ヘルスケア事業 ウェルネスとヘルスケアの違いとは?
2022/1/25
現在、少子高齢化による医療費の増額、感染症の拡大といった様々な要因から、ヘルスケア 事業への注目が高まっています。さらに、「ウェルネス」や「ウェルビーイング」といった言葉をよく耳にするようになりました。ウェルネスに関しては、「グローバル・ウェルネス・サミット」という国際会議が毎年開催されており、世界的にも関心を集めています。
ここで、「ウェルネスとヘルスケアの違いとは」と疑問に思った方も多いのではないでしょうか。本ブログでは、ヘルスケアとウェルネスの違いや関係性を解説するとともに、ウェルネスを支えるヘルスケア事業についてご紹介します。
1.ウェルネスとヘルスケアの違い①ヘルスケア
まず初めに、ヘルスケアの言葉の定義を確認していきましょう。
英和辞典で「Healthcare」と検索すると、「健康管理・保健医療」と定義されています。辞書からも分かるように、一般的なヘルスケアとは、医療・健康といった誰もが想起しやすい意味となっています。
ただし、ヘルスケアの定義は時代とともに変わりつつあります。2015年には、日本ヘルスケア学会※1によって以下のとおり定義づけられました。
「ヘルスケアとは、自らの『生きる力』を引き上げ、病気や心身の不調からの『自由』を実現するために、各産業が横断的にその実現に向け支援し、新しい価値を創造すること、またはそのための諸活動をいう。」
よって、現代における「ヘルスケア」は、狭義の「医療・健康分野」に限らず、横断的な幅広い分野に関係するものに変わりつつあると考えられます。
※1 https://jahi.jp/about/healthcare-definition/
2.ウェルネスとヘルスケアの違い②ウェルネス
ウェルネスとは、「well」と、病気を意味する「illness」が組み合わさって作られた言葉であると言われています。また、広辞苑には「心身ともに良好な状態」と記載されています。他方で、「ウェルネス」とは、「健康」の定義をより広く捉え、「健康になる」という欲求を満たすための行動が伴っている状態であるという見解もあります。※2
ここで、「健康」の定義を確認したいと思います。世界保健機関 (WHO)は、「健康」を以下のように定義しています。※3
“Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.”
「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。」(日本WHO協会訳)
よって、ウェルネスとは、肉体的・精神的・社会的に満たされていることを目的に積極的な行動を取っている状態を指すのだと考えられます。
また本章では、「ウェルビーイング」の定義についても確認したいと思います。
厚生労働省の定義では、「個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念」※4であると記載されています。よって、「ウェルビーイング」は、「ウェルネス」になるための権利が保障され、目指すべき姿である良好な状態が維持されていることだと言えます。
※2 https://health-tourism.skr.u-ryukyu.ac.jp/wellness
※3 https://japan-who.or.jp/about/who-what/identification-health/
※4 https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000532354.pdf
3.ウェルネスとヘルスケアの関係性
前章にて、ヘルスケアとウェルネスの定義について解説しました。それぞれの言葉の関係性を整理すると【図1】のように表現できます。
ウェルネスとは、肉体的・精神的・社会的に満たされるための行動をとっている状態であり、ヘルスケアはそのための手段となります。つまり、ウェルネスを実現するためにヘルスケアという手段を用いるのだと言えます。そして、「ウェルネス」が実現し、より幸福で肉体的、精神的、社会的に満たされた状態を「ウェルビーイング」と整理することができます。
4.ウェルネスを支えるヘルスケア事業
ここまで、ウェルネスやヘルスケアの言葉の定義や関係性を解説してきました。ここからは、ウェルネスを支えるヘルスケア事業がどの様な事業者によって生み出されているのかをご紹介していきます。
経済産業省による、「ヘルスケアサービス 参入事例と事業化へのポイント」※5を確認すると、参入事業者の類型は大きく3種類に分けられます。
①医療・介護関係者からの参入
医師や、専門知識が備わっているエキスパートによって事業化されるサービスとなります。医学的根拠に基づいたウェルネスの指導が強みになります。
②公的保険外の運動・栄養・保健サービス等事業者からの参入
保険や製薬・スポーツジムといった、健康・医療分野のノウハウを既に蓄えている企業が、よりヘルスケアを活性化することを目的に事業化するケースです。顧客基盤の他、データベースや技術力など内部に蓄積されている既存事業資産に加えて、関係他社とのネットワークが強みであると言えます。
③異業種からの導入
他業界で獲得した信用力と顧客基盤が何よりの強みです。ヘルスケア領域のサービスの展開力に活かされるケースや他、既存事業との掛け合わせによる潜在的顧客へのアプローチ、市場拡大に繋げるケースがあります。既存顧客へ提供しているウェルネスの満たすべき精神的・社会的の幸福度に繋がる施策にヘルスケアが加増することになる、と言えます。
以上のように、様々な事業者がウェルネスを支えるヘルスケア事業へ参入しています。
※5 https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/bisnessmodel.pdf
5.まとめ 目指すべきヘルスケア事業とは
本ブログでは、ヘルスケアとウェルネスの違いや関係性について解説してきました。それぞれの言葉の定義や関係性を理解したうえで、ウェルネスを支えるヘルスケア事業についても理解を深めることができたのではないでしょうか。
ヘルスケア事業は医療・健康分野にとどまらず、幅広い分野へ関連する事業に発展しつつあります。ヘルスケアに関するサービスが拡充され、日常生活に溶け込むことで、生活者にとってヘルスケアがより身近になっていくことが期待できます。そして、生活者の健康増進により社会全体でウェルビーイングが実現されることが、ヘルスケア事業の目指すべき姿ではないでしょうか。
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