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統合型デジタルマーケティングプロジェクト成功のコツ①
~体制づくり編~

統合型デジタルマーケティングプロジェクト成功のコツ① ~体制づくり編~

一般的に、大規模プロジェクトを推進するためには、規模が大きくなればなるほど、プロジェクト関係者の調整が重要だということは広く理解されています。統合型デジタルマーケティングを推進する場合にも、同様のことが当てはまります。
戦略、分析、デザイン、ITの各要素・チームでの検討・推進が必要となり、情報システム部だけでなく、事業部門、マーケティング部門など、多くの関係者がプロジェクトに参加することが求められます。
ここでは、統合型デジタルマーケティングを推進する「体制づくり」について解説していきたいと思います。

1.統合型デジタルマーケティングに関連する部門とは

デジタルマーケティングの重要性について質問したところ、95%以上が「とても重要」「どちらかと言えば重要」と回答した。(参考
ここからもわかるように、多くの人・企業が「デジタルマーケティング」の必要性に気付き始めています。では、デジタルマーケティングをはじめるにあたってはどんなことを考慮する必要があるのでしょうか。

マーケ@ITが考えるデジタルマーケティング ~広すぎるコンセプトは、こう理解せよ!~」の記事に述べているように、これから求められるのは「統合型デジタルマーケティング」です。企業の目的に向かって、すべての部門が参加し、マーケティングを推進することが求められます。そうした場合、各部門間で意思や利害が対立するというようなことも起こりえ、互いの意思や利害を調整しながら進めていくことが必要となってきます。つまり、推進の体制を整えることからはじめる必要があるわけです。(下図1参照)

図1 統合型デジタルマーケティングを推進する上での役割
下記の役割をどの部門が担うか、担当部門を明確にする必要があります。

2.統合型デジタルマーケティングを進める体制

統合型デジタルマーケティングは、ざっくり「戦略」「分析」「デザイン」「IT」の要素に分類され、各要素はそれぞれ高い専門性が求められます。

例えば、「戦略」では企業の経営戦略への深い理解が必要となり、それを考慮した上で、デジタルマーケティングをどのように生かしていくかを指し示します。「分析」では各データの見方だけでなく、分析ツールの特性などを深く理解する必要があります。「デザイン」では戦略をデザインに落とし込む能力だけでなく、ユーザーに使いやすいUIや、カスタマーエクスペリエンスを最大化するデザインについての造詣が求められます。「IT」については、「戦略」「分析」「デザイン」の方針に基づき、先を見越した基盤を構築できること、その経験が求められます。

それぞれの分野で高い専門性が求められることになり、その結果、単独の会社で実現することは簡単ではありません。推進にあたっては、他社の協力を得るという可能性も考えていく必要があります。
本来であれば、「戦略」⇒「分析」⇒「デザイン」⇒「IT」というトップダウンで検討を進めていけばよいのですが、昨今のビジネスのスピード感を考慮すると、より早く実現することが求められます。また、実現性を高めるために各要素を並行して進めていく必要があります。

例えば、通常のプロジェクトでもしばしば見受けられることですが、トップダウンで進めた場合に、戦略で決めたことを後続のフェーズで検討進める段階になって、実現性がないことが後からわかることがあります。その場合に、再度、戦略チームに立ち返って検討し直さなければなりません。既に戦略チームが解散しているケースもあり、当初想定していたよりも工数がかかり、スケジュールの遅延につながることになります。
こういったことを避けるためにも、各チームが密接に連携し、調整しながらプロジェクトを進めていくことが重要になってきます。(下図2参照)

図2 統合型デジタルマーケティングを運用するための体制

3.統合型デジタルマーケティング推進プロジェクトの課題

先述した通り、統合型デジタルマーケティングのプロジェクト推進には、「調整力」がポイントになってきます。プロジェクトの規模が大きくなればなるほど重要です。また、決められた期間の中で全ての検討を終わらせる場合に、各要素間の情報の受け渡しについて、そのレベル感と引渡しタイミングを把握するスケジュール管理も重要になります。

複数の部門が参加する場合を想像してみてください。「分析」をマーケティング部門、「IT」を情報システム部門、「デザイン」を制作部門が担当し、これらの部門が一緒になってCMSを選定したとします。
マーケティング部門は制作やシステム間連携に関係なく、分析しやすいCMSを。制作部門はデザインしやすく、複数の制作会社に発注した場合に管理しやすいCMSを。情シス部門側は使い勝手よりも他のシステムへの連携を考慮した場合に最適なCMSを。といったように、それぞれ求めるものが異なってきます。この要望が1つのCMSで実現できない場合には、部門間での対立が起こる可能性があります。

また、複数要素を同時に進める場合を想像してみてください。実際のプロジェクトで起こった例で、カスタマージャーニーをめぐって発生した認識齟齬についてお話します。
戦略チームが作成したカスタマージャーニーを受けてデザインチームがシナリオを作成していくという流れになっていました。戦略チームとしては、ユーザーの行動を可視化することを目的とし、そのレベルでカスタマージャーニーを作成しました。受け取ったデザインチームの想定では、行動だけでなく思考や感情といった態度変容の部分まで記載されているものでした。
そのため、受け取ったデザインチームは受け取ったアウトプットに、態度変容についての検討を追加でする必要が出てきました。このときは、デザインチームの過去の知見から短い期間で検討を進めることが出来ましたが、想定外のタスクが発生するので場合によってはプロジェクトの遅延に繋がる可能性があります。

このように、前工程での成果物のレベル感に齟齬があると、後工程のタスクに影響します。引渡しタイミングが遅れれば、後に続くタスクに影響が出るのは容易に想像できると思います。各部門・チームの意見をまとめて、最適解へと導くことや、プロジェクトを円滑に推進するには、先述したような全体を俯瞰的に見ることができる統括PMの存在は欠かせません。統括PMの選定がプロジェクト全体において重要課題ということがわかると思います。

4.統括プロジェクトマネージャーに求められるスキルや条件

先述した統合型デジタルマーケティングを成功させるための組織としては、統括PMの下に各チームを置くことが推奨されます。(下図3参照)

統括PMは各チームで検討される内容を理解し、必要に応じてファシリテーションできるだけの知識、また、調整力、コミュニケーション力といったスキルも求められます。
例えば、各チーム間で受け渡されるドキュメントのレベル感の調整を事前に行い、認識にズレがないかを随時チェックし、ズレがあった場合には、どちらが歩み寄るか判断し、説明・説得する必要があります。協力会社に参画してもらう場合には工数の調整等も必要になるかもしれません。

また、複数のチームが同時に動くため、進捗の管理も重要になります。チームによっては定量的な進捗管理をするのが難しいケースもありますが、それをなんとか可視化しながら進捗を管理する必要があります。このあたりに統括PMの力量が問われるのですが、経験がないと難しいと思われます。つまり、専門の異なる複数のチーム・多くの会社が関与する大規模プロジェクトを推進した経験・実績があることが望ましいといえます。

図3 統合型デジタルマーケティングを推進する体制

まとめ

今回は、統合型デジタルマーケティングを理想的に運用するための体制づくりについて考えてきました。
最も重要なのは、戦略、分析、デザイン、ITの各チームが適切に連携して統合型デジタルマーケティングを進めること。そのために、統括PMを配置することです。
統括PMは自社だけでなく、自社以外から選出することを考慮してもよいと思います。外部スタッフならば社内の利害関係とも関与せずフラットに判断することができ、異動や配置換えなどの心配も無用というメリットもあるでしょう。

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更新日時:2023年10月4日 20時21分