【自社事例】Boxの全社導入で運用負荷を大幅軽減し、新しい働き方を実現したTIS
Boxの全社導入で運用負荷を大幅軽減し新しい働き方を実現したTIS
TISインテックグループでは独自のファイルサーバーを運用していたが、働き方の変化に合わせたゼロトラスト化を進めるために、クラウドストレージへの移行を決定。
複数のサービスを比較検証した結果、管理機能の充実さや容量の制限がないことからBoxを選定。オンラインによる社内説明会の実施やBox専用ポータルサイトの設置など導入における施策を経て、現在では約6,000人のTIS従業員がBoxへ移行している。社内ITに関するアンケートでも評判は良く、また管理側としても運用負荷が大幅に軽減された。
- 主な課題
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- 旧ファイルサーバーの容量確保やBCP対策
- 旧ファイルサーバーの運用負荷の増大
- グループ内でのファイル共有システムの分散
- ゼロトラストへの対応
- 導入効果
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- ユーザー/管理者側ともに容量を気にせず利用が可能に
- 可用性の確保などでBCP対策を強化
- リモートワークなど新たな働き方を促進
- 運用負荷の大幅軽減と人的リソースの有効活用
- セキュリティ対策の強化
- 外販を見据えた社内ノウハウの蓄積
【課題】データ利活用を支えるファイル共有システムの老朽化が課題に
創業から50年以上にわたり、ITのプロフェッショナルとしてあらゆる業種・業界の顧客を支援してきたTISインテックグループ。データのスムーズな利活用は同社のビジネスの根幹であるが、そのための中核的なシステムの1つであるファイルサーバーのシステムが老朽化しており、数年前より課題となっていた。
グループの中核であるTISでは9台のファイルサーバーを独自に運用し、約6,000人のTIS従業員と、グループ企業のうち10,000人の従業員が利用していた。
TIS DX推進本部情報システム部 セクションチーフ 後迫亨氏は次のように振り返る。
「以前から容量不足やBCP対策への対応などに課題を感じていました。また、グループ内には独自にファイル共有システムを運用している企業も多く、システム共通化によるコストメリット創出も積年のテーマでした。そうした中でコロナ禍となり、働き方が変わってきたことから、場所を選ばずに働ける環境を提供することが私たちの任務となったのです」
こうして働き方の変化に合わせたTIS全体のネットワークやシステムのゼロトラスト化を進めることとなり、そのためのソリューションの1つとしてクラウドストレージの導入が検討された。
【選択】充実した管理機能や無制限のストレージ容量などが決め手に
クラウドストレージの選定に当たっては、法人向けの代表的な4つのサービスを比較検証した。具体的には、管理者とユーザーそれぞれの視点から計20以上ものチェック項目を設けて比較した。その結果、ユーザー視点では大きな差はなかったものの、管理者視点で他の3つのサービスを圧倒していたのが「Box」だった。
「他の3製品は基本的には個人向けのサービスを拡張した設計なのに対し、Boxは最初から組織での利用を前提として設計されています。そのため管理機能が非常に充実していて、運用に合わせた細かい設計が可能でした。特に充実しているのがセキュリティ面の機能で、例えば監査ログの保存期間も、他が2~3ヶ月なのに対しBoxは7年間もあるので、有事の原因究明も行えます」とTIS DX 推進本部情報システム部 チーフ 三好将司氏は語る。
同部の部長である明石晃己氏もこう続ける。「ストレージ容量が無制限であることも大きな魅力でした。また、当社はITサービス事業者ですので、外販も見据えてBoxの社内スキルを蓄積したいという思惑もありました」
【導入】複数回の社内説明会やBox専用ポータルサイトでユーザーのスムーズな利用を促す
Boxの導入を決めた後は、まず2021年10月から翌3月まで管理部門内で試行利用し、2022年4月にはTISの従業員の一斉利用を開始した。全社でのBox利用開始後も、旧ファイルサーバーからのデータの移動期間を設けていたが、2023年9月末にはそれが完了し、旧ファイルサーバーは停止した。
データ移動に当たっては、授業員の間で混乱が生じないよう、オンラインによる社内説明会を数度開いた。またBox専用のポータルサイトも用意し、スムーズに移行するためのガイドや注意点、Box導入のロードマップやQ&Aを掲載したという。さらに、社内のMicrosoft Teams上にはBox移行チャネルも設置した。
「それぐらいしなければ、約6,000人ものユーザーが新たに利用するのに対応できませんから」と三好氏は振り返る。
TIS全社での利用と併行して、2022年7月からはTISグループ企業向けにもBoxの提供を開始している。こちらは利用申請に基づき、順次ユーザーを拡大中だ。
【効果】ユーザーからも管理側からも高い評価、社内活用の知見を活かし外販事業も視野
こうしてBoxの利用が定着したTISでは、社内ITに関するアンケートでBoxに関するコメントが最も多く寄せられ、しかもどれもが肯定的な内容であるなど、大きな効果が見受けられる。特に多かったのが「容量を気にしなくてよくなった」「自宅からでも安心して使える」「外出先からスマートフォンでファイルを確認できる」などであり、新しい働き方に大きく貢献しているようだ。
「Boxに集約されたことでグループ各社とのデータ連携がスムーズになりました。また、Boxのアカウントさえあれば共有フォルダ上のセキュアな環境で安全にデータ共有・管理できるので、パートナーや取引先とのコラボレーションにも役立っています」と明石氏は述べる。
一方、管理側としても、運用負荷が大幅に軽減され、その分の貴重な人的リソースを本来的なIT施策へと振り分けられるようになったという。
「ストレージの増設や定期的なバックアップといった作業が不要になり、可用性の面で私たちが心配する必要もなくなりました。また、BCP対策について経営陣へ自信を持って説明できようになったのも大きいですね」(三好氏)
後迫氏も「Box側で次々と新しい機能をリリースしてくれるので、そうした最新のテクノロジーをいち早く試して社内のノウハウとして取り込めるのも魅力です。直近でも、新たな生成AI機能の正式リリース前の評価利用を開始しています」と話す。
TISでは、自社でのBox導入によって得られた知見やノウハウを活かして、ITサービス事業者として導入支援を含めたBoxの外販ビジネスをさらに展開していく構えだ。
「自社で利用・運用してきた経験から、Boxはあらゆる企業・組織にメリットをもたらすサービスであると自信を持って言えます。当社は外販やソリューションなどの開発体制も整っているので、積極的に提供していきたいです」と明石氏は力強く語った。
▼ゼロトラスト環境における利用イメージ
※参考:【自社事例大公開】TISの大規模ゼロトラスト導入から2年経った“事実”
https://www.tis.jp/special/platform_knowledge/security07/
今回の取材メンバー
TIS株式会社
DX 推進本部
情報システム部 部長
明石 晃己
TIS株式会社
DX 推進本部
情報システム部 セクションチーフ
後迫 亨
TIS株式会社
DX 推進本部
情報システム部 チーフ
三好 将司
※ 記載されている情報は、取材当時(2024年02月28日)のものです。最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。