AWSへのWindowsワークロードの移行と最適化
はじめに
近年、デジタル変革が加速する中で、多くの企業が既存のITインフラストラクチャを見直し、クラウドへの移行を検討している。
特にWindowsワークロードを持つ企業にとって、Amazon Web Services (AWS) は、その幅広いサービス群を活用して、セキュアで高パフォーマンス、かつコスト効率の良い環境を提供するため、移行先の選択肢に挙がりやすい。
TISでも、お客様がスムーズにAWSへ移行し、そのポテンシャルを最大限に引き出せるよう、専門的な知識と豊富な経験を持つプロフェッショナルチームを通じて、包括的なサポートを提供している。
この記事では、WindowsワークロードをAWSに移行し、最適化して実行する方法と、TISが提供する移行支援サービスについて詳しく解説する。
AWSでWindowsワークロードを実行するメリット
AWS上でWindowsワークロードを実行することには、多くのメリットがある。
- コスト削減: AWSの従量課金制と柔軟なライセンスオプションにより、企業は必要なリソースのみを利用し、余分なコストを削減。これにより、全体的なITコストの削減と効率化を実現。
- 高いパフォーマンスと可用性: AWSのグローバルインフラストラクチャと業界をリードする技術により、Windowsワークロードは高いパフォーマンスと99.99%の可用性で実行される。ビジネスの継続性と顧客満足度を向上することが可能。
- セキュリティとコンプライアンス: AWSは業界最高水準のセキュリティ対策を提供し、企業のデータとアプリケーションを保護。また、多くのコンプライアンス認証に対応し、企業が規制要件を満たすのを支援。
AWSへの移行を進めるには
WindowsワークロードをAWSへ移行することは、企業がイノベーションを加速し、運用効率を向上させるための重要なステップである。
このプロセスは、計画、移行、最適化の三つの主要なフェーズに分けられる。
計画フェーズでは、まず現在のIT環境の詳細な評価を行う。これにより、移行の範囲と必要なリソースが明確になる。次に、AWSのベストプラクティスに従ってWindowsワークロードを移行する。最後に、移行後の環境を最適化し、コスト効率とパフォーマンスを向上させる。
- 移行前の準備と評価: 移行前には、現在のWindowsワークロードの依存関係と設定を詳細に分析し、移行計画を策定する。この計画には、ネットワークの設定、セキュリティポリシー、データの移行戦略などが含まれる。
- 移行の実行: 移行プロセスでは、AWSの豊富なツールとマネージドサービスを利用して、効率的かつ安全にWindowsワークロードをAWS環境へ移行する。このプロセスは、ダウンタイムを最小限に抑えつつ、データの整合性とセキュリティを保ちながら行う。
- 移行後の最適化と管理: 移行が完了したら、AWSの管理ツールを利用して環境を最適化し、運用効率を向上させる。この作業には、リソースのスケーリング、コストの最適化、セキュリティの強化などが含まれる。
WindowsワークロードのAWS最適化
特に、AWSへの移行後、パフォーマンスの向上とコスト削減を実現するため、Windowsワークロードを最適化することは重要である。
AWS上でWindowsワークロードを効果的に運用し、最大限の価値を引き出すための主要な最適化手法を紹介する。
パフォーマンスの最適化
パフォーマンスの最適化は、アプリケーションの応答性を向上させ、エンドユーザーの満足度を高めるために不可欠である。
Amazon CloudWatchなどのモニタリングツールを使用してリソースの使用状況を監視し、必要に応じてリソースをスケーリングすれば、パフォーマンスを維持しながらコストを最適化できる。
コストの最適化
AWSの従量課金制と柔軟なリソース管理により、使用していないリソースを停止するか削除することでコストを削減できる。
また、リザーブドインスタンス、Savings Plans、スポットインスタンスを利用することで、さらなるコスト削減が可能となる。
セキュリティとコンプライアンスの最適化
AWSはセキュリティを最優先事項としており、継続的にセキュリティ対策を強化している。
AWSのセキュリティツールとベストプラクティスを適用し、継続的に見直すことで、データの保護とコンプライアンス要件の遵守を確保できる。
特に、AWS Identity and Access Management (IAM) を使用して、適切なアクセス権限を設定し、セキュリティを強化することが重要である。
TISのWindowsワークロード移行支援サービス
こんな課題をお持ちではありませんか?
