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07 コマース 「OMS・在庫管理」

増え続ける顧客接点の在庫情報をOMSでまとめて管理する

小売事業者と消費者を結ぶ顧客接点は、多種多様化が加速しています。そこで注目されているのが、複数の顧客接点が共用できる在庫情報管理基盤、OMS(オーダーマネージメントシステム)です。
顧客接点ごとにシステムを構築するムダをなくし、販売チャネル間で在庫商品を融通しあえるようにすることで「在庫があるのに買えない」課題解決に貢献します。ここでは、OMSの役割から導入の仕方までを解説します。

メタバースなど新技術の登場で顧客接点の多様化が進展

コロナ禍を境に、小売事業者の販売チャネルとなる顧客接点は、リアル店舗から非接触型のECへシフト。さらに、新たなテクノロジーを活用したオンラインの顧客接点が続々と実用フェーズへと入っています。

代表例には、メタバース(3Dの仮想空間プラットフォーム)上の仮想店舗で商品を販売するメタコマースをはじめ、Instagramのショッピング機能などSNSを通じた販売、配信者と視聴者がコミュニケーションしながら商品を売買するライブコマースなどがあります。
中でもメタコマースは、既に国内の大手百貨店やアパレルブランドが仮想店舗を出店。リアル店舗、ECに続く「第3の売り場」として今後の需要拡大が期待されています。

このような、話題性の高い新技術を活用した顧客接点は、社会全体が「脱・巣ごもり」の生活様式へシフトしても、オンラインの購買スタイルが常識化した層からの高い関心が持続すると予測されます。

複数の顧客接点で、コマースの裏側の仕組みを共用できるOMS

自社の販売チャネルに新たな顧客接点を加える際、接点ごとに受注管理・在庫管理のシステムを構築する方法は、投資効果を考えるとムダが大きく、実用面の課題も伴います。
特に大きな課題は、顧客接点ごとの在庫情報が分断されていると、正確な在庫をリアルタイムで一元管理できない点です。
「ECでは売り切れ表示だが、実店舗には在庫がある」といった状況を招き、消費者はほしい商品をすぐ買えない不満、事業者にとっては販売機会の損失につながります。

そこで有効なのが複数の販路を横断して在庫情報を一元管理するOMS(オーダーマネージメントシステム)を導入し、オフラインでもオンラインでもコマースの裏側の仕組みを一本化する方法です。

このOMSは、商品の受注・在庫を管理するシステムの総称です。消費者から見えるECサイト、自社アプリ、仮想店舗などはそれぞれ異なる技術で構築が必要ですが、裏側の「注文を受ける・在庫を管理する」仕組みには違いはないので、同じOMSを共用することが可能です。

注文と同時に在庫数の「引き当て」を行い正確な残数にアップデート

OMSは、フロントエンドを通じて注文をうけた際、商品個数をECの在庫から引き当てる(確保する)のか、店舗の在庫から引き当てるのか等を適切に処理することで、常に正確なトータルの在庫数を管理できます。

これによって、欠品による販売機会の損失を抑えることが可能になります。たとえば、注文時点でEC用の倉庫には商品在庫がゼロで、店舗には在庫がある場合。OMSで在庫情報を一元化しておけば、消費者側のEC画面には、店舗を含めたトータルの残数が表示され、注文が可能です。これと同時に、店舗の在庫からECの在庫へ商品を融通するようオペレーションの指示が示され、これに基づきモノの移動を行うことになります。このように、OMSがあれば、在庫に余裕のある販売チャネルから、欠品しているチャネルに商品を融通することができるわけです。

また、前述のメタコマースのような顧客接点を追加する際は、OMSとのAPI連携を図ることで、新しい顧客接点を含めたすべての接点での在庫情報一元管理が可能になります。

なお、OMSと似た用語にWMS(Warehouse Management System)があります。これは倉庫管理システムを意味し、商品が「倉庫内のどこにあるか」を管理し、出荷オーダーに応えるための仕組みです。近年、OMSとWMSを連携させて物流の仕組みを構築する小売事業者も多く見受けられます。

BOPISに代表される「受け取り方を選べる」時代に活躍するOMS

このように、コマースのバックエンドの仕組みをOMSとして分離独立させておくことで、今後到来が予想される、消費者が“受け取り方を選べる”時代に、柔軟な対応が可能になります。

この新しい「受け取り方」の一例に、BOPIS(Buy Online Pick-up In Store)があります。これは「商品をECで購入して、店舗で受け取る」購入方法を意味しています。既にワークウエア・ワーク関連用品大手のワークマンは「宅配を全廃して店舗受取りに一元化」の計画を発表し、業界内外で大きな注目を集めました。
今後、同様に商品単価が比較的低く、かつ多店舗展開のビジネス形態の小売事業者は、BOPISの採用を加速させていく可能性があります。

この時にOMSを導入済みであれば、ECで注文を受けた際、ユーザーの訪問予定店舗の在庫から引き当てる、あるいは他店舗の在庫から融通するといった判断をシステムで自動処理できます。
BOPISに限らず、コンビニ受け取りや駅のロッカー受け取りの選択肢を増やす際にも、バックエンドの機能を集約したOMSがあれば、外部事業者のシステムとの連携を図って仕組みを構築しやすくなるメリットが期待できます。

ヘッドレスコマース化はOMS導入の絶好のタイミング

現状、OMSを導入する企業の多くは、利用中のEC向けパッケージやシステムのリプレイスを契機として、バックエンドの分離に踏み切っています。
これには、OMSが「ヘッドレスコマース」と呼ばれる、ECのフロントエンド(消費者から直接見える部分)とバックエンド(在庫や受注を管理する部分)を分離させるシステム形態と相性がよいという理由があります。

TISの推奨モデルの一つに、フロントはSaaS型「Salesforce Commerce Cloud」、バックエンドはTISのサービス「オムニチャネルOMS」を組み合わせるかたちがあります。

グローバル企業で需要が高い「Salesforce Commerce Cloud」は、世界各国のECフロントのデザイン・UIを統一する際に強みを発揮しますが、日本ではバックエンドの在庫管理・注文管理機能は標準で組み込まれていません。そこでTISのサービス「オムニチャネルOMS」を組み合わせて、足りないバックエンドの機能を補完することで、ヘッドレスコマース化を円滑に実現できます。

今後、物流のラストワンマイルは続々と新技術が投入され、消費者が商品を「いつどこで受け取るか」は大きく様変わりしていく可能性があります。ヘッドレスコマース化でOMSを単体のシステムとして分離独立させておくことで、その変化に対する対応の柔軟性を強化できます。

TISは小売ビジネスのお客様に向け、さまざまな顧客接点をシームレスにつなぎあわせ、消費者に心地よい購買体験を提供するユニファイドコマースを推奨しています。
今回解説したOMS、ヘッドレスコマースは、ユニファイドコマースの実現に欠かせない重要なピースです。さまざまな顧客接点を活用して小売ビジネスの成長を目指すお客様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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