AI(人工知能)が照らすマーケティングの未来 ~データ分析編~

前回の記事では、パーソナライズしたレコメンド、ECサイトでの接客、リアル店舗での行動解析など、マーケティングにAIを取り入れて成果につなげている事例をご紹介しました。こうした事例からも見て取れるように、マーケティング領域でAIを活用する方向性は、主に2つあります。1つは、人間の力では対応しきれなくなっている、多様かつ大量なデータの解析。もう1つはユーザーの好みに沿ったレコメンドなど“個客”への提案です。

今回はデータ分析に主軸を置いて、マーケティングへのAI活用事例をご紹介します。Webサイトへのアクセスデータや、カスタマーセンターに寄せられる「お客様の声」など、マーケティングのヒントになるデータは企業内に数多くあります。その中からマーケターが価値ある情報を見つけるために、AIを活用しているケースを見ていきましょう。

1.Webサイトの行動分析からCV率アップ

はじめにご紹介するのは、AIでWebサイトを分析し、CV率アップにつなげた事例です。化粧品通販を行う株式会社レストフォーでは、テレビショッピングで大好評の「ウフドール」シリーズを、自社サイトでも販売することにしました。累計15万本以上を売り上げる人気ブランドですが、WebではトライアルセットのCV率が上がらず、苦戦を強いられたそうです。

そこで、AIを使ったWebサイト解析ツールで、トライアルセットのLPを分析。すると、テレビショッピングを視聴したユーザーと、リスティング広告から流入するユーザーでは、サイト内の行動が全く異なっていることがわかったのです。この解析結果を元に、コンテンツの順番や訴求内容をユーザーによって変えたところ、CV率がアップしました。同社代表取締役の森氏は、「Webサイト改善の意思決定につながるスピード感が、体感で3倍になったと感じる」と評価しているそうです。

この事例は、株式会社グラッドキューブの「SiTest(サイテスト)」を利用したものです。解析に使われるAIがあらかじめ学習したユーザー行動データは、実に10万サイト分に及びます。このように、多くのデータに基づく客観的な分析ができるのは、AIならではのメリットです。

2.コンテンツマーケティングでのCVが3倍に増加

AIのWebサイト解析への活用例として、コンテンツマーケティングの事例をご紹介しましょう。ある旅行会社では、海外旅行のノウハウを集めたサイトを運営しています。目的は、「無料メルマガ会員」を獲得することです。海外旅行は、検討を始めてから申し込みまで、時間が掛かる商品です。メールマガジンの配信で、検討中のリードとの接点を増やしたいと考えたのです。

SEOの効果で、アクセス数は伸びましたが、肝心のメルマガ会員が増えません。そこで、AIで解析すると、訪れたユーザーの大半が複数のコンテンツを見ていました。そして、ほとんどのユーザーがそのまま離脱する一方で、会員登録フォームまでたどり着いたユーザーは、高い確率で会員になっていたのです。こうしたことから、「コンテンツは魅力的だが、会員登録への導線が弱いため、CVに至らない」という仮説が立てられました。試しに、コンテンツを途中まで表示して、「続きを読むには会員登録してください」というリンクを設置したところ、会員登録数が3倍になったのです。

「それなりの流入はあるのに、CVにつながらない」というのは、コンテンツマーケティングでよく見られる課題です。解決には、ユーザー行動の解析や、仮説に基づくトライアンドエラーが必須です。

この事例では、Webサイトの分析に、株式会社WACUL(ワカル)の「AIアナリスト」を利用しています。これは、今使っているGoogle Analyticsと連携するだけで、AIがWebサイトの課題を特定してくれるというツールです。こうしたAIにデータ解析を任せることで、分析に使う工数を大幅に削減できます。その結果、マーケターが本来知恵を絞るべき、施策の立案や検討に、時間を掛けることができるのです。

3.AIを使ったテキストマイニングで注力すべき課題を発見

アンケートのフリーアンサーなど、お客さまが自ら記述する内容には、商品やサービスに対する本音、印象やイメージといった有益な情報が詰まっています。こうしたお客様の生の声や、SNSの投稿を分析するためのテキストマイニングツールにも、AIを利用したものが登場しています。AIを活用することで、より「深い意味」を、「高精度」に、「短時間」で解析できるのが特徴です。

ある大手通信会社では、AIを利用したテキストマイニングツールで数千万件ものツイートを分析し、「どこからサービス改善するべきか」を的確に判断できたといいます。また、ある大手人材会社では、アンケートによる評判分析が仮説と大きく異なっており、本当に注力すべき課題が明らかになりました。全く違う単語で表現されていても、同じ意味の記述が適切に分類されていたため、その精度に驚いたそうです。AIを使ったテキストマイニングには、マーケティング担当者から大きな関心が寄せられているようです。

4.画像認識AIで効果的なソーシャルリスニング

最後に、弊社が技術支援したソーシャルリスニングの事例をご紹介します。この案件ではTwitter やInstagramなどのソーシャルメディアにおいて、ある「缶ビール」?のロゴマークがどのように投稿されているか、画像認識AIを使って調査しました。

テキストデータを分析する場合、つぶやきの文言やハッシュタグしか対象になりません。しかし、実際に私たちがプライベートでソーシャルメディアに投稿するときには、「ほっと一息♪」や「河原でバーベキュー!」など、商品名をわざわざ入れないことがほとんどです。画像認識AIでは、投稿内容のメインは料理で飲料は偶然写り込んだようなケースでも、解析の対象になります。そのため、実態に近い利用シーンの分析が可能となるのです。

このケースでは、約18億件の画像から、利用シーンや競合商品との違いを分析し、一緒に食べられている料理の特徴や、エリアによるシェアの偏りなど、予想外の知見が得られました。

このように膨大な数の画像をスピーディに分析して、新しい情報を発見することは、人力では困難です。これこそまさに、AIを活用してデータ分析をする「強み」といえるでしょう。

まとめ

今回は、マーケティングデータの分析にAIを活用している取り組みをご紹介しました。今、私たちを取り巻く情報の量は膨大になり、人間がそのすべてを分析することは不可能になっています。そのため、今回ご紹介した事例はいずれも注目度が高く、サービスのユーザーがハイペースで増えています。
AIによるデータ分析が、具体的なマーケティング施策を考えるうえで不可欠なものとなる日も、そう遠くはなさそうです。

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更新日時:2018年8月23日 15時13分

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