ソリューション

顧客一人ひとりに、こんな心地よい購買体験を

05 データ活用 ・施策の実施

購入モチベーションが高まっているタイミングを見極め、施策の効果を最大化する

データ分析で見込み顧客を抽出した後は、施策(Action/MA)によって購買アクションへとつなげることが目標となります。施策は、事業者の収益に直結する、デジタルマーケティングの帰着点とも言える重要なフェーズです。
ここでは、施策の実行で留意すべき点、そして効果を最大化するための“購入モチベーションが高まっているタイミング”を見定めるための考え方について解説します。

MAツールを利用した施策は、マーケターのシナリオがあってこそ

小売事業者がターゲット顧客に対して実施する施策(Action/MA)は、メールやLINE、自社アプリなどを通じた、セール情報や割引クーポン、オウンドメディア記事へのリンクの送信などがあります。

施策の実行においては、対象者のアドレス抽出や送信作業を自動化できるMA(マーケティングオートメーション)ツールが広く利用されています。多くのMAツールは、顧客ごとの受注確度を数値化するスコアリング機能も持ち、メール開封で1点、リンク先Webへ飛べば2点といったように、購買につながる行動をスコアで可視化できます。

便利なMAツールですが、マーケターがきちんとシナリオを考えた上で利用しないと、単なる“メールの発射台”で終わってしまいかねません。
このシナリオとは、たとえば次のようなもの。まず分析で抽出した優良顧客1,000人に、割引クーポンを送信。それが商品購買につながったかは、使用されたクーポンのシリアルナンバーから判定します。そして1週間後には、クーポン未使用者に、「買い逃しはありませんか?」とリマインド通知を送信する。このように、分岐処理までを含めてシナリオを考え、MAツールにスケジュールを設定し実行させることが基本の流れとなります。

値引き一辺倒の施策ではブランド価値が低下するリスクも

もう一つ、施策にあたってマーケターが留意したい点が、セールの告知やクーポン送信ばかりの施策による購買単価の低下です。顧客側に、「このブランドは毎月○%引きになる」というイメージが定着すると、セール期間以外は買い控えが起きてしまいます。

デジタルマーケティングに取り組む企業のトップ層は、商品ブランドのファンになってほしい、愛着を持って継続的に商品を買ってほしいという目標を持っているはずです。しかし、実際の施策がこうした値引き情報ばかりでは、ブランドイメージの毀損につながりかねません。
ですから施策を考えていく上で、顧客との良好な関係を築く「CRM」の存在は欠かせません。CRMの具体的な取り組み例としては、高額購入者に特別な体験を提供するランキング制度の採用。あるいはオウンドメディアを通じて、会員だけが閲覧できる動画や読み物記事を提供する。顧客に「自分のことを大切にしてくれている」「特別な価値を持つブランド」だと思ってもらい、継続的に商品を購入してもらう良好な関係があってこそ、施策が効果を発揮すると言えるでしょう。

購入モチベーションが高いタイミングを見定めた施策が効果的

施策の効果を最大化するには、受け取る顧客側のタイミングも重要です。購入モチベーションが高まっているタイミングで施策を実施することで、開封率および購入アクションに至る割合の向上が期待できます。

購入モチベーションの高さを推測する一つとして、EC黎明期から用いられているのが “カゴ落ち”の情報です。これは、商品をカゴ(ショッピングカート)に入れたまま支払いに至っていない状況を意味しています。このカゴ落ち情報が、たとえば「お買い忘れはありませんか?」とリマインドを通知するトリガーとなります。

しかし最近は、商品をお気に入りに登録する代わりに、“とりあえず”ショッピングカートに入れる習慣を持つユーザーも増えているようです。そのため、購入モチベーションが本当に高いかどうかを、カゴ落ちメールだけで判断するのは難しくなっています。

リアル店舗への来店は、購入モチベーションの高さと密接にリンク

購入意欲の高さを高確度で伺えるトリガーが、実店舗の訪問です。わざわざお店に足を運ぶ人は、大半がある程度の購入の意思を持つと予想されることがその理由です。
ここで課題となるのが、大勢の顧客の中から、リアル店舗を訪問した人を抽出する手段です。レジでポイントカードを提示して商品を購入すればデータとして把握が可能ですが、商品を買わなかったり、試着だけの人の行動は把握できません。

そのための仕組みには、店頭に設置した端末にポイントカードを読ませたり、店頭に掲示したQRコードを自社アプリで読み込むと、買い物に使えるポイントを提供する方法などがあります。最近では、このように来店者に特別な行動を要求する代わりに、店内にWi-FiやBluetoothの電波を発信するビーコンを設置し、スマホアプリとの間で自動的に通信を行い、来店を把握する方法もあります。将来的には、店頭のカメラで顔認証して来店を把握する仕組みが普及していく可能性もありますが、プライバシー保護の意識の壁を超えるには、まだまだ時間がかかると見られています。

タイミングを誤ると、施策がユーザー離れを引き起こす危険も

何らかの方法で来店情報を得た人に向けて施策を実行する場合、望ましくない通知が不快感を与えるリスクもあります。
たとえば、あるユーザーが、ECで気になっていた洋服をとりあえずショッピングカートに入れているケースを想定してみます。店舗で実物を手にとって見たところ気に入り、レジで購入。しかし、その日の夜に、カゴ落ちの情報に基づき、MAツールが「この商品が10%オフになる特別クーポン」「カートに入っている商品、残り3着です!」のような通知を自動送信すると、顧客は「自分のことを分かってくれていない」と不快になりかねません。

このような問題を防ぐには、オンライン(EC)とオフライン(店舗)の情報の連携が必要です。上記の例では、店舗で購入した製品の情報が即時ECサイト側に共有されるようにすることで、意味のないレコメンドや通知を自動停止可能になります。

TISではお客様一人ひとりに最適化したおもてなしで満足度を高める「ユニファイドコマース」を提唱していますが、その前提となるのが、このようにすべての顧客接点で取得したデータを共有できる裏側の仕組みです。その基盤があった上でMAツールを活用することで、購買単価の向上かつ顧客を不快にさせない施策の実現が可能になります。

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