双方にとって望ましい、良好な関係が構築できていると言えます。

しかし、現代の百貨店やスーパー、アパレルショップなどでは来店者を一人ひとり識別したり、属性やニーズを把握することは困難。売場に立つ担当者も固定でないケースも多く、記憶に頼った関係構築はほぼ不可能です。それをITで実現しようというのがCRMの概念に他ならず、別の表現を用いれば、一見客をお得意様に変えるための仕組みとも言えます。

初めてのCRMの仕組みづくりで失敗しないために

実際にCRMの概念を小売ビジネスに取り入れ、顧客との良好な関係を構築・管理するには、さまざまなITツールを組み合わせることになります。

ここで注意したいのが、ITツールはあくまで手段であって目的ではないという点。よくありがちなのが、「顧客の属性情報を一元管理するデータベースを構築しよう」、「直接メッセージを届ける自社アプリを開発しよう」といった目標が先に立ち、結果的にお客様との良好な関係づくりには貢献できなかったというケース。

失敗の主な要因としては、お客様をセグメントする属性情報を取得できていなかったり、一人ひとりの趣味嗜好にあう情報コンテンツを適切に送り分けできていなかったり。お客様が欲しくない情報を好ましくないタイミングで送っても、コミュニケーションはうまく行きません。

CRMの仕組みづくりに先立ち、まずは次のように顧客との理想的な関係づくりの流れを時系列で考えてみることが大切です。この段階では、どのようなITツールを組み合わせるかは意識しなくて構いません。

1.自社のお客様が「どこに住む、どんな人なのか」を知るため、属性情報を提供してもらう。
2.お客様の属性によって、需要が高いと思われる商品の情報やクーポンを、メールやアプリで届ける。
3.購入金額が多いお客様への特別な“おもてなし”で、より忠誠心の高い「ファン」になってもらう。

最初の属性情報の取得は、ポイントプログラム等の会員登録時が王道

お客様が「どこに住む、どんな人なのか」を把握するために欠かせない属性情報の取得は、ポイントプログラムやECの会員登録が最もポピュラーな手法です。

ただ課題として、こうしたサービスやアプリが世の中にあふれ、「アプリをダウンロードしたり情報入力すること自体が面倒」という、“登録疲れ”している方が増えている状況があります。

そこで、入会御礼クーポンや初月送料無料のような特典で背中を押す以外に、リアルイベントの来場者に、その場でオフラインならではの特典を提供し会員になってもらう方法も有効です。

たとえば、その場でアプリをダウンロードして会員登録すると、特設ガチャを回して景品がもらえたり、会場限定商品を購入できたりと、特別な体験で関心をひけるのはオフラインならではのメリットです。
また、そのリアルイベントのテーマ・開催場所・参加費などによって、最初から来場者の属性はかなり絞り込まれているはずです。街頭で不特定多数に呼びかけるよりも、より効率的に、緩やかにセグメントされた有望顧客にアクセスできることになります。

こうして何らかの方法で会員登録してくれたお客様に対し購買を促す方法としては、クーポンやセール情報の提供がよく用いられています。その際、受け取る側が興味を持つ内容であることが絶対条件となるため、「年齢」「趣味嗜好」「家族構成」「年収」といった属性情報をきちんと取得でき、ターゲティングができていることが必須です。

長期的な関係性の持続で「ファン」になってもらうロイヤルティプログラム

お客様との良好な関係を長期的に継続するには、クーポンやセール情報だけでは十分とは言えません。そこで有効なのが、ロイヤルティプログラムと総称される仕組みの活用です。

最もおなじみのものに、ポイントプログラムがあります。説明するまでもありませんが、店舗でプラスティックのカードやアプリ画面を提示したり、ECで会員番号を入力することで、ポイントが付与される仕組みです。
ただ、大半の小売業がポイントプログラムを導入し、さらに共通ポイント(楽天ポイント、Tポイントなど)の存在もあって、単体では顧客への新鮮な体験を提供することは難しくなりつつあります。

そこで、大手企業が取り組んでいる、ランキング制度に基づいて特典を還元するロイヤルティプログラムが次の目標となります。
分かりやすい例が、航空会社のマイレージプログラムです。搭乗するとマイルが貯まり、ステージが上がるほど空港ラウンジを使えたり、マイルの付与率がアップしたりと、高ランク者へより多く還元する仕組みとなっています。
百貨店など小売業でも、年間の購入金額によってランクが上がり、限定商品が購入できたり、ポイント付与率がアップするといったロイヤルティプログラムを提供しています。

このように、ランキング制度を取り入れたロイヤルティプログラムは、お客様から優先的に選んでもらう会社・ブランドになるための最も現実的で有効な手法の一つと言えるでしょう。

TISは、お客様がどの顧客接点で商品を購入しても、個別最適された心地よい対応が受けられる「ユニファイドコマース」を提唱しています。CRMは、このユニファイドコマースの全体の仕組みの中で、顧客とのコミュニケーション基盤となる役割に位置付けられます。

TISでは、CRMの仕組みの構築をご希望されるお客様へ、ビジネスやブランドの特色を理解した上で、最良のITツールを組み合わせたグランドデザインをご提案します。そして実際の仕組みの構築、社内の業務システムと連携させるインテグレーション、販促施策の効果測定などPDCAの実践まで、トータルでの対応が可能ですので、お気軽にご相談ください。

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