- 事業の成長に合わせて、既存のWindowsベースのシステムを迅速にスケールアップまたはスケールダウンできる柔軟性が足りない。
- ITインフラの運用コストを効率化し、投資対効果を最大化するための戦略を模索している。
- 将来的には現在のシステムをクラウドネイティブなアーキテクチャに移行し、アジリティとイノベーションを加速したい。
「移行ロードマップ作成コンサルティング」
お客様が保有するシステムの特性や更改時期を考慮し、システム全体の最適な移行計画をご提案するマネージドサービスです。
クラウド移行には綿密な計画性が求められます。現状分析、移行後の将来像の形成を行うと共に、OS・ミドルウェア・ソフトウェアなどの制約条件を考慮した適正な移行方式を決め「移行計画」の策定をお手伝いします。
「Windowsワークロード移行支援サービス」
TISのWindowsワークロード移行支援サービスは、企業が既存のWindowsベースのシステムをAWSクラウドにスムーズかつ効率的に移行するための包括的なマネージドサービスです。
このサービスは、初期の評価から移行計画、実行、そして最適化まで、エンドツーエンドのサポートを含んでいます。TISは、AWSのベストプラクティスに基づいたアプローチを採用し、コスト削減、パフォーマンス向上、セキュリティ強化を実現します。
支援内容 (例)
評価: お客様の現在のインフラストラクチャとワークロードを詳細に評価し、移行のレポートを提供します。
計画: 移行計画を策定し、リスクを最小限に抑えつつ、ダウンタイムを極力回避する戦略を立案します。
実行: 移行計画に従って、お客様のビジネスに影響を与えることなく、データとアプリケーションをAWSに移行します。
最適化: 移行後、継続的なパフォーマンスとコストの監視を通じて、システムを最適化します。
技術サポート: 移行に関する技術的な問題や疑問に対応します。
運用サポート: AWS環境の日々の運用を支援し、問題が発生した場合に迅速に対応します。
トレーニングプログラム: お客様のチームがAWSのツールとサービスを効果的に使用できるように、カスタマイズされたトレーニングを提供します。
事例紹介
システム保守・開発のための多拠点情報共有基盤 「AXION」をクラウドへ移行。
TISインテックグループでは、システム保守・開発プロジェクトを円滑に推進するための情報共有基盤として「AXION」を構築している。保守/開発プロジェクトに必要なツールをそろえ、社内外・複数拠点と、物理的に離れた場所からもドキュメントや情報をリアルタイムに共有できる仕組みとなっている。
2012年から自社環境で展開してきたAXIONは、より柔軟に扱えるようにするため、2016年から2017年にかけて、アマゾン ウェブ サービス(AWS)環境への移行を実施し、より俊敏性・柔軟性・生産性の高い基盤として生まれ変わった。AXIONのプロジェクトマネージャと、IT基盤エキスパートに移行プロジェクトのポイントについて聞いた・・・
TISはAWSに関する高い技術力を証明する各種認定を取得しています
著者紹介
横井 公紀
IT基盤技術事業本部 IT基盤ビジネス事業部
IT基盤ビジネス推進部 セクションチーフ
AWS東京リージョン開設当初から、数々のAWS移行プロジェクトに担当者・プロジェクトリーダーとして参画。2019年に「AWS Ambassadors」の選出を受け、現在はTIS社内のAWS CCoEリーダーとして、全社AWS技術者コミュニティの運営、全社のAWS利用促進によるビジネスの拡大と、エンジニアの先鋭化を目指した育成を推進している。
2023年には、コミュニティとビジネスの両面での年次貢献実績が日本のAWS Ambassadorsの中で1位となり、世界で11名のみが持つ「AWS Top Ambassadors」の名誉を受賞。国内外で活躍の幅を広げている。