マーケティング部門と営業部門の壁を崩して、営業を効率化させるための3つのポイント
昨今のBtoB企業の新規開拓は、「マーケティング部門がWEBサイトや展示会でリードを獲得して、営業部門に引き渡し、営業活動を行う」という形が、徐々に浸透してきています。
しかし、これまで長年の間、営業部門が足で新規顧客を獲得してきたことから、まだまだマーケティング活動が理解されていないことも多く、両部門がうまく連携できていない企業が多いようです。
そこで今回は、マーケティング部門と営業部門の壁を崩して、営業成果を生み出すパートナーシップとなっていくために必要なことを考えてみました。
1.マーケティング部門の想いと、営業部門の想いのすれ違い
「マーケティング部門から提供されるリードは、質が低くて、無駄足ばかり踏まされている…」と、マーケティングの効果に疑問と不満を抱く営業は少なくありません。
一方でマーケティング部門では、「せっかく集めたリードを営業部門に渡しても、その後の営業成果がわからない。自分たちが苦労して集めたリードを活かしていないのでは…」と感じることも多いようです。
このすれ違いは、マーケティング部門がややもするとリードの「量」を追求しがちなのに対して、多くの案件対応に忙しい営業部門はリードの「質」こそを求めているからです。
営業部門はマーケティング部門に確度の高いリードを望んでいます。どれほど多くのリードがあっても、その中で、営業がアポを取れる数はどれだけあるでしょうか。電話をかけても「アポが取れない1,000件のリード」なら、営業はそのリードを必要としていません。会ってじっくりと話を聞いてもらえ「受注につながる1件のリード」こそ、営業部門が求めているのです。
しかし、マーケティング部門だけでリードの質を高めることは、難しいかもしれません。営業部門との連携が重要となるからです。
2.システムを連携すれば、ふたつの組織が連携できる!?
従来、マーケティング部門では、展示会やセミナーでの名刺収集、WEBサイト上でのリード獲得、それらの名寄せなどを行い、営業部門へそのリストを引き渡していたでしょう。
しかし、数年前からマーケティングオートメーションが注目されるにつれて、獲得したリードに対して、メール配信などで適切な情報を提供し有望な見込み顧客へと育成する、リードナーチャリングが行われるようになりました。
ところが、マーケティング部門だけで、見込み顧客育成のシナリオを考え、マーケティングオートメーションを活用したとしても、なかなか成果が上がらないという声も多く聞かれるようになりました。
そこでオススメしたいのが、営業部門との密接な連携。営業部門がこれまで営業現場で蓄積してきた知見を聞き取りながら、見込み顧客が「どんなタイミングで」「どんな情報を求めているか」を検討し、メール配信などのシナリオを設計していくことで、見込み顧客へ響く情報を届けることができるようになります。その結果、有望な見込み顧客へと育成することができるのです。
また、リードの見込み度の状況をWEBサイトの閲覧履歴などからスコアリングするうえでも、営業の視点が欠かせません。営業部門が見込み顧客に何を求めているか、例えば、「見込み顧客の決裁権を重視しているか」「どの部署の人を狙っているか」などを把握しなければ、適切なスコアリングが行えないからです。
とはいえ、外出が多く忙しい営業に、頻繁に情報を伝えてくれるように頼んでも、いい情報を提供してもらいづらいでしょう。そこで、営業支援システム(SFA)とマーケティングオートメーションを連携させることが有効となります。
例えば、営業部門へ引き渡したリードに対して、営業がどうアプローチして、それがどう営業成果に結び付いているかをSFAで確認することができれば、「営業成果が上がりやすいリード」を把握できます。さらに、ターゲットとなるリードの見込み度を高めるための情報提供のシナリオも、見い出しやすくなるでしょう。
3.マーケティング部門の活動内容を伝え、営業部門に成功体験を
このように、まずはシステムの連携がオススメですが、これだけではマーケティング部門と営業部門の壁を真に取り払うことができたとはいえません。
昔から日本では営業部門が強く、マーケティング部門の活動をまだまだ理解してもらえていないというケースが多いため、マーケティング部門が、営業部門に自分たちの活動を理解してもらうことも必要です。マーケティング活動の具体的な内容と、それが営業部門にどう役立つのか、また営業部門がどのようなフィードバックをすることで、リードの質を高められるのかなどを積極的に伝えていきましょう。
さらに、十分に育成した質の高いリードを厳選して、営業に引き渡すことも一つの手です。少し余裕がある営業に渡してみたり、思い切って比較的経験の浅い、営業に渡してみてもいいでしょう。営業力がまだ低くても、スムーズにアポが取れて、実のある商談ができればしめたものです。こうした成功体験が、営業部門の心をつかみ協力体制が強化されていくのです。
4. ツール連携だけでなく、日常の顔合わせや情報交換がやはり重要
マーケティング部門と営業部門のより良い連携を進めるためには、両者が顔を合わせる機会を積極的に作ることもオススメです。できれば週に1回、最初は月に1回だけでも、マーケティング部門と営業部門が顔を合わせて意見交換する定例会を持つとよいでしょう。お互いを知ることで、電子的に受け取ったデータなどに込められた思いや考えが読み取りやすくなっていきます。
営業部門が忙しく、定例会への出席も難しい場合には、営業部門にマーケティング部門の活動を理解してもらうための社内メルマガを作り、配信する取り組みを行っている企業もあります。
マーケティングオートメーションとSFAを連携させる、マーケティング活動への理解を営業部門に深めてもらい成功体験につなげる、顔を合わせて話す…。こうした取り組みで、マーケティング部門と営業部門の連携がぐっと深まり、営業効率を高めその成果を生み出しやすくなります。ぜひ、実践してみてはいかがでしょうか。