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マイグレーションプロジェクトにおける役割分担

皆さん、こんにちは。
TIS株式会社で「Xenlon~神龍 モダナイゼーションサービス」を適用したプロジェクトのプロジェクトマネージャーを担当している鈴木と申します。

私は今日までプロジェクトマネジメントを行ってきた中で、「成功プロジェクトと失敗プロジェクトの主因はどこにあるのか? 」という事を、成功・失敗それぞれの体験から振り返り、考え続けてきました。その中で辿り着いたひとつの要素として、「プロジェクトの成否はスタート時点の“定義”で大半が決まる」という事です。特に大切な定義として、スコープ、作業、コスト、体制、そして役割分担が重要であると考えております。
大型メインフレームをモダナイゼーションサービスによって移行する場合は、システム全体を一括移行する方式を選択することが最も効率が良い一方、どうしてもプロジェクトが大規模になる傾向があります。大規模プロジェクトになるほど、ステークホルダの役割分担をきちんと定義しておくことがプロジェクト成功のカギとなります。
今回は、モダナイゼーションサービスを適用したマイグレーションプロジェクトにおける、一般的な役割分担の定義についてご紹介させて頂きます。

プロジェクトのステークホルダ

システム開発プロジェクトでは、基本的には図のように発注者である「お客様」と、受注者である「ITベンダー」それぞれが役割を持ち、協力関係の下にプロジェクトを推進します。

【図1.ステークホルダ】

今回の役割分担に関する紹介では、主に現行システムに知見を持つシステム部門や現行システム事業者側を「お客様」、モダナイゼーションサービスのノウハウを活用して、アプリケーション移行を実行する側を「TIS」として、具体的な役割分担を解説していきます。

マイグレーションの一般的な役割分担

まずはモダナイゼーションサービスを適用したプロジェクトの一般的な役割分担表を紹介します。
分担表において“○”と定義しているのは、主体的に作業計画と実行をする役割、“△”と定義しているのは作業主体側への情報提供やレビューの実施、主体側から依頼を受けて作業支援する役割としております。

【図2.役割分担表】

上記の役割分担のうち、「お客様」側が主体の役割として特に重要な役割は次の3つです。

① 現行システム資産の提供
② テストケース、及びテストデータの提供
③ 業務移行、及び周辺システムとの調整

プロジェクト特性によって分担内容は異なりますが、これらの役割についてはお客様側に担って頂くことが多く、かつ、ある程度の作業負荷が発生する役割となります。それらのポイントについて解説していきます。

① 現行システム資産の提供

マイグレーションプロジェクトでは、お客様からTISへ現行システム資産をもれなく提供する作業からスタートします。TIS側では受領した現行システム資産に対し、プログラム呼出し関係の調査や、実行ログとの突き合わせによる稼働分析、リライト変換率の検証などを実施することで、開発工程の全体像を見極めていきます。
特にメインフレームからのマイグレーションの場合、現行システム資産の構成管理がきちんと行われていない事もあり、その場合は前述の調査から不足資産などを特定し、お客様側にて資産の所在を確認して頂くことも多くあります。また、稀な例として現行ソースコード資産が無く、実行モジュールしか存在しない場合などは、その資産はリビルド対象資産と位置づけ、お客様による仕様提示が必要なケースもありますため、現行システムに関する知見が豊富なメンバー様が適任となります。

② テストケース、及びテストデータの提供

リライトを中心としたストレートコンバージョンによるマイグレーションプロジェクトの特徴的な工程として、新旧比較テスト工程があります。この工程では現行システムと新システムを、ジョブ機能単位に同じテストデータを使用して網羅的に実行し、それぞれの実行結果を一致させることで現行機能が正しく移行されているかどうかの確認を行います。
この工程では、お客様側にて現行側システムをジョブ単位で網羅的に実行するためのテストケースと、テストデータを作成・提供と、現行システム側での実行と実行結果(出力ファイル類)の提供を行って頂きます。TIS側では受領したデータを新システム側で処理できる状態に変換し、新システム側での実行と実行結果の照合を実施します。ジョブ機能を網羅させるテストケース、データを作成する必要があるため、各機能の仕様やデータ構造などの知見が豊富なメンバー様が適任となります。

