【基本の”き”】失敗しないデータセンター選びを考える
東日本大震災を契機に、ITシステムをデータセンターに預ける流れは一気に加速しました。富士キメラ総研が2016年に発表した調査結果をみても、2015年~2020年にかけて市場規模が約30%増になるなど、今後も堅調に推移していくことが読み取れます。
そんな当たり前になったデータセンターの利用ですが、当たり前になったが故に、価格のみでの比較をされるケースも少なくありません。その為、本来の要件を満たしていない状態で利用している場合も見られます。
ここではデータセンターについて、改めて基本に立ち返って、選び方を考えていきます。
1.価格にだまされない。立地や設備条件などを確認する
普及したものとはいえ、コストは少しでも押さえたいというのが現実論ですね。
しかし、安いだけで選ぶと、危険な点も。
例えば立地条件。データセンターの建屋がある場所がどれだけ自然災害に強いかという観点や電源がどこから・何系統でとられているか、といった基本的な要素は重要な為、押さえることはご理解頂いていると思います。実は水害の被害に遭いやすい様な場所でもデータセンターが立地しているケースがあります。データセンターだから必ず安心という訳ではないので、まず確認しましょう。
また、マネージドサービス等の運用サービスが提供されているかも、選定時点では不要であっても、状況が変化した時に利用ができるという選択肢を持つ意味でも、考慮しておきたい事項です。
安さには必ず理由があります。なぜ低価格であるのか、自社が求めている要件が正しく満たせる先なのか、必ず確認して選定を行いましょう。
2.最新の機器も活用できるか、鍵は電力
2015年頃から、ハイパーコンバージドインフラ(以下、HCI)と呼ばれる製品が流行りを見せています。
これらはすべてではありませんが、比較的高密度で実装される傾向にあり、従来のサーバ機器と比較すると1ラックあたりで求められる電源容量が多くなりがちです。
センターによっては、従来機器の密度でしか考慮されておらず、ラックあたりに提供できる電力が少ない場合もあります。この場合、せっかく最新のインフラを活用し業務効率化をしたくても、ラックの制約で活用できないという思わぬ足かせが。
IT活用がますます進む中で、「データセンター選びに失敗したので、使えません」などとは勿論言えませんので、この様な問題にぶつからない為にも、電力についても確認しておきましょう。
3.これから考えたい、クラウド利用の選択肢
通常、データセンターを検討する際は、自社の機器を置くことを念頭に、検討することが殆どではないでしょうか。しかし一方で、ビジネス環境がますますスピードを求める状況では、急なシステム利用ニーズなどでクラウドサービスを利用するケースが増えてきているのも事実です。
ではクラウドとデータセンターの選択はどう関わってくるのでしょうか?
メガクラウドと呼ばれるAWSやAzureに関しては、必ず回線経由でのアクセスとなるので、クラウドにアクセスできる専用線サービスを引き込むことができるデータセンターを選択しましょう。
その他、データセンター事業者が環境を構築し、提供されているクラウドサービスもあります。このサービスが自社機器と同一データセンター内に設置されている場合、利用時の回線コストを抑えたり、高速なアクセスができたり、といったメリットを享受することができます。クラウド利用が多くなると、回線のコストは負担となるので、これらのメリットはコスト削減にも寄与します。また、事業者が提供するクラウドによっては、PCIDSS対応など、セキュリティや特定の分野に特化したサービスを提供している場合もあります。上手く活用することで、効率的にビジネスに必要な環境を揃えることができます。
現実的には、従来の自社環境とクラウドサービスが混在するハイブリッドクラウドの状態が、多くの企業で現実的な選択肢になります。その際の選択肢を幅広く持つためにも、データセンター選びではクラウドも考慮した選定を行うといいでしょう。
4.最後に
今回は、データセンター選びの基本の”き”、に触れてきました。
今までの選び方だけではなく、トレンドなども踏まえて、選定をおこなってみてください。
最後に、立地や設備条件を検討する際に確認したい事項についてはポイントが多くある為、比較項目をより詳細にまとめた虎の巻をご用意しました。
データセンター選びをする際にぜひご活用ください。