BtoBマーケティングを成功に導く3つの考え方
「BtoBでデジタル?」をテーマに、マーケ@IT編集部の考えをまとめてみました。
1.インバウンドマーケティングにだけ取り組めばいいの?
最近のマーケティングコンセプトの中では「インバウンドマーケティング」がメジャーなコンセプトの一つになりつつあります。従来のアウトバウンドマーケティングは、DM送付やテレマーケティング、メール配信、雑誌広告、展示会出展などで、見込み客にアプローチを行い、引き合い案件を獲得します。
一方で、米国HubSpot社の創業者、ブライアン・ハリガン氏とダーメッシュ・シャー氏によって提唱されたインバウンドマーケティングとは、「こちらから人々に向かっていくマーケティングから、向かってくる人々に対応するマーケティングへ」というものです。
すなわちインバウンドマーケティングとは、広告出稿などに頼るのではなく、購入意思のある見込み客を自ら検索をしたりソーシャルメディアで聞いたりして調べてくれるということを信じて、「見つけてもらう」ことを目的としたマーケティング施策です。
具体的には、見込客に対して有益なコンテンツ(オウンドメディア)をネット上で提供し、検索結果およびソーシャルメディアから「見つけられ」やすくし、自社のサイトに来てもらうなどの施策を行います。
オウンドメディアを立ち上げるなど、今はインバウンドマーケティングへの投資が最も重要と考える企業が多くあります。しかしBtoBマーケティングにおいては、インバウンドやアウトバウンドなど多くのマーケティング施策がある中で、実施すべき施策は、ターゲットの業種、会社規模、販売商品によって変わってきます。つまり、一概にインバウンドマーケティングだけ取り組めば良いということではありません。
デジタルマーケティングで重要なことは、アウトバウンドマーケティングでもインバウンドマーケティングでも、ネットでもリアルでも、適切なデジタル施策を目いっぱい駆使して、成果を上げることです。
2.BtoB企業のデジタルマーケティングの施策とは?
BtoBマーケティングでは、オンライン(ネット)とオフライン(リアル)のデータ連携の実現が課題です。オンラインの施策、従来型のオフラインの施策をどうデジタル連携していくかがキーになります。
それでは、どこの企業でも実施しているマーケティングを整理してみましょう。
- 競合製品、競合会社を調べる
- 対象市場の規模を把握する
- 営業ターゲットリストを作る(企業リスト)
- メディア広告、展示会・セミナーなどでリード獲得する(リードジェネレーション・個人リスト)
- DM・テレマーケティングでアポを取る(案件の獲得)
- 見込み客データの管理(お客さまの名刺)
- 引き合い案件のクロージング
- 既存顧客からのアップセル、クロスセルを考える
マーケティングの実施項目ごとに、インターネットを活用したオンライン施策と従来の方法のオフライン施策に分けて表にまとめました。
まずは、オフライン(リアル)の情報をデジタル化することで、オンライン(ネット)の施策とのデータ連携を可能にし、リード件数を増やす、引き合い件数を増やすことが可能になりますので、是非実践してください。
マーケティング項目と実施方法
上の表を参考に、今自社で行えるデジタルマーケティングの施策は何かをよく把握することです。
さらに皆さんの会社が販売する商品の特性、ターゲットによって、マーケティングの具体的な施策は異なりますので、自社に合った最適な施策を選択することが必要です。
3.マーケティングオートメーションシステムは使えるのか?
「マーケティングオートメーション」というキーワードが、マスメディアやセミナーなどで良く聞かれるようになりました。マーケティングオートメーションとは、オンラインとオフラインの情報を取得して、プロモーションを顧客行動に合わせてシナリオ化し、スコアリングによって自動的に行うことです。
営業部門の役割には、下の図のように、見込み客を見つけるリードジェネレーション、その見込み客の中から案件を見つけるリードクオリフィケーション、具体化した案件を営業がクロージングする、3つの段階があります。
この3つの段階を、システムによって自動で実行するのが、マーケティングオートメーションです。
リードナーチャリングとは
「マーケティイグオートメーション」と「リードナーチャリング」の棲み分けは、次のようになります。
■マーケティングオートメーション(MA) ・・・システム
「マーケティング・営業活動をルーチン化して、システムで自動化すること。」
■リードナーチャリング ・・・思想、考え方
「受注・売上を増やすために、マーケティング・営業活動を改善すること。」
マーケティングオートメーション(システム)を導入するためには、まずは自社の販売方法(直接販売、間接販売)、保有するリード(見込み客)件数、営業体制(インサイドセールスも含む)、顧客の行動プロセス、SFAやCRMとの連携方法などを検討すること、その後、システム化する範囲と運用体制を決めることです。
米国のマーケティングオートメーションシステムとして、日本オラクルの「Oracle Eloqua」、マルケトの「Marketo」、セールスフォース・ドットコムの「Pardot」、ハブスポットの「HubSpot」や、CMS系のアドビの「Adobe Campaign」など多数のツールが日本に上陸しています。
CRM、SFAなど、過去に米国から日本に上陸してきて、そのまますんなり日本の企業に定着したシステムはあまり多くはありません。
それは、米国と日本ではビジネス形態に違いがあること、また導入企業の風土、社員の仕事の進め方が違うからではないでしょうか?
そうは言っても、考え方、技術の良いところは吸収して、日本仕様で実現することが必要です。
マーケティングオートメーションに取り組むことは大いに賛成ですが、システムを導入する際には、システムの機能に期待し過ぎないこと。システムはあくまでツールなので、自社の中でそのツールをどう使いこなすかが企業にとって重要となります。
マーケティングオートメーションのツールを導入する際に期待して導入したが、実際にはメール配信の機能程度しか使われていないという企業が結構あります。
これからは、自社の業務プロセス、顧客の行動特性、販売商品の特性を見て、最適な統合型デジタルマーケティング戦略の立案、実施が求められ、これに見合った最適なツール選択が求められます。
マーケティングオートメーションの詳しい機能やツールの比較は今後のコンテンツで取り上げますので、ご期待ください。
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