③ 業務移行、及び周辺システムと調整

プロジェクトの最終段階において、業務を新システムで運用させるための移行工程では、アプリケーションやデータ類の移行作業以外にも、業務切替え(ユーザ部門への説明やトレーニング含む)や周辺システムとの接続先変更など、様々な種類の作業が必要となります。
この工程では、お客様側には業務切替えに必要な一連の作業と、システム切替えに伴う周辺システム側との調整作業を実施頂きます。また、システム切替え時点のデータ断面を確定し、現行システムからデータ断面を抽出するための仕組みの構築と取得作業も実施頂きます。よって、ユーザ業務の知識や周辺システムに関する知見を持つメンバー様が適任となります。プロジェクトによってはユーザ部門や、周辺システムの保守・運用を実施している組織からのメンバーアサインも有効となります。

おわりに

今回のコラムでは、マイグレーションプロジェクトの一般的な役割分担と、お客様側が主体となって担う代表的な役割について解説をしてきました。当然ながらプロジェクトの事情によって役割分担の内容は異なってきますので、提案フェーズからプロジェクト計画の策定において、十分な議論を重ねて役割分担を合意することが重要です。また、お客様側の都合により、担うことが難しい役割については、TISから代替案を提案するなど可能な限りの対応をしていきます。そして、どの様なプロジェクトでも同じですが、一番大切なことは、役割分担が曖昧な状態のままプロジェクトを進めない事であると考えます。

TISのCOBOL to Java移行事例

約10メガステップのCOBOLプログラムと、約20,000本のジョブ制御言語、約500テーブルのデータベース(DB)などで構成、運用されていましたシステムのオープン環境への移行プロジェクトを完遂。
本プロジェクトでは、メインフレーム機器のサポート終了期限への対応とシステムの柔軟性向上を目的に、COBOLからJavaへの移行をリライト手法で実施しました。
オープン環境へ移行した本システムはリリース後、問題なく安定稼働し、日々の業務を支えています。

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「Xenlon~神龍 モダナイゼーションサービス」製品ラインナップ

Xenlon~神龍 モダナイゼーションサービス」シリーズはTIS独自のリライト手法によるマイグレーションを中心としたモダナイゼーションサービスで企業のDX推進をご支援します。

アセスメントサービス リライトによるモダナイゼーションを検討中の企業様に対して「Xenlon~神龍 モダナイゼーションサービス」を活用したプロジェクト推進の『実現性』と『実効性』を検討します。
さらに、ご希望のお客様に対しては情報システム化戦略やエンハンス革新戦略・DX戦略の評価・診断をご支援します。
マイグレーションサービス TIS独自のリライト技術「Xenlon~神龍 Migrator」を活用して、レガシーな言語(COBOL、PL/Ⅰなど)からJavaへのリライトを実現し、オープン環境へ移行します。業務ロジックの100%を自動変換するとともに、メインフレームと同等以上の処理性能を実現します。
エンハンス革新・DX推進サービス マイグレーション後の早期エンハンス革新やDXの実現に向け、各種戦略やマイグレーションプロジェクトからの情報をインプットにしてエンハンス革新計画・DX計画を立案。
PoCを実現しながら実現性を検証するとともに、必要に応じて、マイグレーションプロジェクトにフィードバックすることで早期にエンハンス革新・DX実現に向け推進します。
エンハンス革新・DX実践サービス システムの正常稼働を保つためのメンテナンスをはじめ、オープンシステムの手法を有効活用した安全なリファクタリングやエンハンスメント革新の実践によるシステム効率を支援します。またマイグレーション後のシステムをベースとして、データ利活用や先端技術活用などDX実践を支援します。

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更新日時:2024年3月19日 15時39分