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ヘルスケア事業に関係するデータの種類(EMR/EHR/PHR)とその特徴とは?

2021/10/15

日本の総人口に占める高齢化率は28.8%(令和3年版高齢社会白書)となっており、世界で最も高齢化が進んだ国となっています。このような状況の中、日本の保険医療は長寿を目指すことから、健康寿命を延ばすことに変わってきており、ヘルスケア市場への注目が高まっています。ヘルスケアに関連するデータには様々なものがあり、ヘルスケア事業に取り組むためにはその理解が重要になります。本サイトでは、ヘルスケア事業に関係するデータの種類とその特徴について解説していきます。

1.ヘルスケア事業におけるデータの重要性

ヘルスケア事業に取り組むためには、ヘルスケアデータへの理解が重要となります。なぜなら、個人ごとに異なる状態を、情報として正しく収集・管理し、その状態に合ったサービス(治療、介護、健康増進など)を提供することが、ヘルスケア事業者には求められるためです。昨今では、IoTやウェアラブルデバイスの普及により、個人の日常生活から生み出されるライフログや、血圧、心拍数、体重などのバイタルデータは誰でも簡単に収集できる身近なデータとなりました。このようなヘルスケアデータを使って新たなサービスを提供している民間企業も増えてきています。身近にあふれるデータだからこそ、それを正しく理解したうえで、収集・管理し、サービスに活かすことがサービスの価値向上に繋がります。

2.ヘルスケア事業に関係するデータの種類①EMR/EHR

ヘルスケアに関連するデータとしてまず挙げられるのは、EMRおよびEHRです。
EMRとはElectric Medical Recordの略であり、EHRとはElectric Health Recordの略です。どちらも医療機関から生み出された情報のことであり、EMRとEHRは区別されずに同じ意図で使われるケースが増えてきていますが、定義には違いがあります。
EMRは紙でのカルテを電子化したもの(電子カルテ)を指しています。EMRは医療機関内部での運用を意図して設計されており、外部の医療機関や健診機関との情報連携は意図されていません。
一方で、EHRは電子カルテに含まれる診断に関する情報以外にも、検査情報(採血結果、検査画像 等)、患者の背景・基礎情報(既往歴、血圧、体重 等)、レセプト情報(診療行為、薬剤 等)が含まれています。EMRとは異なり、EHRは外部の医療機関と情報連携を意図して設計されている仕組みです。EHRの背景として、患者を単一の医療機関ではなく地域でケアする考え方があり、かかりつけ医/GP(General Practitioner)の紹介がない限り他の医療機関受診に制限がある医療制度をもつヨーロッパ(イギリス、フランス等)で中心に広がっている仕組みです。ISO/TR 20514:2005 Electric Health Record – Definition, scope and contextによると、EHRはShareable EHR(共有可能なEHR)とNon-Shareable EHR(共有不可能なEHR)があり、Shareable EHRにはさらにIntegrated Care EHR(統合的診療EHR)が含まれるとされています。
日本では、地域医療介護総合確保基金及び地域医療再生基金を活用して、全国の218か所で地域医療情報連携ネットワーク(日本版EHR)を構築したものの、いまひとつ普及が進んでいません。自主財源を確保できず事業の継続が難しい事、医療機関のデータが標準化されておらず他の医療機関との連携の障壁となっている事、などが原因として挙げられています。

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3.ヘルスケア事業に関係するデータの種類②PHR

PHRとはPersonal Health Recordの略であり、データを管理する主体がEMR/EHRとは異なります。PHRは自分の情報を自分で管理する考え方であり、具体的なデータとしては、日常的に記録される健康関連情報・ライフログ(血圧、体重、歩数、睡眠、食事 等)、および医療機関で生み出されたデータのうち、別の事業者・目的においての利用の同意(オプトイン)をしたデータです。
PHRには、前述のように医療機関から生み出されるデータ以外も含まれるため、医療機関を受診したタイミング、健康診断を受けたタイミングなどのある時点の断片的なデータだけでなく、日常生活における継続的なバイタルデータとして収集できる特徴があります。一方で、データを取得するデバイスとそのメーカーが多岐にわたり、データ取得項目、精度やフォーマットなどが様々であるため、まだ充分に標準化がなされていないのが現状です。標準化がなされていなければ、EHRで起きたような活用の障壁がPHRでも起きることが予想され、データの利活用によって健康増進に寄与するサービスが生まれにくくなってしまいます。TISではこのような課題に対して、PHRの標準化を推進し、相互運用性を向上させ、データの有効活用促進に寄与するために、日本マイクロソフトと共同で「ヘルスケアリファレンスアーキテクチャ」を無償で提供しています。「ヘルスケアリファレンスアーキテクチャ」は、日本マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」を利用したヘルスケアサービス開発に必要となるシステム共有部分を定型化したもので、行政や臨床学会が求める標準化ガイドラインを用いたアーキテクチャであり、GitHub上に公開しています。

4.データの種類によって遵守すべきガイドラインが異なる

ヘルスケア事業に関係するデータには、機微な個人情報が含まれているため、セキュリティや運用管理体制など遵守すべきガイドラインが整備されています。ヘルスケア事業を推進するには、中央省庁が定める各種ガイドラインに適合する必要があり、ヘルスケア事業で取り扱うデータによって、遵守すべきガイドラインが異なります。
EMR/EHRに関係するデータを取り扱う場合には、総務省・経済産業省公表「医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン」および厚生労働省公表「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」への準拠が求められています。
総務省・経済産業省が令和2年8月21日に公表した「医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン」では、医療情報を取り扱う情報システム・サービス提供事業者に対して、遵守すべき要求事項がまとめられています。一方、厚生労働省が公表している「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」は、令和3年1月に第5.1版が策定されており、医療機関等において遵守すべき事項が示されています。
PHRに関係するデータを取り扱う場合には、令和3年4月23日に総務省、厚生労働省及び経済産業省から公表された「民間PHR事業者による健診等情報の取扱いに関する基本的指針」への準拠が求められます。基本的指針の中では、適切に民間PHRサービスを利活用するためのサービス提供事業者におけるルールが定められており、健診等情報の機微性等を鑑みた個人情報保護法等に定められた対応に加えて、丁寧な同意の取得、情報セキュリティへの対策、申出に応じた消去、自己点検と結果の公表等の必要な対応を民間PHR事業者に求める内容となっています。
このように、ヘルスケア事業では、取り扱うデータや内容によって、遵守すべき様々な事項が存在します。

5.まとめ

本サイトでは、ヘルスケア事業に関係するデータの種類(EMR/EHR/PHR)とその特徴を解説しました。ヘルスケア事業では、取り扱うデータや内容によって、各種ガイドライン、情報の取り扱い方法など業界特有のポイントを意識した推進が必要となります。
TISでは、豊富なヘルスケア領域に関するノウハウを活かして、スピード感をもった新サービス立上げをご支援する「ヘルスケアリファレンスアーキテクチャ導入サービス」をご提供しています。

また、異業種から新規にヘルスケア事業を立ち上げられる方を対象とした、業界の基本情報から、実際に事業検討する際に欠かせない考慮すべき点をまとめた入門ガイドブック「ヘルスケア事業を始めるためのDX入門ガイドブック~ヘルスケアサービス検討のポイントと関連する規制とは~」をご用意しました。こちらをご覧いただくと下記のようなことが分かります。

  • デジタルトランスフォーメーション(DX)とは
  • ヘルスケア産業の概要
  • ヘルスケアサービスで考慮すべきポイント
  • ヘルスケアサービスで考慮すべき2つの規制(ガイドライン、指針)

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更新日時:2023年10月4日 20時0分