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AI(人工知能)が照らすマーケティングの未来 ~レコメンド・O2O編~

さまざまな分野への応用が広がるAI(人工知能)を、マーケティングに活用している事例をシリーズでご紹介しています。
今回は、ユーザーの好みに合ったレコメンドやO2Oの実現など、ユーザーとのより良いコミュニケーションにAIを活用しているケースを紹介します。

企業とユーザーの接点が多様化する現代において、デジタルマーケティングに期待されるのは、それぞれのチャネルでの「顧客体験の最適化」と、どのチャネルでもユーザーと的確にコミュニケーションする「オムニチャネルの実現」です。AIを使って、チャネルを統合した顧客体験の最適化に挑戦している事例を見ていきましょう。

1.自ら学習するAIが講座をレコメンド

朝日カルチャーセンターは、全国13教室でさまざまな講座を開催する、日本最大級の生涯学習センターです。そのWebサイトには、ユーザーの好みにマッチする講座をAIでレコメンドする機能が実装されています。

運営しているのは株式会社朝日カルチャーセンターです。同社は、もともと朝日新聞社の文化活動としてスタートしました。新聞広告だけで集客できていた時代もあったそうですが、近年では、市場競争の激化や、ユーザーの嗜好の多様化によって、申し込み数が低下。コストを抑えて集客する手段として、Webサイトを活用しています。

同社では、年に4回、季節ごとに講座の申し込みを受け付けています。募集する講座の数は、毎回約10,000件にも上ります。そのたびにレコメンドのルールを人手で設定するのはスタッフの負担が大きすぎるため、自ら学習するAIを活用して、レコメンドを実現できないかと考えたのです。

構築した仕組みは、一度コンテンツ管理システムに蓄積したユーザーの行動履歴をAIで分析し、おすすめの講座を表示するというもの。サービス導入後、サイトの平均滞在時間が1.4倍に延び、1訪問あたりの講座閲覧数も10%アップしたそうです。同社では、今後さらにレコメンドの精度を上げていくほか、DMや教室で渡す印刷物にもAIによるおすすめ講座を掲載して、受講者増、リピーター増につなげたいと考えているそうです。

2.Webサイトの行動履歴をメールマガジンに展開

Webサイト上の行動履歴を、サイト内にとどまらず、メールマガジンに利用している例をご紹介しましょう。DIY・工具・ガーデニング用品を販売する株式会社大都では、運営するオンラインショップ「DIY FACTORY」の会員向けに、週に一度、メールマガジンを発行しています。頻繁にコンタクトすることで、DIY用品が必要になったときに、自社を思い出してもらいたいと考えているのです。しかし、メールマガジンの内容に価値がないと思われてしまうと、簡単に離脱されてしまい、効果が上がりません。担当者は毎回内容を考えるのが大変で、時間がかかるわりには購買に結びつかないことに悩んでいました。

その悩みを解決してくれたのは、AIを活用したレコメンドサービスの導入でした。オンラインショップでの閲覧履歴や購買データから、ユーザーが興味を持ちそうな商品をAIで分析し、レコメンドメールを送ることにしたのです。毎週の配信はAIに任せ、内容を練ったメールマガジンはセールのタイミングで月1回だけ発行するようになりました。メールマガジンの作成に掛かる負担を大幅に減らせただけでなく、節約できた時間で気になっていた集客や店舗の改善に着手できたのも収穫でした。

この例で使われているツールは、株式会社コンビーズが提供するレコメンドサービス「コンビーズレコ」です。ユーザーのオンラインショップでの行動からおすすめ商品を選び出し、メールを配信する最適なタイミングまで、AIがユーザーごとに見極めてくれます。同社によれば、メールの開封率では1.95倍、受注件数は1.25倍になった企業があるなど、さまざまな実績が上がっているとのことです。

3.AIが提供する新しい物件検索体験

AIは、不動産業界でも利用され始めています。賃貸住宅仲介大手のハウスコム株式会社では、2016年2月、AIを活用した物件検索サービス「人工知能でコムる」を、自社のWebサイトに搭載しました。これは、住みたいエリア、希望する家賃、家族構成を選択するだけで、AIがおすすめの物件を3件ピックアップしてくれるサービスです。従来のようにさまざまな条件を設定したり、たくさんの検索結果から1件ずつ物件を確認したりする手間がないので、画面のデザインはとてもシンプルです。注意書きに『検索回数が多くなるほど精度が向上していきます』とあり、希望する結果を得られない場合には何度かトライするよう誘導しています。AIによるデータ解析技術と、同社の持つ大量の物件データを組み合わせて、これまでとはまったく異なる「新しい物件検索体験」を提供しているのが特徴です。

オンライン型不動産仲介サービス「ietty」を運営している株式会社iettyでも、チャットで物件を提案するAIを開発すべく、東京大学と共同研究をしています。目指すのは、同社が「C to B(Consumer to Business)」と位置づけている、ユーザーファーストな不動産仲介事業です。同社が提唱する「C to B」とは、「顧客の漠然とした要望からスタートし、真に必要な商品・サービスを提案する」こと。その実現の基盤として、AI開発における共同研究の成果を活用したいと考えています。

4.チャットAIで店舗への来店を促進

不動産業界では、オンラインでの活動をオフラインの集客につなげるO2Oに、AIを活用する動きも見られます。株式会社リクルート住まいカンパニーは2016年3月、住まい探しサイト「スーモカウンター新築マンション」、「スーモカウンター注文住宅」に、チャットAIを実装しました。「スミヨ」と名付けられているこのチャットAIは、まるで人間と話すような自然な言葉で、店舗検索や質問への対応ができます。導入の背景には、多忙な子育て世代のニーズがありました。時間のやりくりが難しいため「店舗の営業時間を延長してほしい」という声が、これまでにたびたび寄せられていたのです。同社は、24時間いつでも問い合わせを受けられるチャットAIを活用して、来店時間に制約があるユーザーとの接点を増やしていくそうです 。

物件検索サービスの例でご紹介したハウスコム株式会社でも、WebサイトでAIが質問に答えるチャットサービス「コムるくん」を、2016年7月にリリースしました。個人ごとの専用ページ「マイボックス」に興味のある物件を登録しておくと、チャットAIがその物件に関する質問に答えてくれるのです。間取りや設備などを教えてくれるほか、初期費用交渉といったリクエストの一次受付もしてくれます。店舗の営業時間外でもスムーズにユーザーの疑問を解消することで、効率的な部屋探しを実現しています。

まとめ

今回は、AIを活用して顧客体験の最適化に取り組んでいる事例をご紹介しました。Webサイトでの行動データに基づくレコメンドを他のチャネルに展開したり、店舗の営業時間外に問い合わせを受け付けたりと、いずれも従来よりもすぐれた顧客体験の提供を試みています。

今後、鍵となるのは、レコメンドエンジンやチャットAIの精度でしょう。AIから的確な処理結果を得るには、学習の基になるユーザーデータや商品データ、よくある会話のパターンを大量に用意しなければなりません。
「AIを使っている」という目新しさだけにとどまらず成果を出せるかどうかは、日々の業務の中で企業独自のデータをどれだけ蓄積できるかにかかっているといえそうです。

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更新日時:2023年10月4日 20時23分