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生成AI×地域通貨活用で、地域での生活をより便利に楽しくする:スマートフォンお財布アプリ「会津財布」

生成AI×地域通貨活用で、地域での生活をより便利に楽しくする:スマートフォンお財布アプリ「会津財布」

生成AI×地域通貨活用で、地域での生活をより便利に楽しくする
スマートフォンお財布アプリ「会津財布」

TISが手掛けるスマートフォンお財布アプリ「会津財布」では、アプリを活用した各種のイベントを開催している。今回の施策では、イベント参加者のアンケートの回答結果に応じて個々の利用者に合ったクーポンを配布した。そのためにはペルソナ分けが必要で、人手で行うならば多大な工数がかかるところを、AWSの生成AIプラットフォームを活用することで半分以上に工数を削減、企画担当者が本来の業務へ専念できるようになった。
今後も継続して生成AIを活用してサービスの価値を向上させるとともに、会津若松市以外にも対象エリアを広げ、さらに多くの地域住民に親しまれるアプリを目指していくという。

主な課題
  • 従来型の手作業による分析作業では工数が大きく柔軟性が低い
  • 人的リソースが圧倒的に不足している
  • ペルソナを回答者へより合理的に振り分けたい
  • サービス提供していても実績・ナレッジが蓄積されにくい
導入効果
  • 従来の工数から50%以上の削減を実現
  • アンケート分析にリソースを取られずに、企画担当者が本来の業務へ専念できるようになった
  • 天文学的数字を考慮してのプログラム設計を考慮する必要がなくなった
  • 作業を進めながらAIへの指示方法を改善していくことで事前評価の難しさを克服した

【背景】育まれつつある、住民に愛され地元に貢献する地域ウォレット

郷土玩具の赤べこや戊辰戦争の白虎隊などで全国的に知られる、福島県会津若松市。歴史的な街である一方で、会津はIT方面の取り組みも活発な地域だ。
TISが特に現在注力しているのが、ソーシャルイノベーション事業の一環として会津地域で展開しているスマートフォンお財布アプリ「会津財布」だ。
決済手段をはじめとした多種多様なサービスを利用者自身の生活スタイルに合わせて利用できる、“地域ウォレット”ならではの機能を備えている。

TISではこれまでに、観光活性化企画「極上のはしご酒」のデジタルクーポンの仕組みや、小売店舗での買い物情報を電子レシートとして発行できる「スマートレシート®」*1機能の提供を行ってきている。2022年1月からみずほ銀行が提供しているスマホ送金・決済サービス「J-Coin Pay(ジェイ コイン ペイ)」に対応したのを皮切りに、2023年3月には地域課題解決型デジタル地域通貨サービス「会津コイン」*2の取り扱いを開始。加盟店手数料の低減とキャッシュフローの改善が進むとともに、地域への決済データ還元・利活用がより行いやすくなった。

「今後は会津地域での公共料金や会費の収納、地域振興券や地域ポイント、店舗ポイントなど決済に関する多様な利用シーン・施策に対応することで、会津広域地域への拡大を目指していきたいです」と、TIS ソーシャルイノベーション事業部 ソーシャルイノベーション第1部 エキスパートの阿部啓は抱負を語る。

*1…「スマートレシート®」は東芝テック株式会社の登録商標です。
*2…会津コイン発行者は株式会社みずほ銀行、企画はAiCTコンソーシアムです。

【選択】生成AI活用でアンケート処理の工数を大幅に削減

既に現在、会津コインの加盟店舗数は500以上に達しており、会津財布のユーザー数も13,000人を超えた。会津財布は着々と会津若松市内に広がりつつある。サービス開始から短期間でここまで地域住民に愛されるサービスとなれた理由の1つに、生成AI 活用による利用者それぞれに最適化されたクーポンやサービスの提供が挙げられる。

TISでは会津財布の利用者2,500人に対してアンケートを実施し、その回答内容から利用者を10種類のペルソナに振り分けた。例えばインドア志向のシニア男性、子育て世代の女性、ファッションやSNSに興味がある若年女性、といった具合で、それぞれの利用者のペルソナに合致したクーポンを付与している。このペルソナ振り分けにTISでは生成AIを利用した。

生成AIの活用というアイデアが出る前は、2,500人分のアンケートを人海戦術で振り分ける予定だった。その場合、1件の処理に5分かかるため、その他の作業時間も含めて合計約250時間を費やしていたことになる。
しかし生成AIを活用したことにより、アンケートの集計と分析にかかる時間が1件あたり1分に短縮された。ツール開発に24時間、AIの分析結果を確認する作業に3時間はかかったものの、合計時間は約109時間と大幅な工数削減効果を得られた。これにより、企画担当者が本来の業務に専念できるようになったという。

また、アンケートの回答パターンは理論上では約7兆4千万通りあり、それらをある程度抽象化してプログラムで処理したとしても膨大な工数が必要になる。しかし生成AIならば自然言語で応答するため、そういった考慮が不要だ。その他にも、回答の多様性にも柔軟な対応が可能になったり、事前評価の難しさを解決したり、生成AIを用いたことで実績やナレッジが蓄積されたり、さらにはリソース不足を解決したりと、さまざまな効果を得られた。

【効果】AWS利用者に生成AI活用の道を開く「Amazon Bedrock」

特筆すべきは生成AIの利用検討開始からクーポン配信イベントの実施までの期間である。2023年10月中旬に生成AIの利用検討を開始すると、10月20日に早くも社内承認が下りた。さらに、11月22日には生成AIを用いて分析したペルソナに合わせたクーポンの振り分け作業を実施し、12月15日のイベント実施に合わせてクーポンを配信することができた。

ここまでスピーディーにAI活用が進んだ背景について、TIS IT基盤技術事業本部 IT基盤ビジネス事業部 IT基盤ビジネス推進部 テクニカルエキスパートの横井公紀は、AWSの生成AIプラットフォーム「Amazon Bedrock」を社内利用できるサポート体制をリリース直後から整え、開発部門で素早く検証作業に着手できたことが大きいと強調する。

「Amazon Bedrock」は、単一のAPIを介して大手AI 企業が提供する高性能な基盤モデル:Foundation Model(FM)を利用できるフルマネージドサービスで、AWS上で生成AIアプリケーションを構築するために必要な幅広い機能を提供することが特徴だ。それに加え、AWSのスキルを持った開発者にとって、既に開発されていたアプリケーションの実行環境を拡張する形で迅速に開発を開始できる点と、外部サービスをまたぐ複雑な連携や管理が不要かつセキュリティ面の考慮事項が少なくなる点が決め手となり、Amazon Bedrockが採用された。

横井が率いる全社クラウド利用推進チームは、早くから生成AI利用の重要性に着目し、複数回の勉強会を開催するなど、社内での情報共有と教育を続けていた。自身もAWSエンジニアである横井は「普段からAWSを使っている利用者であれば、追加の調達プロセスを必要とせず、マネジメントコンソールからすぐにAmazon Bedrockを試すことができます。現在のアプリ開発にAWSを活用する延長線上で、容易かつ効果的に生成AIを活用できるのです」とコメントする。実際に、今回の会津財布を皮切りとして、多くの生成AI関連のプロジェクトでAmazon Bedrockの検証が進められているという。

【今後】サービスの付加価値向上と会津地方広域への拡大を目指す

会津財布および会津コインのここまでの順調な普及を受けてTISでは、喜多方や只見など会津若松以外の会津地方にも利用を広げ、さらに公共料金や会費の収納、地域振興券や地域ポイント、店舗ポイントなどといった、決済に関する多様な利用シーン・施策に対応していく構えだ。

TIS ソーシャルイノベーション事業部 ソーシャルイノベーション第1部 エキスパートの大森美和は「AIでのレコメンドの精度がかなり高くなっているので、これをもっともっと高度化していきたいです。そうしてサービス全体の付加価値を向上させながら、会津地方広域への拡大を目指していきます」と力強く語った。

▼アンケートのペルソナ振り分けにAmazon Bedrockを用いたことで工数の大幅削減に成功した

PDF資料ダウンロード

今回の取材メンバー

TIS株式会社
ソーシャルイノベーション事業部
ソーシャルイノベーション第1部
エキスパート
阿部啓

TIS株式会社
ソーシャルイノベーション事業部
ソーシャルイノベーション第1部
エキスパート
大森美和

TIS株式会社
IT 基盤技術事業本部
IT 基盤ビジネス事業部 IT 基盤ビジネス推進部
テクニカルエキスパート
横井公紀

※ 記載されている情報は、取材当時(2024年04月22日)のものです。最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。

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更新日時:2024年7月10日 15時36分